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ネット依存傾向の高い高校生の半数が「ネットのしすぎで引きこもり気味」

総務省による都内高校生1万5191人の調査で判明

 総務省の情報通信政策研究所は18日、高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査結果を公開した。

 調査は都立の全日制および定時制の高等学校154校を対象に1月7日〜31日に実施。1万5191票の有効回答が得られた。ネット依存傾向の計測手法は、ヤング博士の「インターネット依存尺度」を参考に、ソーシャルメディアとその利用に即した文言を追加。点数に応じて「高」「中」「低」の3つに分類している。

スマートフォンを利用する生徒は使用しない生徒よりもネット依存傾向が高い

 ネット依存傾向が「高」と判定された生徒は全体の4.6%、依存傾向が「中」と判定された生徒は全体の55.2%と、合わせて約6割がネット依存傾向を示している。中でも、ネット依存傾向が「高」と判定された生徒は、男子3.9%、女子5.2%と、女子が多いことが判明した。また、スマートフォン利用者の依存傾向は「中」「高」合わせて62.1%と、利用していない生徒(「中」「高」合わせて47.0%)よりも10ポイント以上差があった。

性別、学年別でのネット依存傾向

 スマートフォン/フィーチャーフォンでのサービスごとの利用時間では、「ソーシャルメディアを見る」が最も長く、全体で1日あたり57分。男女別では男子37.2分、女子74.2分と、男女間で2倍近く差が見られた。反対に、「オンラインゲームをする」では、全体で20.3分だが、男子27.2分、女子13.8分と、男子が女子よりも2倍長く利用している。また、ネット依存傾向が「高」の生徒ほど、「ソーシャルメディアを見る」「ソーシャルメディアに書き込む」で、「中」の生徒の2倍ほど利用時間が長くなる。

スマートフォン/フィーチャーフォンでのサービス毎の利用時間

 スマートフォンの利用率は全体の84.5%。スマートフォン利用開始後に減った時間としては、全体の40.7%が睡眠時間、34.1%が勉強の時間、27.8%がテレビを見る時間と回答している。睡眠時間と勉強時間に関しては、ネット依存傾向が高いほど該当率は上がる。

 日常生活におよぼす影響については、「ひまさえあれば、スマートフォンでネットを利用している」が全体の42.6%。「自分はネット依存だと思う」と回答した生徒は、全体で25.0%、ネット依存傾向「高」の生徒では71.0%に上った。また、ネット依存傾向「高」の生徒の49.0%が「ネットのしすぎが原因で、ひきこもり気味になっている」と答えている。

スマートフォン利用の有無
スマートフォン利用開始により減った時間
スマートフォンのネット利用を原因とする経験
ネット利用による日常生活への影響

 スマートフォン利用に関する家庭内ルールについては、「特に約束していることはない」「食事中は使わない」「有料のアプリやサービスは使わない」が上位に入る。ただし、スマートフォン購入時点で「『何時以降は利用しない』など利用してよい時間帯を制限している」とルールを決めていたと答えた生徒は、全体で6.7%なのに対し、依存傾向が「高」の生徒では12.1%と2倍近く差があった。これは「『何時間以上利用しない』など利用時間の上限を決めている」に関しても同様の傾向が見られた。

スマートフォン利用に関する家庭内ルール

ネット依存傾向が高いほど、Twitterの利用時間が長い

 ソーシャルメディアの利用実態については、「見る」「書き込みをする」と答えた生徒では、LINEが85.5%、Twitterが66.9%、Facebook24.9%と続く。この3サービスは、スマートフォン利用者における利用率が非常に高い。また、「書き込みをする」と答えた生徒に絞ると、LINE、Twitterでは、依存傾向「中」「高」の生徒ほど書き込みする率が高くなる。

利用するソーシャルメディア(見る/書き込みをする)
利用するソーシャルメディア(書き込みをするのみ)

 ソーシャルメディアごとの利用時間は、全体ではLINEが1日あたり80.9分、Twitterが78.6分、Mobageが37.6分と続くが、LINEとTwitterでは、全体とネット依存傾向「高」の生徒との乖離が大きい。Twitter利用時間は、依存傾向「高」の生徒が171.0分と、全体平均と比較して100分近くの差が見られた。男女差では、全体平均でも男子が55.2分、女子が95.2分と2倍近く離れている。LINEにも同様の傾向が見られる。

ソーシャルメディアごとの利用時間

 ソーシャルメディア上でやりとりする人数は、「ソーシャルメディア上だけの友だち」が全体平均19.4人、ネット依存傾向「中」の生徒でも20.9人なのに対し、「高」の生徒では93.1人と、「高」の生徒のみ極端に増える。一方、「今通っている学校の友達」は、ネット依存傾向「低」「中」「高」の生徒ともに14〜15名で差がなかった。

 また、「友だちが多いほうだと思うか」という質問に対しては、「とても少ない」と答えた生徒が全体の9.5%に対し、ネット依存傾向「高」の生徒では22.3%と、2.5倍近くの開きがあり、ソーシャルメディア上での友だちが93.1人と圧倒的に多かったにもかかわらず、友だちは少ないと回答する傾向が見られる。

ソーシャルメディアでよくやりとりする人数
友だちが多いほうだと思うか

 ソーシャルメディア利用開始後の人間関係の変化では、「友だちグループでの連絡事がはかどるようになった」が全体の64.6%、「友だちとより気軽にコミュニケーションができるようになった」が45.5%と多く、人間関係に良い変化が起きている。ただし、ネット依存傾向「高」の生徒では、「友だちの意外な悪い一面を知った」が35.4%、「友だちとのやりとりにを使うことが多くなった」が23.7%と、友だち関係の悪い変化に該当する生徒が全体と比べて顕著に多く、「親にネットのことで注意される事が多くなった」は38.5%と、全体の3倍以上。「親とのコミュニケーションが減った」は23.0%と、全体と比較して4.5倍の開きがあった。

ソーシャルメディア利用開始後の人間関係の変化(複数回答)
ソーシャルメディア利用する際の悩み・負担(複数回答)

 なお、調査報告書の中で、ヤング博士の尺度は、世界的に幅広く用いられているとしながらも、スマートフォンなどによるネットへの常時接続、ソーシャルメディアによるコミュニケーションの一般化など、昨今の環境変化を必ずしも踏まえておらず、依存傾向「高」の生徒であっても、ネットの活用度が高そうであると言えるものの、「ネット依存」として治療が必要な人とまでは言えないとしている。

(山川 晶之)