記事検索
最新ニュース

都の青少年健全育成条例改正案、条文が明らかに、ネット・携帯関連も修正

「非実在青少年」の文言は削除


 30日に本会議がスタートする第4回定例東京都議会に、都が提出する予定の「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例(案)」の内容が22日、明らかになった。

 携帯フィルタリングサービスの解除手続きを厳格化することなど、インターネット関連の新たな規制などを盛り込んだ改正案は当初、2〜3月の第1回定例都議会に提出(以下、「1定改正案」)されたが、継続審議となり、6月の第2回定例都議会で否決された。漫画やアニメなどに描かれた「非実在青少年」に関する規制を盛り込んだことが波紋を呼んだのが影響した。また、インターネット関連の規制についても定義があいまいとの指摘も上がっていた。今回提出予定の改正案(以下、「4定改正案」)では、これらに関する条項で文言の修正や削除・追加が行われている。

「1定改正案」と「4定改正案」の主な相違点(東京都の説明資料より)

 都の説明によると、「インターネット利用に係る事業者の責務」を規定した「第十八条の七」について、1定改正案では、「青少年の『自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発する』情報の閲覧を最小限に止めるよう努める事業者の責務」を定めていた。

 これに対して4定改正案では、「フィルタリング開発・提供事業者は、インターネット利用による青少年の犯罪被害等が生じている実態を踏まえ、フィルタリングの性能及び利便性の向上に努める」という内容に修正したという。

 この部分は、インターネット業界団体などで問題視されていた部分。「第十八条の七」の条文案の具体的な修正個所は以下の通り。

<1定改正案>

第十八条の七 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第五条の事業を者をいう。以下同じ。)及び青少年有害情報フィルタリングソフトウェア(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)に関係する事業を行う者(青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号の民間団体をいう。)は、その業務に関し提供等を行う青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービス(青少年インターネット環境整備法第二条第十項に規定する青少年有害情報フィルタリングサービスをいう。以下同じ。)が、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限に止めるものとなるように努めなければならない。

<4定改正案>

第十八条の七 青少年有害情報フィルタリングソフトウェア(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ)を開発する事業者及び青少年有害情報フィルタリンスサービス(同条第十項に規定する青少年有害情報フィルタリングサービスをいう。以下同じ)を提供する事業者は、青少年のインターネット利用により青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じている実態を踏まえ、その開発する青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はその提供する青少年有害情報フィルタリングサービスの性能及び利便性の向上を図るように努めなければならない。

2 青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号の民間団体は、青少年のインターネットの利用により青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じている実態を踏まえ、その業務を通じ、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービスの性能の向上及び利用の普及が図られるように努めるもとする。

 また、「インターネット利用に係る保護者等の責務」を定めた「第十八条の八」について、1定改正案では、「都は、青少年がインターネットを利用して『自己若しくは他人の尊厳を傷付つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発』したと認めるときは、保護者に対し、再発の防止に必要な指導・助言、説明・資料提出要求、必要な調査をすることができる」としていたが、4定改正案では「都は、青少年がインターネットを利用して違法な行為又は自己若しくは他人に有害な行為をした場合におけるその保護者に対し、再発防止に資する情報の提供やその他の支援を行う」といった内容に修正。「説明・資料提出要求」「調査」の規定は削除した。

 このほか、青少年の健全な育成に配慮した携帯電話端末を都知事が推奨できるとした「第五条の二」については、4定改正案では、携帯電話端末に加え、携帯端末において利用可能な機能も含めて推奨可能としている。

 一方、保護者が携帯フィルタリングを解除する際に、その理由を記載した書面を携帯事業者に提出させることを規定した「第十八条の七の二」については、修正はない。

 青少年健全育成条例の改正によって携帯フィルタリングサービスの解除手続きを厳格化し、利用の徹底を図る動きは、すでに先行している自治体もある。また、首都圏でも埼玉県と神奈川県で改正がすでに行われ、埼玉県では10月1日から施行済み。神奈川県でも2011年4月1日から施行される予定。


「インターネット利用に係る事業者の責務」(第十八条の七)の相違点(上段:現行条例、中段:1定改正案、下段:4定提出予定改正案。東京都の説明資料より)

「インターネット利用に係る事業者の責務」(第十八条の七)の相違点(続き。上段:現行条例、中段:1定改正案、下段:4定提出予定改正案。東京都の説明資料より)


【追記 21:00】

 なお、青少年に販売したり閲覧させないよう事業者に努力義務を求める図書類として、1定改正案において「非実在青少年」の規制を盛り込んだ「第七条第二号」については、4定改正案において、以下のように修正されている。

<1定改正案>

二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。

<4定改正案>

二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。

 「第七条第二号」に該当する性交等のうち、都知事が不健全図書に指定できるとする図書類の基準を規定した「第八条第一項第二号」は、以下のように修正した。

<1定改正案>

二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの。

<4定改正案>

二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が第七条第二号に該当するもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交又は性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの。

 出版社に対して“成人向け”表示の自主規制を求める図書類の基準を示した「第九条の二第一項第二号」も、これと同基準になるよう修正している。


「図書類等の販売等及び興行の自主規制」(第七条)の相違点(上段:現行条例、中段:1定改正案、下段:4定提出予定改正案。東京都の説明資料より)

「図書類等の販売等及び興行の自主規制」(第七条)の相違点(続き)、「不健全な図書類等の指定」(第八条)の相違点(上段:現行条例、中段:1定改正案、下段:4定提出予定改正案。東京都の説明資料より)

 なお、都では、改正条例を2011年7月1日から施行する考えだが、4定改正案の「附則」には以下の項目を新たに追加している。

<4定改正案>

4 新条例第八条第一項第二号の規定(図書類の指定に係る部分に限る。)は、平成二十三年七月一日以後に発行された図書類について適用し、同日前に発行された図書類については、なお従前の例による。

 このほか、児童ポルノへの規制についても、1定改正案で「児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた気運の醸成及び環境の整備」を掲げた「第三章の三」に大きな修正が加えられている。「まん延の抑止」に向けた規定を削除したとしており、「何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。」とした都民の責務など、条項を大幅に削除している。


児童ポルノに関する「第三章の三」の相違点(上段:現行条例、中段:1定改正案、下段:4定提出予定改正案。東京都の説明資料より)

児童ポルノに関する「第三章の三」の相違点の相違点(続き。上段:現行条例、中段:1定改正案、下段:4定提出予定改正案。東京都の説明資料より)

現行条例、1定改正案、4定提出予定改正案の対照表(東京都作成、全16ページ)


1/16ページ 2/16ページ 3/16ページ 4/16ページ
5/16ページ 6/16ページ 7/16ページ 8/16ページ
9/16ページ 10/16ページ 11/16ページ 12/16ページ
13/16ページ 14/16ページ 15/16ページ 16/16ページ




関連情報


(永沢 茂)

2010/11/22 19:25