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DeNAがスマホ向け音楽配信に参入、守安社長の勝算とは

 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は10日、スマートフォン向け音楽サービス「Groovy(グルーヴィー)」を2012年度内に開始すると発表した。ユナイテッド株式会社が権利を有するiOS/Android向けの音楽再生アプリ「Discodeer」(ディスコディア)を譲り受け、後継サービスとしてGroovyを提供する。

 Groovyは、楽曲を再生する音楽プレーヤーの機能に加えて、ソーシャルネットワークサービス(SNS)機能を備えるのが特徴。ユーザーは音楽を視聴したり購入できるほか、音楽を中心としたコミュニケーションを通じて、新たな音楽と出会えるとしている。なお、ビジネスモデルやサービスの詳細は今年度中に改めてDeNAが説明する。

 現時点ではアップフロントワークスやEMIミュージック・ジャパン、ソニー・ミュージックエンターテインメント、ビクターエンターテインメント、ポニーキャニオン、メディアファクトリー、ユニバーサルミュージックなど24のレコード会社が参画し、合計で100万曲以上を提供することが決まっている。

現時点でレコード会社24社が100万曲以上を提供することが決まっている

 DeNAが譲渡を受けたユナイテッドのDiscodeerは、2011年12月14日にサービスを開始。その後、約10カ月で150万ダウンロードを突破、App Storeランキングのミュージックカテゴリで1位を記録した。音楽の再生と同時に歌詞が表示されることが特徴。ユナイテッドは今後、Groovyのアフィリエイトメディア領域をDeNAと共同展開するという。

音楽配信+SNSで差別化、レコード会社は顧客層拡大に期待

 DeNAが音楽事業に参入する背景には、スマートフォンの普及による音楽聴取スタイルの変化がある。総務省が2012年3月に発表した調査によれば、スマートフォンで利用しているサービスでは「音楽再生、ダウンロード」が47%に上り、従来型の携帯電話の24%から大きく増えている。

 DeNAの守安功代表取締役社長は、今後さらにスマートフォンでの音楽利用が高まっていくと指摘。Groovyでは「スマートフォンならではの音楽の新しい楽しみ方」を実現できると考え、音楽事業への参入を決めたと話す。「ゲームでソーシャルゲームという新しい楽しみ方が生まれたように、音楽でもソーシャルミュージックという新たな楽しみ方を実現したい」。

 レコード会社側も、「DeNAは既存の音楽配信にはないことを考えている気がする。それにわくわくする」(ソニー・ミュージックエンターテインメントの北川直樹社長)、「DeNAの新サービスによって新たな音楽ファンを獲得することで市場が伸びる」(ユニバーサルミュージックの小池一彦社長)と期待を寄せている。

 既存の音楽配信サービスへの勝算について守安社長は、「配信数では品ぞろが劣らないようにした上で、音楽を聞くだけではないプラスアルファの部分」で勝負したいと述べ、SNS機能で差別化を図る考えだ。10日にはGroovyのティザーサイトをオープンしており、メールアドレスを登録すればサービス開始のお知らせが届く。

左からソニー・ミュージックエンターテインメントの北川直樹社長、DeNAの守安功社長、ユニバーサルミュージックの小池一彦社長、ビクターエンターテインメントの斉藤正明社長

(増田 覚)