iPhoneアプリで日本のGDP上げる、頓智ドット「tab」が描く未来
頓智ドット株式会社は1日、ネット上や外出先で発見した興味や関心を行動に結び付けるというサービス「tab」のiPhoneアプリ「tab light」を公開した。App Storeから無料でダウンロードできる。
tabは「興味を発見する」「お気に入りに入れる」「実際に行動する」ことを支援するサービス。雑誌をパラパラとめくるような感覚で、新着順や人気順、場所、フォローなどで提示されたコンテンツを閲覧し、その中からお気に入りに登録できる。
お気に入りに登録したコンテンツは、「差し入れで欲しい絶品スイーツ」や「渋谷周辺のランチスポット」など、雑誌の特集を作るように特定のテーマでまとめられる。他のユーザーが作ったまとめをフォローすることも可能だ。
tabに掲載されているのはユーザー投稿コンテンツのほか、メディアや店舗、ブランドなどのパートナーが投稿したもの。掲載エリアとしてカテゴリーが設けられているのは渋谷、六本木、銀座の3カ所のみだが、投稿時には任意のエリアを設定できる。
iPadアプリのトップ画面 | iPadアプリのアイテム画面 |
●外出先で気になったものを記憶、忘れずに行動に移せる
6月に公開したウェブ版やiPadアプリ版は自宅や会社での利用を想定し、「興味を発見する」「お気に入りに入れる」ことを主眼に置いていた。一方、今回公開したiPhoneアプリ版のtab lightは、外出先で「実際に行動する」ことを想定している。
tab lightの主な機能は2つ。ネット上だけでなく、外出先で見つけた興味や関心をお気に入りとして集める「投稿」機能と、自分で集めたお気に入りの情報を確認できる「閲覧」機能に特化した。
例えば、外出先で気になるお店を見つけた際に、アプリを立ち上げて写真を撮影するか、カメラロールから写真を選んでtabに投稿すると、現在地もしくは写真の位置情報が投稿に反映される。
iPhoneのGPS機能を活用すれば、リスト形式、マップ形式、AR形式の3種類で現在地近くのお気に入り情報を確認できる。これにより、「近くにいるのに気になっていたお店に行き忘れる」といった“機会損失”を防げると、頓智ドットCEOの谷口昌仁氏は語る。
「仕事中に通りがかったショウウィンドウの商品が気になっても、忙しくて『今度でいいや』という時は、ほとんどが帰宅後には忘れてしまう。tabに登録しておけば、再びその場を訪れたときに思い出せるのです。」
リスト形式ビュー | マップ形式ビュー | AR形式ビュー |
●シャネルの店内撮影解禁で日本のGDPが上がる
街頭や飲食店などで気になったものをスマートフォンで撮影する――。至る所で目にする光景だが、谷口氏は「シャネルのような高級ブランド店でも、気になった商品を撮影できる空気を作っていきたい」と意気込みを語る。
多くのブランド店は店内撮影を禁止している。しかし、tabに写真を投稿すれば位置情報も反映されるため、仮にその時に商品を購入しなかったとしても、「次回に近くを訪問した際にその商品を思い出せる」と谷口氏は力説する。
「店舗の周辺でiPhoneアプリを立ち上げて『あなたはこのバッグをお気に入りに登録してたよね』となれば、その商品を買う可能性は高くなる。これはネットの世界では当たり前の話ですが、店舗からすればリターゲティング広告と同じこと。そうなればお客さんも幸せだし、店舗も売り上げが伸びる。日本のGDPが上がっちゃいますよ。」
●“獣道マーケティング”で収益確保
頓智ドットCEOの谷口昌仁氏 |
収益面では、ユーザーがお気に入り登録したアイテムの内容や場所をもとに、ユーザーに適した広告を配信する。tabに登録されたアイテムは現在、「六本木」「渋谷」「銀座」のエリア別に表示されるが、それらの目立つ位置に広告を配信する仕組みだ。
さらに、ユーザーがお気に入りに登録したアイテムの内容や位置情報をもとにした広告配信も検討する。例えば広告主は、渋谷や恵比寿周辺でファッション関係のアイテムを登録しているユーザーを対象にしたターゲティング広告を配信することが可能となる。
「広告主からしてみると、tabのユーザーが日常的に通る“獣道”に沿って、関心のありそうな広告を配信できるわけです。僕はこの手法を“獣道マーケティング”と呼んでいます。」
将来的にはtabとECサイトを接続することも想定しているが、谷口氏はあくまでリアルの消費を活性化したいと語る。「日本の小売・サービス業の売上全体に占めるECの売上はわずか2.5%。それよりもリアルの売上を伸ばした方が経済効果は大きい」。
Androidアプリのリリース時期は未定と言うが、1年後にはAndroidアプリも含めて300万ダウンロードを目指す。
関連情報
(増田 覚)
2012/8/1 11:00
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