ニュース

米Dropbox、クロスプラットフォーム基盤「Dropbox Platform」を発表

 米Dropboxは9日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された同社初となる開発者会議DBXにおいて、「Dropbox Platform」を発表した。

 Dropbox Platformは「世界中のアプリ、デバイス、およびサービスをつなぐための最適な基盤」で「開発者がデバイスとプラットホームをまたがって開発する方法を、根本的に簡単にするためのツールスイート」であると説明している。これはDropboxの既存APIを拡張し、プラットフォームといえる程度まで拡大するものと位置づけられる。

 今回発表されたのは「Datastore API」と「Drop-in」の2つだ。

 「Datastore API」は、プラットフォームやデバイスに関係なく、Dropbox経由で同期できる仕組みを提供する。同期する内容は構造化されたデータであれば何でも良い。例としては、連絡先、ToDoリスト、アプリケーションの設定情報、ゲームのプレイデータ、手書きメモや絵などのアプリケーションで作成中のコンテンツなどで、様々なデータが扱えることになる。

 これまでのSync APIやCore APIでは、ファイルやフォルダー同期に対応していたが、Datastore APIはこれをさらに拡張する。そしてオフラインにも対応し、オンラインになった時に同期する機能も提供している。

 「Drop-in」は、アプリ開発者が数行のコードを付け加えるだけで、Dropboxの機能を利用できるようにする。今日公開されたのは2つのDrop-in「Chooser」と「Saver」だ。Chooserはファイル選択の仕組みとユーザーインターフェイスを、Saverはファイル保存の仕組みとユーザーインターフェイスを提供する。いずれもiOS、Android、JavaScriptに対応し、数行のコードを付け足すだけで利用可能だ。

 Dropboxは、買収した「Mailbox」だけでなく、Yahoo!Mail、Shutterstockもこれに対応したことを発表した。

 Yahoo!MailではAndroid版アプリで対応。同日Google Playで公開された「Yahoo!Mail for Android」では、メール作成画面でDropboxからファイルを選択し、メールに添付して送信できる機能を、Drop-inを利用して提供している。

 Yahoo!は今年初めにDropboxと提携。大きいファイルサイズの送受信をDropbox経由で実現していた。今回、「Yahoo!Mail for Android」が対応したことで、スマートフォンからも写真や動画といったサイズの大きいファイルの共有が可能になった。

 Dropboxでは、発表されたDatastore APIとDrop-inに関する開発者向けドキュメントを公開。今回行われた開発者会議のキーノートスピーチや他のセッションの動画も後日アップロードする予定だ。

 オンラインストレージ市場では、企業向けに強みを発揮している米Boxもプラットフォーム戦略を展開。当然ながら巨人米Microsoft、米Googleも参入しており、激戦の様相を呈している。

(青木 大我 taiga@scientist.com)