iPad全員配布の名古屋文理大が調査、「紙のノート代わりにはならない」が過半数


 名古屋文理大学は4日、情報メディア学科の前期課程が終了したことを受け、同科の1年生95名全員に対して行ったiPad無償配布についてのアンケート結果を一部公表した。「iPadは学習の役に立つ」という設問に対して88.9%の学生が肯定的見解を示す一方、紙のノート代わりにはならないとする回答が過半数を超えるなど、教育現場におけるタブレット端末への評価が一例として示されている。

 アンケートは、iPad全員配布から約2カ月が経過した7月に実施された。この間、学生らは授業資料のデジタル配布、大学オリジナルテキストの電子化、Twitter、電子辞書などにiPadを活用した。また、授業以外の学生生活シーン全般、資格取得支援などにも使われているという。

 設問は、いずれも「そう思う」「まあそう思う」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」の4択式。まず「iPad無償配布は良かった」という設問については、「そう思う」「まあそう思う」の合計が94.9%に上り、非常に肯定的に受け止められていることが分かった。

 また「iPadで資料が配布されるのは便利」では89.6%、「言葉の意味などを調べられるのが良かった」でも97.4%が肯定的見解だった。一方、学生間コミュニケーションについては、すでに学生らに携帯電話が浸透している影響もあってか、iPadの寄与は限定的であると分析している。

 授業中のiPad活用については、設問によって評価が分かれた。「iPadは辞書の代わりになる」の設問には肯定的回答が86.1%を占めたものの、「授業でのTwitter利用は良かった」については約25.6%が否定的意見を示した。

 もっとも特徴的なのが「iPadは紙のノートの代わりになる」の設問で、55.6%が否定的見解。指導教授らによれば、実際の授業でも多くの学生が紙のノートを併用していたという。

 名古屋文理大学のiPad教育利用研究会では「(iPadを)紙の代わりとかパソコンの代わりととらえるのではなく、まったく新しい情報端末として学習への利用を考えるべきだ」という姿勢を従来から示しており、調査からもその傾向が垣間見えるとしている。


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(森田 秀一)

2011/8/5 18:52