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人工知能でFlipboardと差別化、韓国発ソーシャル雑誌アプリが日本進出

 株式会社ソルトルックスは、ネット上のコンテンツを雑誌のようなレイアウトで閲覧できる「ziny.us(ジーニアス)」日本語版の無料iPadアプリを2月20日に公開する。1月29日にはベータテストの参加者募集を開始した。専用サイトで申し込めば、事前にジーニアスを利用できる。対応機種はiPad mini、iPad(第3・4世代)、iPad 2。

ジーニアスのイメージ画面

記事を収集するほどレコメンドの品質が上がる

 ジーニアスは、ニュースサイトやブログなどネット上のコンテンツが発行するRSSを収集し、雑誌のようなレイアウトで閲覧できるアプリ。最大の特徴はロボットによる人工知能を実装した点。ユーザーが集めたコンテンツを「ジニー」と呼ばれるロボットが分析・学習し、ユーザーの感性や関心を反映したコンテンツをお勧めしてくれる。

 これにより、例えばF1好きのユーザーが「ドライバー」の記事を集める場合、ロボットによるレコメンドの内容に工具やゴルフクラブの「ドライバー」の関連記事が減り、レコメンドの質が高まる。さらにお勧めされたF1ドライバーの記事を収集するとロボットが「学習」するため、レコメンドの品質が高まる好循環が生まれるという。

 アプリ上では、話題の記事を集めた「HOTマガジン」、ニュースサイトの記事を表示する「NOWマガジン」、ジーニアス上でフォローした友だちが収集した記事を表示する「FRIENDSマガジン」などのコンテンツを用意。任意でRSSを追加したり、検索エンジンやブックマークレット経由などで収集した記事を特定のテーマでまとめることも可能だ。

 コンテンツの閲覧時は、RSSフィードをタップすると元記事が表示される仕組み。雑誌のようなレイアウトの「アーティクルビューワ」、元記事のテキストと画像のみを表示する「読み取りモード」も用意する。ソルトルックス日本支社長の氏家真氏は、「コンテンツの表示方法は著作権にも配慮した」と語る。

「Flipboard+Pinterest+Watson」でソーシャルメディアを再発明する

 ジーニアスの特徴については、人間とロボットが協力して情報収集する「スマートキュレーション」を実現したことと説明。ネット上のコンテンツを雑誌のようなレイアウトで表示するアプリとしては「Flipboard」が人気を集めているが、スマートキュレーションによって個人に最適化したコンテンツを表示できるのが優位点だとアピールする。

 「スティーブ・ジョブズはかつて、(iPhoneについて)PDAとiPod、固定電話で『電話を再発明する』と言った。我々はFlipboardの可読性、Pinterestの趣味・興味でつながるネットワーク、IBMのWatsonの人工知能の良い部分を取り入れ、『ソーシャルメディアの再発明』を目指す。」

ソルトルックス日本支社長の氏家真氏
ソルトルックス韓国本社でCEOを務めるTony Lee氏

 ソルトルックスは2012年10月、韓国でジーニアスのiPadアプリを公開し、ダウンロード数は約3万に上る。日本でのiPadアプリ公開は、海外展開第1弾となる。今後は順次、Android向けアプリやウェブサービスを日本、米国、ヨーロッパで展開する計画。2013年中に世界で50万ダウンロードを目指す。

 ソルトルックス韓国本社でCEOを務めるTony Lee氏は収益面について、「フリーミアムモデルの事業を展開したい」と語る。詳細は未定だが、お気に入りの記事や画像、文書を無料で100GBまで保存できるオンラインストレージをクラウド上に用意し、一部のユーザーには高機能なサービスを有償提供することを検討している。ジーニアスで収集した記事を通じて趣味や嗜好を分析し、広告を表示することも視野に入れている。「2015年までに日本で10億円の売上、100万人以上のアクティブユーザーを確保したい」。

(増田 覚)