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ネット選挙は空振り? 有権者はウェブの情報活用せず、特に若年層と女性

 グーグル株式会社は30日、今回の参院選と有権者におけるメディア接触との関係を調査した結果を速報として発表した。インターネットによる選挙運動が解禁されて初の国政選挙だったわけだが、政治情報を入手するのにウェブを活用していた人はテレビに比べて少なく、期待されていた若年層におけるウェブ活用が少ないことも分かったという。

 調査は、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の曽根泰教教授、株式会社インテージ、株式会社ブレインパッドと共同で実施したもの。インテージが保有する関東1都6県の20〜69歳のパネル2041人を対象に、5〜7月に継続的に調査した。テレビ番組の視聴ログとインターネットの閲覧ログを機械的に収集したほか、同じ2041人のパネルに対して、選挙についてのアンケート調査も行っているのが特徴。これにより、テレビやインターネットのメディア接触が有権者の支持政党や投票行動に与える影響を継続的に分析できるとしてる。

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の曽根泰教教授(左)と、Googleマーケットインサイトリサーチマネージャーの巳野聡央氏(右)

 これによると、5月23日以降にウェブを通じて政治関係の情報に接触していたのは41%にとどまった。テレビを通じて接触していたとする人は95%に上ったのに対し、その半分以下となっている。なお、接触していたウェブサイトはニュースサイトが34%、その他のサイトが23%だった。

テレビ番組およびウェブサイトでの政治関連の情報接触状況

 ウェブ経由での情報接触回数を性・年代別に見ると、ニュースサイトについては男性で年代が上がるに連れて増加し、60代では1人あたりの閲覧回数が7.4回となっている。しかし20代では1.8回にとどまる。また、女性の20代はわずか0.7回で、年代が上がっても男性ほど増加せず、最も多い50代でも2.7回となっている。グーグルでは、女性および若年層におけるウェブの活用は限定的であるとしている。なお、その他のサイトの閲覧回数は、男女ともすべての年代を通じて少なかった。

性・年代別の政治関連のウェブサイト閲覧回数(48日間)
性・年代別の政治関連のテレビ番組視聴回数(60日間)

 さらに、候補者を含む政党の公式サイトの訪問者率は、最も高かった自民党でも1.18%。その他の政党は、民主党、公明党、日本維新の会などが0.34%など、いずれも1%未満。情報収集手段としてほとんど活用されてないことも明らかになった。

政党別の公式サイト訪問率

 こうした結果を受けて曽根教授は、「ネット選挙が空振りだっという解釈も可能だが、最初のステップとして今後改善するとっかかりが見えてきたという解釈もできる。かなり改善余地を含んだ内容として、ネット選挙への過剰な期待としてではなく、現実的なデータとして今後の方向性が探れるのではないか」とコメントした。

 なお、インターネットの閲覧ログについては単にURLを集計するのではなく、そのウェブページのHTMLソースコードを基に、ブレインパッドがテキストマイニングによって政治関連情報かどうかを解析・分類した上で集計している。データ量が膨大になることから、今回の速報では7月9日までの48日間分しか集計が済んでいない。また、アンケート調査は5月、6月、投票日前の7月11日、投票日後の7月22日の計4回実施している。

 グーグルでは引き続き、残りの期間についてもインターネット閲覧ログの集計を進めるとともに、複数回行ったアンケート調査の結果も詳しく分析。インターネットの政治情報などのメディア接触が有権者の政治意識・投票行動にどのような影響を与えたのか分析したい考えだ。

(永沢 茂)