IIJが外気冷却式データセンター構築に着手、島根県松江市に


完成予想図

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は26日、商用としては国内初の外気冷却コンテナ型データセンター「松江データセンターパーク」の構築を開始すると発表した。

 島根県の企業立地促進条例に基づく立地計画の認定を受け、同日付で島根県、松江市、IIJの3者間で事業所などの立地に関する覚書に調印。同条例をはじめとする行政の産業振興施策に基づく投資助成、電力料金補助などのバックアップを受け、9月1日より松江データセンターパークの構築に着手する。稼働開始は2011年4月を目指す。

 松江データセンターパークは、クラウド時代のニーズに合った「低コスト」「高いサーバー収容効率」「容易なスケールアウト」を実現するコンテナ型データセンターで、IIJのデータセンターパーク構想の第1弾として構築を開始するもの。1)独自開発のITモジュール「IZmo(イズモ)」の利用、2)外気冷却方式によるモジュール型空調システムの採用、3)データセンターコンポーネントの効率的な配置、などを特長としている。

 1)では、外気を供給するダクトとモジュール筐体が一体化されており、IZmo内部の空間自体がダクトの役割を果たす。これにより、ダクトを別途設ける必要がなく、設備コストを低減できるという。また、モジュール内をホットアイルとコールドアイルに分離することで空調効率を高め、電気代などのランニングコストも低減可能。モジュール内に設置するラックを傾斜配置することで、モジュール筐体の幅を2.5m以下に抑えるなどの工夫も凝らしてある。

 2)では、冷却方式として外気を利用し、ITモジュールごとに空調設備を設置する「空調のモジュール化」を実現。環境の変化に応じて、外気と空調を組み合わせた複数の運転モードを自動的に制御することで、空調電力コストを大幅に削減するという。

 3)では、ITモジュールの前後に電気設備と空調モジュールを配置する独自方式「MISP(Module Inter-connection over the Shortest Path)」を採用する。これにより、電源配線、冷媒配管などの接続距離を最短にし、配線などから生じるエネルギーロスを低減するという。

 敷地面積は約8000平方メートル、ITモジュール数は最大24台、ラック数は最大216台。


IZmoイメージ図

 IIJでは、2010年2月より国内初の外気冷却方式を採用したコンテナユニットによるデータセンターの実用性について実証実験を行っており、無停電電源装置(UPS)や配電盤などの消費電力を含まないエネルギー効率指標である「Partial PUE」で1.1以下の実測値を出している。こうしたノウハウを活用することで、クラウド環境に最適なデータセンターを今後も複数カ所に展開していく予定。


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(川島 弘之)

2010/8/26 13:23