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全国の“うまいもん”新商品をSNS的にプロデュース、ニフティと電通が支援

第1弾は秋田県、「きりたんぽ鍋」を餃子に封入

「うまいもんプロデューサー」のロゴ

 ニフティ株式会社と株式会社電通は15日、全国各地の特産食品を活用した新商品の開発を支援するサービス「うまいもんプロデューサー」を正式展開すると発表した。

 全国各地には魅力ある特産品や食材があり、地元の事業者にもその加工技術やノウハウはありながら、商品企画力やマーケティング力が不十分なために新商品の開発に結び付けられないのが実情だという。うまいもんプロデューサーでは、地方の中小食品事業者が作り手として参加する一方で、一般のインターネットユーザーがプロデューサーとして参加。アイデアや意見を交換し、事業者が新商品開発を実現できる仕組みを提供する。

 すでに4月より株式会社秋田銀行が協力して実証実験を行っており、現在までに秋田県内の11社が参加して新商品を企画。そのうち「きりたんぽ鍋風餃子」など、3社が実際に試作品段階までこぎ着けている。ニフティと電通では今後、地域の事業者をよく知る各都道府県の地方銀行との提携を通じて全国展開を図っていく考え。

 きりたんぽ鍋風餃子は、秋田県の株式会社餃子計画が進めているプロジェクト。秋田の郷土料理・きりたんぽ鍋に使うマイタケ、ゴボウ、ネギ、比内地鶏などを具材とし、米粉で作った餃子の皮で包んだ。ただし、きりたんぽ鍋に必ず入れなければならないというセリは、香りが強すぎるために餃子化では使用を断念せざるを得なかったという。

きりたんぽ鍋風餃子

 うまいもんプロデューサーで提供するのは、事業者とネットユーザーの意見交換など、商品完成までの過程をSNSのタイムラインのようなUIで提供する「コミュニケーション機能」、ユーザーから企画への意見などを聞き、リアルタイムで集計できる「アンケート機能」、完成した商品企画について「GO!!」ボタンによりユーザーからの支持をもらえる「うまいもん審査機能」など。うまいもん審査機能で支持を一定数以上獲得すると「うまいもん印」が付与され、商品パッケージに「旨」ロゴマークを利用できる。

 このほか、株式会社47CLUBと連携し、うまいもん印を獲得した商品を販売できるオンラインショップ「うまPショップ(仮称)」を開設する予定だ。

 利用料金は、1プロジェクト開始時に1案件あたり21万円が必要で、期間は1プロジェクトにつき原則として半年間を想定している。このほか、商品完成後の成功報酬として10万5000円が発生する。

「うまいもんプロデューサー」のサービススキーム
「うまいもんプロデューサー」による商品開発の流れ

 ネットユーザーがうまいもんプロデューサーに参加するには、@nifty、Facebook、Twitterのいずれかのアカウントまたはメールアドレスでの会員登録(無料)が必要。その後、気になるプロジェクトにプロデューサーとして参加することで、それぞれの商品企画に参加できる。

 ニフティによると、9月25日のプレオープン以来すでに約8000人が登録。当初は@niftyの会員からの流入が多いために、現時点では年齢が高めの男性の層がメイン。ニフティサーブ時代からの特色として、それぞれ得意なジャンルを持ち、こだわりが強い会員が多いとし、積極的な参加が見込めるという。また、実際に商品が販売されれば、自身が企画に参加したということで会員自らがSNSなどでアピールすることも事業者にとって期待できるとしている。

 なお、必要に応じて試食会の開催もオプションで対応可能。ただし、うまいもんプロデューサーはあくまでも商品企画面でのアイデアなどを集めるのが主目的。ニフティによると、試食を行うとどうしても味のよしあしに議論が集中してしまうため、逆に試食させない方が企画としては有益なアイデアが出る可能性が高いとしている。ニフティではすでに「@niftyスイーツ部」や「酒コミュ」などを通じて、ユーザー参加型の商品開発の実績がある。

15日に東京都内で開催された記者発表会で。(向かって左から)株式会社餃子計画営業部長の浦辺雅裕氏、株式会社電通執行役員の遠谷信幸氏、株式会社餃子計画大潟工場・工場長の阿部孝志氏、ニフティ株式会社代表取締役社長の三竹兼司氏、株式会社白神フォレストコーポレーション取締役の中田範彦氏、株式会社秋田銀行取締役頭取の湊屋隆夫氏、合資会社羽場こうじ店の佐々木隆安氏
株式会社白神フォレストコーポレーションでは、郷土料理「だまこ」の新レシピによる商品化を目指す。だまことは、米粒が半分残る程度にすり潰したご飯をダンゴ状にしたもので、鍋などに投入して食べる。きりたんぽと材料や食べ方は同じだが、棒に付けて細長く整形して焼くきりたんぽよりも手軽に作れる点が異なるという。「うまいもんプロデューサー」では、エビなどを入れた「味付けだまこ」に麻婆豆腐のようなとろみのあるスープを組み合わせた商品を研究中
合資会社羽場こうじ店では、味噌を仕込んだ時にとれる液体「たまり」を、真珠の粒のように球体にした新食感の調味料「たまりパール」を開発中。熱したたまりと粉寒天を混ぜた液体が冷えて固まる前に、冷やしたオリーブオイルの中にスポイトで1滴ずつ垂らすことで球体になる。人工イクラのような構造を目指しているが、粉寒天では内部まで固まってしまうため、今後、球体の表面のみを固めて内部は液体にできるような素材を模索する必要があるという

(永沢 茂)