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Google、モバイルアプリ開発用MBaaS「Firebase」を拡張、ログ解析ツールも無償提供

 Googleは、サンフランシスコで開催中のイベント「Google I/O 2016」で、モバイルアプリ開発用MBaaS「Firebase」の大幅な機能拡張と、ログ解析ツール「Firebase Analytics」を19日より無償提供することを発表した。

 Firebaseは、iOS/Android向けのモバイルアプリやモバイルウェブアプリ開発において、バックエンドに必要となるリアルタイムデータベースやストレージ、ユーザー認証、ホスティング、メッセージングなどの各種サービスを提供するMobile Backend as a Service(MBaaS)。

 Firebaseは、今回の機能拡張でGoogle Cloud Platformと統合。ウェブサイトが刷新され、アプリ管理用のコンソールのデザインも再構成された。

 Firebaseが提供するサービスのうち、Analytics、Crash Reporting、Remote Config、Firebase Cloud Messaging、Dynamic Linksは無償で機能の制限なく利用できる。一方、Realtime Database、Flie Storage、Hosting、Test Labの価格体系も変更され、制限付き無料プランのほか、月額25ドルのプラン、大規模アプリ向けの従量制プランに整理された。

 「Firebase Analytics」は、アプリ内でのユーザーの行動を記録するログ解析ツール。Google Analyticsのモバイル版ともいうべきサービスで、属性に基づいてユーザーグループを定義するAudienceという機能により、Firebaseのほかのサービスからのアクセスが可能となる。Googleの広告プラットフォームであるAdWordsとも統合されている。

 「Crash Reporting」「Test Lab」「File Storage」は今回より提供される新しいサービス。Crash Reportingはモバイルアプリの問題の診断や修正を行う上で、優先順位付きのレポートを生成するサービス。Firebase AnalyticsのAudienceと連携し、特定の端末や場所などから、クラッシュ率が高い局面を判断しやすくなっている。

 「Test Lab」は、Googleのデータセンターにホストされた端末で、アプリに対して自動テストやカスタマイズしたテストを行うもの。「File Storage」は、Google Cloud Storageを使用し、画像、動画などの大きなファイルをアプリから簡単かつ安全にアップロードやダウンロード可能になる。

 「Remote Config」は、アプリの新バージョンを公開せずに機能を有効化・無効化したり、ルックアンドフィールを変更するように、アプリの調整やカスタマイズが可能なサービス。「Firebase Cloud Messaging」は、Google Cloud Messagingと統合されたもので、無料で制限なく端末へのプッシュメッセージを利用できる。

 これまでも提供されていた「Firebase Realtime Database」はインターフェイスを変更。「Firebase Hosting」はカスタムドメインを無料提供可能になった。「Firebase Authentication」はSDKを一新、Googleアカウントと同様のセキュリティ、信頼性、拡張性が強化され、新しい認証機能も追加された。

 このほか、ユーザーグループを選んで通知を行える「Firebase Notifications」、端末の種類やブラウザーによってアプリからのリンク先を動的に変更できる「Firebase Dynamic Links」、ユーザーがSMSやメールで紹介コードやお気に入りのコンテンツを共有するための「Firebase Invites」、Googleの検索結果からアプリを直接起動できる「Firebase App Indexing」といったサービスも提供される。

 Googleでは2014年10月にFirebaseを買収。それまでに利用していた11万人のアプリ開発者が、現在は45万人超までに増加しているという。

(岩崎 宰守)