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ソフトバンクモバイル、屋外で大容量のWi-Fi通信を実現するシステムを開発

 ソフトバンクモバイル株式会社は29日、屋外で開催される大規模イベントなどにおいて、快適かつ大容量のWi-Fi通信を実現する「5.6GHz帯空間分割マルチチャネルWi-Fiシステム」を開発したと発表した。11月3日に宮城県石巻市で行われる「ツール・ド・東北2013」で、このシステムを用いたサービスを石巻専修大学敷地内で提供する。

 システムは、Wi-Fiアクセスポイント装置とアンテナで構成され、大容量の通信を実現するため、IEEE 802.11aなどで使用する屋外利用可能な5.6GHz帯Wi-Fi(W56)アクセスポイントを、1つの装置に6台実装。最大6チャンネル(帯域20MHz×6チャンネル)の通信を可能とする。同一場所に設置した複数のWi-Fiアクセスポイント間の隣接チャンネル干渉の軽減と、通信可能距離を確保するため、指向性が鋭く、利得の高いアンテナを利用する。

 実際のサービスでは、各指向性アンテナを少しずつ異なる方向に向ける「空間分割技術」と組み合わせて、チャンネル間で電波干渉のない広いサービスエリアを確保する。複数のWi-Fiアクセスポイントを同一場所に設置した場合、特定のアクセスポイント(チャンネル)にユーザーの接続が集中し、1人当たりの通信速度が低下することがある。開発したシステムはこうした事態を回避するために、各アクセスポイントへの接続数を均等とする分散制御機能や、実際に通信を行いたいユーザーを優先させる接続の優先制御機能を実装している。

 また、ソフトバンクモバイルが災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを迅速に復旧させることを目的として開発した「係留気球無線中継システム」にも搭載できるよう、小型軽量化した装置も併せて開発。システムを係留気球と併せて使用することで、会場が広く、ユーザーも多い大規模イベントなどで接続品質の大幅な改善が期待できるとしている。

(三柳 英樹)