Evernoteが2013年末までに上場準備、リービンCEO「100年構想」語る


EvernoteのCEOを務めるフィル・リービン氏

 EvernoteのCEOを務めるフィル・リービン氏が17日、「2013年末までに上場の準備をする」と明言した。上場するのは「2013年の数年後」になる見通し。上場の準備とは「数四半期連続で利益を出し、株式公開に足る会社として認められる状態」。具体的な基準としてはユーザー数が1億人、売上高は年間1億ドル程度を想定しているという。

 IPOについてリービン氏は、「ゴールではなく、100年企業になるための1つのステップ」と強調。また、上場後は市場への報告義務が生じるためリスクを負った製品開発が難しくなると言い、上場までの期間は「肝を据えて製品開発に専念する」と話した。2012年後半はEvernoteの共有機能を強化するとともに、企業向けサービスを充実させるという。

 5月に7000万ドルの資金調達を実施したことについては、「100年企業としてのインフラを構築するため」と説明。出資者の中には、Facebookにも投資するMeritech Capitalなどのベンチャーキャピタルに加え、Evernoteと提携しているNTTドコモ、起業家の集まりである「CEOクラブ」などが含まれている。

 CEOクラブは、数十億ドル規模の企業を創業した起業家で構成される組織。Yahoo!のJerry Yang氏やSalesforce.comのMarc Benioff氏、楽天の三木谷浩史氏らが名を連ねており、7000万ドルの10%程度を出資した。「三木谷さんには会社拡大や国際展開のアドバイスをもらっており、CEOとしての考え方も大きな影響を受けている」。

 「100年続く企業でありたい」と常々話しているリービン氏は、「Evernoteを売却することはない」とコメント。その一方で、企業買収は積極的に行なっているとして、2011年8月に買収したSkitch社、2012年5月に買収したPenultimate社などの事例を紹介し、今後も「100年企業」のビジョンを分かち合える会社を買収していきたいとした。

 日本市場については、パートナー企業と先進的な取り組みを行っている「非常に重要なマーケット」と評価。世界でEvernote APIを利用する開発者1万人のうち3分の1は日本人であり、日本初のEvernote連携アプリ・製品も非常に多いと話した。Evernoteのユーザー数は約3000万人。地域ごとのユーザー数の割合では米国の31%、ヨーロッパ全体の20%に次いで日本は18%となっている。


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(増田 覚)

2012/5/17 17:08