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IPA、東日本大震災のITへの影響や支援サイトの状況をまとめた報告書を公開

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は28日、東日本大震災のITシステムへの影響や対応、支援のために構築されたウェブサイトの状況などをまとめた調査報告書を公開した。

 IPAでは、東日本大震災によって情報処理システムに起きた事象を記録するとともに、被害の軽減や回復力の強化などのための対策について調査することを目的として、「災害に対応するITシステム検討プロジェクトチーム」を2011年8月に発足。情報セキュリティ、ソフトウェアエンジニアリング、標準化活動など各専門分野からの調査を行なってきた。

 IPAでは、全体の調査結果をまとめた報告書と、災害発生直後に多数構築された支援のためのウェブサイトの状況をまとめた報告書の2つの報告書を公開した。

 全体の調査結果をまとめた報告書では、震災時の情報セキュリティ、震災とクラウドの関係、自治体の情報基盤における震災の影響、高回復力システム基盤の必要性などに関する各種調査をまとめたサマリーと、これらに関係する資料を収録。2012年5月に開催したIPAグローバルシンポジウムにおける、京都大学防災研究所教授の林春男氏による後援や、専門家・有識者によるパネルディスカッションのサマリーも掲載している。

 ウェブサイトの状況をまとめた報告書では、震災直後からインターネット上に安否情報や物資支援、ボランティア活動など様々な支援のためのウェブサイトが自発的に数多く立ち上がり、多くの貢献をしたことについての実態を調査。約250の災害支援のためのウェブサイトにアンケートを実施、20件の個別のウェブサイト担当者へのインタビュー記録も収録している。来るべき次の災害に備えた社会的な課題としては、各分野における日頃の訓練はもちろんこと、ITシステムの機能面・運用面での柔軟性や、政府系データの公開、いわゆる「オープンデータ」の整備などに取り組む必要性があることが明らかになったとしている。

(三柳 英樹)