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Dropboxが日本オフィスを開設、「中小企業の多い日本市場に期待」

 米Dropboxは22日、CEO兼共同創業者のドリュー・ヒューストン氏と、COO(最高業務責任者)のデニス・ウッドサイド氏が来日し、日本オフィス開設についての記者説明会を開催した。

(左から)Dropbox COOのデニス・ウッドサイド氏、CEO兼共同創業者のドリュー・ヒューストン氏、Dropbox Japan社長の河村浩明氏

 9月に設立した日本法人のDropbox Japan株式会社には、シマンテック株式会社の前社長である河村浩明氏が代表取締役社長(カントリーマネージャー)として就任。今後、日本でのスタッフを採用するとともに、セールス、マーケティング、パートナーシップなど日本における業務全体を統括していく。

 ヒューストン氏は、「この1年間、新しいプロダクトのローンチや、世界各地での新しいオフィス開設などで、とても忙しく過ごしている」として、米国外では3番目のオフィスとなる東京オフィスを開設することを嬉しく思うとコメント。Dropboxでは、ユーザーがシンプルに使えるプロダクトを提供することで、ユーザーからの支持を受けているとして、現在では世界で3億人、日本でも800万人のユーザーが既に利用しており、急ピッチで成長を続けているとアピールした。

ドリュー・ヒューストン氏

 ウッドサイド氏は、Dropboxではコンシューマー向けのサービスとして無料の「ベーシック」と有料の「プロ」を提供してきたが、企業向けの「ビジネス向けDropbox」も既に世界で8万社の企業が導入するなど、企業向けの領域でも拡大していると説明。Dropboxは特に中小規模の企業にとって、仕事の効率を上げ、コストの節約に貢献できると考えており、労働人口の約70%が中小企業に勤務しているという日本市場には非常に期待していると語った。

デニス・ウッドサイド氏

 河村氏は、前職時代から日本でも多くのユーザーがDropboxを利用していることに驚いていたが、世界的に見れば日本のユーザーは全体の数%でしかなく、日本での知名度や利用率を上げることが当面の目標だと説明。Dropboxは、まず一般消費者が利用し、企業が後追いで利用する「コンシューマライゼーション」の典型的なサービスだとして、パートナーとともにビジネス市場も伸ばしていきたいとした。

河村浩明氏

 Microsoftの「OneDrive」やGoogleの「Googleドライブ」をはじめ、Dropboxには競合サービスも数多い。こうしたライバルとの競争戦略についてウッドサイド氏は、「以前は一番安く提供したところが勝者になっていたが、現在はiPhoneが高くても支持されているように、ユーザー体験の素晴らしさが重要」とコメント。「ユーザーは、自分の大事な情報を格納する場所として、信頼性やパフォーマンスなどでサービスを吟味しており、その結果としてDropboxを選んでいただいていると思う」と語った。

 ヒューストン氏は、「我々が見据えているのは巨大な市場。ユーザー一人一人がDropboxのようなサービスを必要としており、現在約30億人と言われるインターネットユーザーの総人口からすれば、まだまだ始まったばかりだと考えている」とコメントした。

 また、政府機関などによる監視も話題となっているが、「政府による監視の一端をDropboxが担ったことはない。ユーザーの情報はなんとしてでも保護するというのが我々の立場」(ヒューストン氏)だとして、ユーザーのプライバシーを守ることに努めていくとした。

(三柳 英樹)