子供を監視する無料ソフト「ノートン オンライン ファミリー」正式版公開


「ノートン オンライン ファミリー」のサイト
遮断画面

 株式会社シマンテックは8日、ペアレンタルコントロール機能を提供する無料ソフト「ノートン オンライン ファミリー」の正式版を公開した。Windows 7/Vista/XPとMac OS X 10.5以上に対応する。利用するには、無料のアカウント登録が必要。

 子供が使うPCに「ノートンセーフティーマインダー」というエージェントソフトをインストールしておくことで、不適切なウェブサイトやインスタントメッセンジャー(IM)を遮断したり、アクセス先サイトや検索キーワードなどを把握することが可能だ。

 これらインターネット利用のログは、シマンテックのサーバー側に保存され、保護者は自分のアカウントにログインすることで、遠隔のPCやiPad/iPhoneなどのウェブブラウザー上から時系列で確認できる。リンク先に実際にジャンプして、どんなサイトを見ているのかを確認するのはもちろん、サイトのサムネイルをプレビュー表示する機能もあるため、その場で大まかなサイト内容をチェックすることも可能だ。子供が不適切なサイトへアクセスしようとしたり、あらかじめ設定した利用時間を超過した際などに保護者にメールで通知してくれる機能もある。

 例えば、子供が不適切なサイトを閲覧しようとすると、「このサイトを見ることは、きん止されています」と書かれたページが表示される。子供は、もしリンクをたどって間違ってアクセスしようとした場合は、「まちがえました。前のページにもどります」を選択すればいい。一方、調べものをするなどの正当な理由がある場合は、「このインターネットサイトを見たいりゆうをおうちの人につたえたい」を選択し、入力フォームにその理由を記入すれば、保護者にアクセスの許可を求めるメールが送信される。

 これを受けた保護者は、自分のアカウントにログインし、ログ画面のリンクから実際にそのサイトを閲覧するなどして可否を判断。許可する場合は、ワンクリックで遮断を解除できる。なお、シマンテックによれば、遮断ページの文章は、10歳ぐらいの子供でも理解できるよう配慮したという。

 不適切なサイトへのアクセスに対しては、このように遮断する設定のほか、ログや通知メールなどで把握はするが閲覧は認める設定や、監視外とする設定も可能だ。

 IMについても、保護者が許可していないアカウントとチャットを始めようとすると遮断画面が表示され、同様に保護者に許可を求めるメッセージを送信できる。保護者も、ウェブの場合と同様にログ画面から遮断解除の操作などが行える。

 SNS対策機能も備えている。mixi、GREE、Facebookにおいて、子供が年齢を偽ってプロフィール登録しようとした際に保護者に通知したり、それらSNSへのログインのタイミングや頻度も把握できるという。

 シマンテックによれば、同様のペアレンタルコントロール機能を提供するソフトは従来もあったが、「ノートン オンライン ファミリー」では、無料で提供することのほか、遠隔からログなどを確認できることや、複雑な設定をせずに導入できるようにしたことが特徴。導入にあたっては、監視対象とするPCに「ノートンセーフティーマインダー」をインストールし、あとは指示に沿って設定していけば、保護者のアカウントと紐付けられる仕組みだ。各PCのWindowsまたはMac OSのユーザーアカウントごとに対応するかたちで、家族それぞれ異なる設定をアカウント内に作成しておくことが可能だ。

 なお、フィルタリングするサイトのカテゴリーなどは、子供の年齢に応じて、8歳未満、8~11歳、12~14歳、15歳以上という4段階から選択することで、自動的に典型的な設定が作成される仕組み。また、40以上のカテゴリーを個別に選択してカスタマイズすることも可能だ。


マリアン・メリット氏尾花紀子氏

 8日に東京都内で開かれた記者発表会には、米Symantecで家庭環境と安全なインターネット利用について助言・提言しているマリアン・メリット氏が出席。同社が世界で実施した「ノートン オンライン ファミリー レポート 2010」の調査結果を紹介し、子供のインターネット利用に関して、日本の保護者が世界で最も無関心であることを指摘。「ノートン オンライン ファミリー」を提供することで、「親子のコミュニケーションを促し、インターネットが安全な世界になれば」とコメントした。

 また、ネット教育アナリストの尾花紀子氏は、ペアレンタルコントロールソフトについて「勘違いのない使い方、活用法を広めてほしい」と訴えた。すなわち、裏でこっそり監視し、不適切なサイトにアクセスしたからといってやみくもにしかったり、あるいはインターネットの利用を禁止してしまうのでは意味がなく、結局は友人宅のPCや携帯電話など隠れて使うようになるだけだと指摘。逆に、子供が不適切なサイトを閲覧しようとした時に、なぜいけないのかを話し合うなど、親子のコミュニケーションをとりながら、子供を危険から保護し、インターネットを安全に使うためのアプローチをとっていくことが必要だとした。

 なお、シマンテックの次期セキュリティソフト「ノートン インターネット セキュリティ 2011」では、「ノートン オンライン ファミリー」の機能が提供される予定だという。


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(永沢 茂)

2010/7/8 19:58