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キングソフト、中国の名刺管理アプリ大手と提携、日本市場で法人向けサービス
(2014/10/8 06:00)
キングソフト株式会社は7日、中国のINTSIG Information Corporationとの戦略的事業提携を発表した。INTSIGが提供する名刺認識・管理アプリ「CAMCARD」に日本ユーザーのニーズを反映させた新バージョンの提供と、法人向け名刺管理サービス「CAMCARD Business」を開始する。
高精度スキャンだけでない豊富な管理機能を搭載
CAMCARD Businessは、クラウドをベースに、最先端のOCR技術による高精度の読み取り、低価格の人工補正、多彩な管理機能が特徴という。
読み取りは、認識率98%を誇る高精度のOCR技術のほか、2人のオペレーターによるダブルチェックで精度100%を保証する人工補正が利用可能。データ補正は24時間以内に行われ、最短5分で反映される。読み取りにはスマートフォンのカメラを使用するが、PFUのiX500などスキャナーとも連動して名刺の大量取り込みも可能。
認識された名刺データは、見やすく自動補正された名刺画像とともに電話番号やメールアドレス、企業のウェブサイトに分類され1つのページで閲覧できる。名刺データには、さまざまな情報をひも付けることができ、名刺の人にかかわる商談内容を記録したり、指定した曜日での通知もできるToDo機能を備える。データには「販売パートナー」や「潜在顧客」など任意のワードでタグ付けが可能。
名刺データはクラウドサーバーにアップロードされ、Windows/iOS/Androidなどマルチデバイスの閲覧に対応する。外部連携機能として、Salesforce連携、Outlookプラグイン、Excelエクスポートのほか、Google AppsやOffice 365との連携機能も近日公開予定としている。
管理機能は、部門管理、ユーザー登録、共有範囲設定、アクセス制限機能を搭載する。部門管理は階層型で、最大8階層まで登録できるほか、1人で複数の部門に所属する人の登録も可能。アクセス制限は、特定のIPからのアクセス制限や、スマートフォンなど端末別で指定できる。
クラウド基盤はAmazon Web Servicesを使用。サーバーは日本国内に存在し、キングソフトとINTSIGが共同で運用。暗号化技術などでセキュアな環境を構築しており、4つのバックアップサーバーも備えるという。
1アカウントあたりの料金(すべて税別)は、名刺登録枚数が月20枚まで、名刺の人工補正なし、登録ID数が3名までの「free」が無料。登録枚数が無制限、人工補正が月10枚まで、登録ID数が10アカウントまでの「entry」が月額500円。登録枚数が無制限、人工補正が月20枚まで、登録IDが無制限の「standard」が月額1200円。登録枚数が無制限、人工補正が月50枚まで、登録IDが無制限の「professional」が月額2000円となっている。
個人向けCAMCARDは、日本のユーザーの声を反映した新バージョン
CAMCARDは、全世界で1.1億人以上のユーザーを抱える名刺管理アプリ。日本では2012年4月から個人向けに提供されており、ユーザー数は1300万人を超えるという。10月7日には新バージョン「5.5」を公開予定で、Google Play、App Store、ソフトバンクの「App Pass」、KDDIの「auスマートパス」、SAMSUNGの「SAMSUNG GALAXY Apps」で提供される。
新バージョンでは、操作性や視認性などUIを改良したほか、SNS連携を強化。QRコードや「名刺レーダー」を利用した名刺交換機能の強化により、チームなど複数人との交換が可能となる。また、転職や転勤、部署異動などで自身のプロフィール情報を変更すると、登録ユーザーに自動的に通知される。
1億人のユーザーを抱える名刺管理アプリ最大手
記者発表会では、INTSIG創業者で博士のマイケル・ジェン氏(同社CEO)が登壇、INTSIGについて説明した。
ジェン氏は、画像認識技術と人工知能の分野で多くの賞を受賞した科学者で、名刺認識・手書き認識をスマートフォンに応用した第一人者だという。まだ携帯電話にタッチスクリーンやカメラが搭載されていなかった2000年には、人工知能とパターン認識技術の研究を終えており、OCRがモバイルの大きなトレンドになると予想して2006年にINTSIGを立ち上げた。同社はOCR、自然言語処理など100以上の国際特許を取得しているという。
INTSIGでは、CAMCARD以外にも「CAMSCANNER」というドキュメントスキャンアプリを提供しており、ユーザー数は両アプリともに1億人を超えるという。同社アプリの特徴として、名刺1枚を1秒未満で読み取る認識速度のほか、90%以上の認識精度、他社の4分の1のメモリサイズ、17カ国の言語自動検出を挙げている。特に言語の自動検出はINTSIG唯一の機能としている。なお、日本語への対応には、日本語独特の文法や固有名詞、住所、部署などトータルで研究したという。
CAMCARD Businessの展開は日本市場からスタートし、今後中国、韓国、欧州でローンチ予定という。
名刺を管理するツールからビジネスをドライブするサービスに
また、発表会ではキングソフト株式会社代表取締役社長の翁永飆氏が登壇した。同社が提供するドキュメント作成・管理ソフト「KINGSOFT Office」、社内コミュニケーションツール「WowTalk」に加え、顧客管理を担うCAMCARDを展開することでビジネス向けのサービスを拡大するという。
今回の提携により、INTSIGではサービスの開発や技術革新に注力し、キングソフトでは、日本のユーザーの声をもとにUIの改善や機能の追加などサービスの開発に協力するほか、プロモーションやマーケティング、販売、マネタイズなどINTSIGと全方位的に協力する。10月7日に提供したCAMCARDバージョン5.5は、キングソフトがかかわり日本のニーズを一部取り入れている。
また、年内には名刺管理ツールから人と人のビジネスリレーションを結び付けるようなサービスに進化する予定。CAMCARDがアプリ群に加わることで、相乗効果や合わせたメディア価値の向上に努めたいとした。