東京都の改正青少年条例がついに全面施行、子供向けケータイ推奨制度など


 2010年に改正された「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が7月1日より全面施行された。

 今回施行された新規項目としてはまず、携帯電話関連がある。青少年が使用する携帯電話でフィルタリングサービスを解除するにあたっては、その理由を保護者が書面で携帯電話キャリアに提出することが義務付けられた(第18条の7の2)。また、青少年の健全な育成に配慮した携帯電話端末および機能を、都知事が推奨する制度が新設された(第5条の2)。

 東京都の青少年健全育成条例は、改正案が2010年12月に都議会で可決・成立した後、2011年に入り段階的に施行されていた。1月1日からは、児童ポルノの根絶に向けた都の責務(第18条の6の2第1項、第3項)などについて、4月1日からは、フィルタリングの性能向上・普及に努めることとする事業者の努力義務(第18条の7第1項、第2項)や、青少年のインターネット利用の適切な管理に努めることとする保護者の努力義務(第18条の8)などの項目が施行されている。ここでは、青少年がインターネットを利用して違法行為や有害行為を行った際に、その保護者に対して都が情報提供や支援を行う努力義務も規定している。

 インターネット関連以外にも、4月1日からは、青少年が児童ポルノの対象になったり、13歳未満の青少年が悪質なジュニアアイドル雑誌・DVDに出演することのないよう保護者や事業者に求める努力義務(第18条の6の3)について施行された。また、青少年に閲覧・販売させないよう出版・書店業界に自主規制を求める図書類として、刑罰法規に触れる性行為や近親者間における性行為を不当に賛美・誇張して描いた漫画・アニメが追加された(第7条第2号)。

 さらに7月1日からは、上記の漫画・アニメのうち、強姦など著しく社会規範に反するもので、東京都の規則で定める基準に該当するものを、都知事が「不健全図書」として指定できるとする項目(第8条第1項第2号)も施行された。指定を受けると、青少年への販売などが禁止される。あわせて、「成年コミック」「成年向け雑誌」といった表示をするよう出版社に努力義務が課せられる図書類としても、これと同様の基準が追加された(第9条の3)。

 改正条例の全面施行にあわせて6月30日、「東京都青少年の健全な育成に関する条例施行規則」が改正された。携帯フィルタリングを解除する際に、保護者が提出する書面の記載事項(施行規則第30条の3)などを具体的に定めている。

 また、新たに設けた青少年向け携帯電話端末・機能の推奨制度に関して、おおむね「小学生程度」「中学生以上」という区分で、推奨基準となる要件をまとめている(施行規則第2条の2)。東京都では1月以降、学識経験者などからなる委員会を設置し、推奨基準の検討を進めていた。

 このほか、前述のような漫画・アニメを不健全図書として指定する基準についても施行規則で新たに定めており、それに該当する行為を疑似体験させるコンピュータープログラムも含むことも示されている(施行規則第15条第2項)。


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(永沢 茂)

2011/7/5 11:00