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ここは以前から草原だった場所なのか……津波被災地の最新ストリートビュー公開

福島第一原発「避難指示区域」8市町村も新規に撮影

 グーグル株式会社は4日、東日本大震災で津波の被害を受けた地域の「ストリートビュー」のうち、岩手県の沿岸部6市町と宮城県の沿岸部11市町について最新の画像に更新した。また、福島第一原発の事故災害により「避難指示区域」に設定されている地域を含む市町村のうち、8市町村のストリートビューを新規に撮影・公開した。

岩手県陸前高田市・旧市役所付近(提供:Google)
福島県双葉郡双葉町中野(提供:Google)

 被災地の状況をストリートビューで記録する取り組みは、「東日本大震災デジタルアーカイブプロジェクト」の一環として行っているもの。岩手県/宮城県については、2011年7月〜12月にかけて撮影したものを、同年12月に公開したのが最初。それから約2年の時を経て、今年4月〜7月に一部地域について再撮影し、被災地のストリートビューで初めてとなる最新画像への更新を行ったかたちだ。

 地図サービス「Google マップ」では、できるだけ最新の情報を提供するという方針のため、ストリートビューの画像も最新のものに切り替える。一方、東日本大震災の画像など、震災の記録を共有するために開設しているサイト「未来へのキオク」では、以前のストリートビューもアーカイブして見られるようになっている。「震災前」「震災直後(2011年)」「震災後(2013年)」という3つの時期を切り替えて表示可能だ。なお、「震災前」については、国道などの主要道路や、仙台市をはじめとする宮城県の一部など、震災前にすでにストリートビューを撮影済みだった地域に限られる。

 時期により大きな変化が見られるという場所のいくつかは、「2年半後のストリートビュー 震災前後・そして今」というコレクションとしてピックアップして紹介している。震災直後は、被災した建物やがれきの山、陸に乗り上げたままになっている船のあった場所が、現在は撤去されて更地になっていることなどが分かる。

「2年半後のストリートビュー 震災前後・そして今」コレクション

 福島県の避難指示区域については、2011年当時は福島第一原発から20km圏内ということで立ち入り・撮影ができなかったが、今年3月になって浪江町のストリートビューを撮影・公開している。

 さらに今回、飯舘村/大熊町/葛尾村/川内村/楢葉町/広野町/双葉町/南相馬市を新規に撮影・公開した。福島第一原発のある地域も含まれており、原発の正門付近もストリートビューに写っている。

 グーグルによると、避難指示区域の8割程度をカバーできたのではないかとしており、さらに現在、川俣町/田村市/富岡町でも撮影に入っている。準備ができしだい公開する予定だ。震災発生直後に福島県内・県外へ避難したまま2年以上、自宅や自分の生まれ育ったふるさとがその後どうなっているか見ることもできない住民もいるとして、ストリートビューが現在の様子を伝える手段になるよう、グーグルが自治体を回って協力を求め、立ち入りの許可を得て撮影したという。

福島県双葉郡双葉町(提供:Google)
福島県双葉郡大熊町夫沢(提供:Google)
福島第一原発ゲート付近(提供:Google)

 Googleプロダクトマネージャー/復興担当の河合敬一氏は、被災地域の風景がこの2年でずいぶんと変わってきたと指摘する。2011年7月の段階では、まだ「爪痕という印象が強かった」。それが現在では建物の解体も進み、住宅の基礎もかなり取り除かれており、辺り一面が野原になっているところもあるという。「南三陸町の特に大きな被害を受けたところに立っていると、草も生い茂って草原のようだった。ずっと前からこうでしたと言われると、そうじゃないかと思ってしまうような風景になっている」。

 しかし、そこは2年半前には街があった場所だ。ここにかつて何があり、どんなことが起こったのかを記録することが、今後、風景がどんどん変わっていくに従い重要になると、河合氏は説明。それを行うのが「未来へのキオク」という取り組みだとした。

 河合氏によると、被災地のストリートビューは2回更新して終わりというのではなく、今後、新しい街ができたらストリートビューで見られるようにするのがグーグルの役目であるとした。

 また、公道からの撮影にとどまらず、被災した建物などの内部についても「震災遺構」として70カ所を超えるパノラマ写真を撮影し、デジタルアーカイブとして公開していることを紹介。さらに今回、岩手県陸前高田市の「高田松原」、宮城県東松島市の「鳴瀬第二中学校」、宮城県塩竈市の「松亀園」(旧えびや旅館)の3カ所を追加した。高田松原では、防潮堤建設予定地の立ち入り禁止区域を特別に撮影しており、「奇跡の一本松」を間近で見られる。

Googleプロダクトマネージャー/復興担当の河合敬一氏

 「未来へのキオク」の英語版サイトの強化も実施。以前はストリートビューだけを提供していたが、投稿された写真など、日本語サイトのフルコンテンツを英語版でも見られるようにした。「東日本大震災からの教訓としてグローバルに発信していく」としている。

(永沢 茂)