「Firefox 9」正式版公開、JavaScriptパフォーマンスが最大3割向上


 米Mozillaは20日、ウェブブラウザーの新バージョン「Firefox 9」の正式版を予定通り公開した。Windows版、Mac版、Linux版がある。なお、Mac版ではPowerPCに対応していない。

 今回のバージョン「9.0」では、JavaScriptエンジンの改良が目玉だ。これは、型推論を導入したことによって、推論された型情報をイエーガーモンキーJITコンパイラで活用できるように改良したものだ。

 これによって、KrakenやV8といった主要なベンチマークで30%以上のパフォーマンス向上が認められている。一般的なサイトでも約2割から3割のパフォーマンスが向上すると考えられている。特に、JavaScriptの重い処理を必要とするサイトでは、大きく高速化されることが期待される。

 将来的にはこの技術を発展させることで、Javaとのパフォーマンスの差をなくすことを目指している。

 Firefox 9.0ではこのほかに、Mac OS X Lionでテーマ統合を改善したほか、タブ間を2本指スワイプでナビゲーションできる機能が追加されている。

 また、JavaScriptによる「Do Not Track」設定確認が可能になったほか、HTML5、数式記述のMathML、CSSなどの標準対応を改善した。安定性やセキュリティに関する問題も数多く修正されている。

 ただし問題もいくつか残されており注意が必要だ。例えば、YouTubeで全画面表示している際にポップアウトメニュー項目を選択すると、Firefoxがハングする場合があるほか、一部のユーザーからはGmailのメイン画面上のスクロール通常より遅くなるとの報告があるという。

 また、Windows版では、Adobe Reader Xのユーザーがブラウザー内でPDF文書を表示した際に動作が不安定になるという現象が報告されている。この場合は、いったんAdobe Reader Xを削除し、その後再インストールすれば解決できるとしている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/12/21 11:46