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NII、新プロトコル「MMCFTP」で世界最速クラス約83.7Gbpsの長距離データ転送に成功

 国立情報学研究所(NII)は13日、長距離高速ファイル転送を可能にする新プロトコル「MMCFTP(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)」の実証実験により、世界最速クラスとなる約83.7Gbpsの長距離データ転送に成功したと発表した。

 NIIでは、今回の実験を行った背景として、素粒子物理学などの先端科学技術分野においては、国際協力で構築された実験装置で得られたビックデータなどが参加各国に転送されて分析されており、100Gbps級の超高速ネットワークの整備が進められているが、転送プロトコルの制約から長距離通信時の転送速度が上がらないことが課題になっていると説明。

 MMCFTPは、同時に多くのTCPコネクションを使用することが特徴で、ネットワークの状況(遅延の大きさやパケットロス率)に応じてTCPコネクション数を動的に調整することで、安定した超高速データ転送を実現。要素技術として株式会社NTTデータの特許を活用し、NIIが超高速通信やリンクアグリゲーションに対応するように転送プログラムを改良開発した。

 実証実験は、3月27日~28日に、情報通信研究機構(NICT)が運用する研究開発テストベッドネットワーク「JGN-X」上で実施。JGN-Xの東京-大阪-石川間の100Gbps回線を往復する形で、1PB(1000TB)の巨大データを26時間31分55秒(平均約83.7Gbps)で転送した。

実験系の構成

 NIIでは、国内外を100Gbps回線で結ぶ次期「学術情報ネットワーク」(SINET5)を2016年4月に運用開始する予定で、これに合わせて国際環境でも実証実験を行うとともに、MMCFTPを先端科学技術発展のために提供し、実利用を通じて安定化とさらなる高速化を図っていくとしている。また、MMCFTPについては、6月12~13日に開催する「NII オープンハウス 2015」で展示およびデモを行う。

(三柳 英樹)