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米Microsoft、「Windows 8は単なる炭酸飲料ではない」と批判記事に反論

 米Microsoftは11日、Windows 8について批判的な記事を書いた一部メディアの記事に対して公式な反論を発表した。

 これは英国のフィナンシャルタイムズとエコノミスト誌が、Windows 8をMicrosoft社の失敗と位置付け、アナリストのコメントを引用する形で米コカ・コーラ社の過去の誤った経営判断とを比較した記事に端を発する。

 フィナンシャルタイムズ紙は7日の「Microsoft、主力ソフトウェアWindows 8見直しを準備」と題する記事を掲載した。記事ではMicrosoftに批判的なアナリスト複数人の見解を掲載。この中に市場調査会社Envisioneering Groupアナリスト、Richard Doherty氏によるコメントもあった。Doherty氏は、米コカ・コーラ社が過去に新味の新コーラを発売したものの、不人気のために7カ月後に元の味に戻した経営判断を挙げ、「コカ・コーラ社はMicrosoftよりも顧客の声を聞いただけましだ」と述べている。

 これに対して、Microsoftのコーポレートコミュニケーション担当コーポレートバイスプレジデントのFrank X. Shaw氏は公式ブログで反論。「炭酸飲料の缶とは異なり、コンピュータのオペレーティングシステムは、さまざまなニーズを満たすためにさまざまな顧客にさまざまな経験を提供しており、それと同時に業界全体をタッチ、モビリティ、およびシームレスでクロスデバイスな体験という刺激的な未来に向かって動かそうとしているのです」とし、Microsoftの取り組みがいかに複雑であるかを説明した。

 さらに、反論の冒頭では「誰もが出版できるこの世の中では、極端に走る傾向があります。微妙な分析の上に立ってセンセーショナリズムと誇張によって特に目立ちたい人がいるのです。ページビューが通貨である世の中で、焼き尽くす熱は多くの場合、光を当てることよりも評価されています」と述べた上で、フィナンシャルタイムズやエコノミストといった質が高いと思われているメディアからこのような批判がくるとは思わなかったとのニュアンスと皮肉を込めている。

 その上で、Windows 8がすでに1億本以上販売した良い製品であり、顧客の声に耳を傾けている結果として「毎日良くなり続けている」とWindows 8の実績を強調し、さらに引き続きユーザーの声に耳を傾け、改良を続けていくとしている。

 MicrosoftはすでにWindows 8の次期バージョンである社内コード名「Windows Blue」の存在とリリース意向を明らかにしている。最も批判の多いスタートメニュー不在については、Windows Blueでは元に戻すのではないかとの憶測も流れているが、この点については評論家の間でも賛否両論がある。

 なお、Windows Blueについては、Microsoft社内ビルドと思われるものが不自然なほど多数「不正に」アップロードされている。これが正規ビルドなのか、あるいはMicrosoftからの内部リークなのか、様々な憶測があるが、今のところ公式コメントは発表されていない。

【お詫びと訂正 2013/5/14 10:15】
 記事初出時、Windows 8の販売数について「100万本以上」との記述がありましたが、「1億本以上」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

(青木 大我 taiga@scientist.com)