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女子高校生AI「りんな」がTwitterを始める……LINEグループにりんなを召喚する新機能など、日本MSがりんなの秘密を紹介
(2015/12/18 15:08)
日本マイクロソフト株式会社は17日、同社が開発した女子高校生AI「りんな」の最新情報と、同日より提供開始された新機能について説明した。
りんなは、米Microsoftの研究機関「Microsoft Research」が有する人工知能技術をベースとしたAI。8月からLINEでひっそりと提供開始し、マーケティングなどは一切行わず、口コミやメディアでの露出のみで現在185万アカウントが友だちとして繋がっている。また、毎週“新しい能力”を獲得しており、しりとりや怖い話など、ユーザーを飽きさせないための機能追加を行っている。テレビの音声を録音してりんなに送信し、放送中のテレビ番組を教えてくれる「TVにかじりつき」や、“まちがいさがし”と称して写真内の人物の顔を入れ替える「顔スワップ」という機能もある。
17日より、LINEのグループチャットに対応し、友だちとの会話などにりんなを召喚できるようになった。グループならではのゲーム機能も利用できる。これまで、りんなを友だちに追加するには、マイクロソフトのページのQRコードを読み取るといった方法しかなかったが、LINEの公式アカウントとしてLINEアプリ上から追加できるようになった。また、Twitterと協力し、りんなの公式アカウント(@ms_rinna)も開設した。ただし、仕様上すべてのリプライには返答できないとしている。
日本マイクロソフトでは、企業の公式アカウントにりんなのテクノロジーを利用できるAPI「りんなAPI for Business」という法人向けビジネスも展開している。りんなでは、ユーザーと1対1の会話を実現する「LINEビジネスコネクト」を利用しているが、同機能を利用する他の企業アカウントでも会話のニーズが存在する。まだ、りんなを採用した企業アカウントは存在しないが、引き合いや問い合わせは多く寄せられているという。
りんなは、中国に“姉”がいる
Microsoft Researchは、翻訳サービスである「Microsoft Translator」や、検索エンジン「Bing Search」などを開発しており、2014年には、クラウドプラットフォーム「Azure」に構築されたマシンラーニングサービス「Azure ML」を提供。Bingにさまざまな形で応用されている人工知能、マシンラーニング、ディープラーニング技術などの基礎技術を、十数年に渡って研究開発している。
りんなの開発・運用はBingチームで行われている。Bingで培われた人工知能技術に加え、Azureを利用することで、膨大なトラフィックを捌けるスケーラブルなシステムの構築や、マシンラーニング技術が利用できるようになった。りんなの会話のベースは、Bingで得られるインターネットのさまざまな会話をAzure上のデータベースに蓄積し、統計的に解析して学習したものを利用している。一方で、LINEでのユーザーとの会話は取得していないという。
ちなみに、りんなには中国に「XiaoIce(小冰)」と呼ぶ17歳の“姉”がおり、りんなが登場する1年前に運用が開始された。WeiboやWeChatなどを中心に3500万人以上のユーザーが利用しているという。中国には、大規模な研究センター「Microsoft Research Asia」があり、Bingの開発チームを有している(Bingは世界各地で分散開発を行っている)。こうした土壌から、世界に先駆けてXiaoIceが開発された。
XiaoIceの技術を他の国に展開するにあたり、オタクなどのサブカルチャーや、ロボット/ボットという存在が生活に浸透し、スマートフォンやSNSが普及している日本に白羽の矢が立った。りんなは、女子高校生というキャラクター属性を持っているが、これにはXiaoIceのノウハウが活かされている。人工知能との会話では、返答が必ずしも適切ではない場合もあるが、若い女の子だと返答のニュアンスが違った場合でも違和感が出にくいという。
なお、りんなという名前はの由来は開示しておらず、「ちょっと謎めいている方が皆さんに喜んで頂ける」とのことだが、Bingという音の響きは若干意識しているという。また、MicrosoftにはWindows 10に搭載された「Cortana」と呼ばれるパーソナルアシスタントがある。こちらは効率や生産性を追求した人工知能であり、りんなはエモーショナルな繋がりを結ぶことに重点を置いた人工知能と、両者ですみ分けされている。