国内初お披露目の「iPhone 4S」、iOS 5の新機能など紹介


ティム・クック氏

 アップルは、5日、米国で発表されたばかりの新端末「iPhone 4S」の国内向け展示会を行った。銀座のアップルストアにおいて、米国で行われた発表会の模様を披露し、その後、開発中の新端末のタッチ&トライが開催された。

 「iPhone 4S」は、現行モデルである「iPhone 4」のデザインを踏襲しながら、最新の端末プラットフォームである「iOS5」を搭載し、CPUにデュアルコアの「A5」を採用、さらに裏面照射型の800万画素カメラなどを装備している。

 米国では従来、W-CDMA対応モデル(米国ではGSMモデルと呼ばれる)と、CDMAモデルが存在していたが、「iPhone 4S」は、1台の端末でW-CDMA(850/900/1900/2100MHz)とGSM、CDMA(CDMA EV-DO Rev.A、800/2100MHz)の3方式に対応する。W-CDMA方式は下り最大14.4Mbps、上り最大5.7MbpsのHSPAに対応、CDMAは下り最大3.1Mbps。デザインはほぼ「iPhone 4」と同じものだが、側面部が若干異なっており、通信のアンテナ周りを強化したことがうかがえる。

 16GB、32GB、64GBの3タイプの製品が用意され、北米での価格はそれぞれ2年契約で、199ドル、299ドル、399ドルとアナウンスされている。国内では、従来iPhoneシリーズを手がけているソフトバンクに加えて、KDDI(au)からもiPhoneが登場することになる。アップルの発表では、10月7日より予約受付が開始され、14日に発売されると案内された。

国内ではソフトバンクとauから登場

 ソフトバンクモバイル、KDDIの両社はいずれもiPhone 4Sの発売について、アップルの発表を事実と認めている。ソフトバンクモバイルでは、「iPhone 4Sを取り扱う。詳細は追って発表する」としており、KDDI側も「発売するのは決まっている。発売日や端末価格については近日中に案内する」とコメントし、アップルが案内した予約・発売スケジュールから大きなずれがないとの認識を示していた。

 なお、ソフトバンクとKDDIからはそれ以上のコメントは得られていない。iPhoneを新規に取り扱うKDDIについては、販売形態やメール(ezweb.ne.jp)の取り扱い、SIMカードの採用有無なども気になるところだが、こうした情報は発売前までに明らかにされるものと見られる。アップルのタッチ&トライでは、担当者がソフトバンク版とau版はそれぞれ、SIMロックがかかった状態で提供されると話していた。

iPhone 4S

ハードからサービスまで全て提供するアップル

 今回の発表会は、スティーブ・ジョブズ氏から米アップルの最高経営責任者者(CEO)を継いだティム・クック氏がCEOとして初めて、アップルのステージに上った。同氏は、アップルが非常にユニークな会社であるとし、「モバイルOSから、アプリケーション、サービス、ハードウェアまでの全てを統合して提供できる」と語った。

 クック氏は、パソコンやポータブル音楽プレーヤー、音楽管理ソフトウェアなどの最新の状況を説明した後、iPhoneやiPadについて語った。現行モデルであるiPhone 4は、それまでのiPhoneよりも短期間で高い販売実績を記録しており、顧客満足度でも、「大変満足」と「満足している」を合わせると96%に達するとした。

 世界的に好調なセールスを続けるiPhoneだが、グローバルの携帯電話市場ではシェアは5%に留まる。クック氏は、スマートフォン市場では高いシェアを獲得しているものの、携帯電話市場全体でのシェアを紹介したことについて、「今後は全ての端末がスマートフォンになると考えているから」と説明していた。年間15億台とも言われる携帯電話市場で、アップルはシェア拡大を目指して展開していくという。

 iPadについては、「iPad 2」が顧客満足度で95%が満足と回答していると述べ、米国では全ての州においてiPadを使った教育プログラム(パイロットプログラム含む)が展開されていることや、1000以上の大学でiPadを活用した講義があるとした。パイロットや医師が採用していることなども紹介された。

 クック氏は、米国のタブレット端末は4台のうち3台がiPadであるとし、「米国の消費者は、タブレットを求めているのではなく、iPadを求めている」と自信をのぞかせた。

ロック画面でホームボタンをダブルクリックすると、カメラ機能がすぐに起動できるカメラ画面

iOS 5は10月12日にダウンロード開始

 こうしたiPhoneやiPad、iPod touchなどに搭載されている端末プラットフォームは「iOS」だ。クック氏が、iOSの採用が2億5000件を突破したと話すと、米国の発表会場は拍手でわいた。

 また、アプリが配信されるApp Storeには現在、50万のアプリが用意されており、そのうち、14万件がiPad専用のアプリになるという。アプリはこの3年間で180億ダウンロードを超えており、ペースが伸びている現在は、毎月10億ダウンロードがるとした。

なお、 最新の「iOS 5」は、10月12日よりダウンロードできるようになる。iPhone 3GS以降、iPadシリーズ、第3世代以降
のiPod touchなどで利用できる。

ゲームTwitter連携

新機能

 新機能としては、新着情報の通知機能「Notification Center」が用意され、メール通知やスケジュールさまざまな通知情報がまとめられる。Android端末のように画面を上から下にフリック操作することで画面が現れる。

 また、SMS/MMSと統合されたiOS同士で利用できるメッセージングアプリ「iMessage」も提供される。「iMessage」を利用すれば、3G機能のないiPod touchでもWi-Fiでコミュニケーションが図れる。

 このほか、iOS 5では、定期購読型電子書籍用プラットフォーム「Newsstand」、位置情報ベースでの通知も可能なTodoリスト「リマインダー」、Twitter投稿機能の標準サポート、パソコンなしでアクティベーションできるようになるといった新機能が用意される。

 さらに、5GBのユーザー領域が利用できる「iCloud」も目玉となっている。連絡先やカレンダー、ブックマーク、リマインダーといったPIMデータを、複数のiOS機器やMac OS Xの標準アプリのあいだでプッシュ同期や、iPhoneなどで撮影した写真が自動的にクラウドに吸い上げられて、複数のiOS端末でシェアできるなど、さまざまな機能が利用できる。

 このほか、現実の世界でグリーティングカードが郵送できるサービス「Cards」も明らかにされた。iOS端末からデータを編集すると、アップル側でグリーティングカードを郵送する。アプリは日本語化されており、米国外の利用は4.99ドルと案内された。

 なお、iOS 5の最大のポイントとされた音声入力サービス「Siri」だったが、発売時点では英語とフランス語、ドイツ語に対応するのみで、日本語に対応しておらず、今回のタッチ&トライでも試すことはできなかった。「Siri」はさまざまな機能やサービスを音声で呼び出せるエージェント機能となる。

 発表会の最後、クック氏は、「アップルが他社を大きく引き離しているのは、全てが連動しているからで、こうしたハードやサービスを作ることができるのはアップルしかいない」と語った。

SMSとMMSにiMessengerが統合。文字の予測変換候補の表示位置も変更されたiCloudの管理画面

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(津田 啓夢)

2011/10/5 18:07