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詐欺被害を受けた約3割が「誰にも相談しなかった」~トレンドマイクロがネット・電話詐欺の被害状況調査

適切な対策やさらなる被害の予防のため、被害の可能性があったら周囲に相談を!

 トレンドマイクロ株式会社は、「ネット・電話詐欺被害状況調査」を実施し、結果を発表した。

 同調査は、日本国内の16歳以上の男女を対象に、2025年3月にインターネット上で実施されたもの。有効回答数は5070。

約6割が、詐欺や詐欺らしき不審な体験を経験

 ネット・電話を介した詐欺や詐欺と思われる不審な体験をした経験があるか尋ねたところ、経験した割合は全体で64.4%という結果だった。性別・年代別の傾向では、男性の50代、60代、70歳以上がいずれも72.9%を超える高い傾向にあり、70歳以上が76.7%で最多となった。

ネット・電話を介した詐欺や詐欺と思われる不審な体験をした割合

 これをルール別に見ていくと、「メッセージやメールの受信」が44.9%で最多となり、以降「電話」が28.4%、「デジタル広告」が22.0%と続いた。

詐欺種類(ツール)別のネット・電話を介した詐欺や詐欺や詐欺と思われる不審な体験をした割合

約3割が実際に詐欺被害にあった経験あり

 ネット・電話を介した詐欺や詐欺に遭遇したと回答した人(回答数:2140)を対象に、被害の経験について聞いたところ、30.3%が被害を経験していることが分かった。

ネット・電話を介した詐欺の被害経験

 遭遇した詐欺の手口の内訳は、実際には存在しない未払の料金などを請求する「架空料金請求詐欺」が6.9%で最多だった。続いて、偽の当選通知でだまし、手続きのためなどとして金銭を要求する「懸賞金詐欺」が5.5%、ECサイトなどを装いログイン情報や個人情報を入力させて盗む「フィッシング詐欺」が5.3%と続いた。

詐欺の種類(手口)別、ネット・電話を介した詐欺の被害経験

平均被害額は約264万円、1億円超えとの回答も

 続いて、ネット・電話を介した詐欺の被害経験がある人(回答数:621)を対象に、金銭的被害が発生した割合は52.2%で、金銭的被害が発生した人の平均被害額は263万7000円だった。特に高額な1000万円以上の被害が発生したと回答した割合は1.3%に留まったものの、なかには1億円以上の被害が発生していたと答えた人がいたという。

ネット・電話を介した詐欺の被害額

約3割が被害を「どこにも報告・相談しなかった」

 ネット・電話を介した詐欺の被害経験がある人(回答数:648)を対象に、被害が遭った際の相談先をたずねたところ、「家族」が32.3%、「銀行やクレジットカード会社」が20.3%、「警察」が19.5%と続いた。一方、「どこにも報告・相談しなかった」と回答した割合が31.5%にのぼった。

ネット・電話を介した詐欺に遭った際の相談先

 「どこにも報告・相談しなかった」と回答した人(回答数:204)に理由をたずねたところ、もっとも多かったのは「被害金額が少額だったから」が30.8%。続いて「解決できないと思ったから」が30.5%、「詐欺被害に遭ったことを知られたくないと思ったから」が20.7%となった。

さらなる被害防止のため、詐欺被害は相談・報告を

 3割を超える人が詐欺被害を報告していないという回答に、トレンドマイクロでは懸念を表明している。

 この結果から、警察などに報告されていない詐欺被害が相当数存在することが推測されるが、これら報告されなかった被害は公的統計に反映されなくなってしまう。微額の被害でも報告され、情報共有されることで、公的機関や民間事業者が手口や傾向を把握し、より効果的な対策の検討につなげることができる。

 また、被害者が同様の手口で繰り返し狙われたりすることもあるため、被害の可能性を感じた際には、家族や親しい友人など周囲の人に相談することが望ましいという。同社では、「疑わしい電話やメール受けたら相談する」のようなルールを、日頃から家族や友人間で共有しておくことも、有効な詐欺対策のひとつになると提案している。