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Yahoo!メールと@niftyメール、自民・民主・公明からのメールに「安心マーク」

 ヤフー株式会社、ニフティ株式会社、株式会社インフォマニア、トライコーン株式会社、株式会社パイプドビッツ、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の6社は11日、ネット選挙運動解禁を受けた取り組みとして、“なりすましメール”を従来よりも判別しやすくするメールインフラの提供を開始すると発表した。

 ヤフーが提供している「Yahoo!メール」とニフティが提供している「@niftyメール」のメール受信サーバーにおいて、政党のオフィシャルアドレスから送られてきた正規メールを自動的に認証。ウェブメール画面で、ユーザーの受信箱の件名らんまたは差出人らんに「安心マーク」を表示する。このマークは勲章をモチーフにしたデザインで、リボン部分は安心・安全をイメージした緑色をあしらった。さらに該当メールを開いたり、安心マークにマウスオーバーすることで、「このメールは○○党より送信されています」という案内文が表示される。実装は、6月20日ごろからの予定だ。

「Yahoo!メール」のウェブメール画面での表示イメージ
「@niftyメール」のウェブメール画面での表示イメージ
「安心マーク」拡大イメージ

 なりすましメールを判別するための仕組みとしては従来より「DKIM(DomainKeys Identified Mail)」というものがあり、送信元が詐称されていないことと内容が改ざんされていないことを確認できるようになっている。メール送信システム/配信代行サービスを提供するインフォマニア、トライコーン、パイプドビッツですでに対応しているほか、メールを受信する側のシステムでもヤフーやニフティなどが対応済みだ。Yahoo!メールと@niftyメールでは、ヤフーおよびニフティ自身がそれぞれの会員に送信した公式のお知らせメールなどに限定されるが、DKIMによる認証結果として、正規メールであることを示すマークを表示するような実装もすでに行っている。

 今回発表された取り組みは、DKIMでの認証に加えて、JIPDECが運営・管理している「サイバー法人台帳ROBINS」をあわせて用いる。ROBINSは、法人・団体・個人事業者の名称やメールドメインなどのオフィシャル情報を提供している台帳で、これに登録されていれば実在する法人・団体・個人事業者であることが判定できる仕組み。政党についても、法人として登記され、現に活動している実態があれば、第三者確認を経て登録可能だという。すなわち、政党はROBINSに登録することで、その政党から送信したメールがなりすましメールではなく、かつ実在する政党から送信されたものであることを、Yahoo!メールと@niftyメールのユーザーに明示できることになる。

 すでに自民党、民主党、公明党がROBINSに登録を完了しているという。これら3政党から送信されるメールマガジンや選挙運動用メールに「安心マーク」が表示されることになる。

従来の認証技術(DKIM)の概念
6社が発表したメール認証の概念

 なお、ROBINSへの登録申請は、各政党が利用しているメール配信代行サービス事業者と共同で行う必要があるという。すでにDKIMに対応しているメール配信代行サービスを利用している政党であれば、ROBINSへの登録を完了することで、同様に安心マークで判別されるようになる。全政党での対応が望まれるとしており、すでに検討している政党もあるという。

 一方、今回、対応を発表したメール受信システム側の事業者は2社のみ。Yahoo!メールの利用者は約1800万人、@niftyの有料会員は約284万人(ウェブメールのアクティブユーザー数は非公表)だが、今後、他の事業者における導入も考えられるとしている。

(永沢 茂)