被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それって国際ロマンス詐欺かも!
知らない外国人からのメッセージに、25%の人が返信経験。やり取りするうちに43%が好意を持ち、38%が金銭を要求された
2025年4月4日 06:00
電話・ネット詐欺対策アプリを提供するWhoscall(フーズコール)は、2025年1月に「国際ロマンス詐欺に関する調査」を実施しました。今回はそのレポートを紹介します。
「ロマンス詐欺」は今も被害が続出、昨年の被害額は346.4億円
「ロマンス詐欺」とは、SNSやマッチングアプリでアプローチしてきた詐欺師が、恋愛感情を利用して被害者を信用させ、最終的に手数料や投資、税金などさまざまな口実で金銭をだまし取るネット詐欺の手口の1つです。詐欺師は被害者と実際に会うことなく、架空の理由で困難に直面していることを訴え、同情を誘って金銭を要求してきます。
10年以上前から猛威を振るっているロマンス詐欺ですが、今でも被害者が続出しています。警察庁の発表によると、2024年1月~11月におけるSNS型ロマンス詐欺の認知件数は3326件、被害額は前年の約2.3倍となる346.4億円となっています。
知らない外国人から友達申請されたら「国際ロマンス詐欺」かも!
「国際ロマンス詐欺」は文字通り、ロマンス詐欺の国際版と言えるもので、その起点となるのは、SNSで知らない外国人のアカウントからフォローされたり、友達申請したりされることです。
SNSを利用したことがある20代~70代の1万6384人に実施したWhoscallの今回の調査によると、知らない外国人からフォローや友達申請をされたことがあると回答した人は計4割に上りました(仕事の場合を除く)。ちなみに、筆者のFacebookには毎週のように詐欺アカウントと思われる人物から友達申請が来ます。
知らない外国人から申請があったときにどうするか、という質問では、約8割が無視したり、ブロックしたりしていました。しかし、残りの約2割が、友達申請を承認したり、フォローし返したりしているそうです。これはとてもリスキーな行為で、注意する必要があります。
詐欺を疑いつつも「淡い期待」でDMに返信、やり取りを続けているうちに……
同様に、SNSやマッチングアプリで知らない外国人からメッセージ(DM)が届いた経験を持つ人は約3割で、そのうちの25%がその相手に返信したことがあるそうです。そもそもマッチングアプリは出会いが目的なので仕方がない面もありますが、一般的なSNSで返信するのは詐欺に遭う可能性がとても高くなるのでお勧めできません。
ちなみに、メッセージが届いたツールは、Instagram(47%)やFacebook(41%)が多く、X(旧Twitter)(36%)、LINE(30%)、マッチングアプリ(21%)と続いています。
返信した理由の中に、「大抵は詐欺なのは察しがついたが、もしかしたらまともな人かもしれないと淡い期待をした」「詐欺と分かっていて好奇心で」とありますが、だからといって引っ掛からないということではありません。最初は詐欺の可能性を疑っていたとしても、やり取りを続けると、特に意識しなくても「情が湧いて」しまい好意を持つようになったり、何かの一言に不意に心を突かれて好意を持ってしまったりすることがあります。すると「疑っていたけどやっぱり大丈夫」という気持ちも重なり、短期間で泥沼にはまってしまうことがよくあるのです。
実は今回の調査では、知らない外国人とやり取りをした人のうちの43%が、相手に好意を持ったことがあると回答しました。驚くべき“成功率”の高さといえます。
一方、知らない外国人とやり取りする中で、相手を不審に思ったことがあるかという質問には、86%があると回答。その理由としては「変な日本語だったから」「話がかみ合わないから」という理由が上位に来ていますが、外国人だから仕方がない、と思いがちな理由でもあります。
「別のツールに移行しようとしてきたから」という理由も上位にあります。ツールの移行を提案されたら、詐欺師が得意とするツール上で金銭の要求などの“刈り取り“にかかろうとしているのではないか、と疑うべきでしょう。「Telegram(テレグラム)」や「Signal(シグナル)」などは、“闇バイト”でもよく利用される匿名性の高い(詐欺師の身元をたどりにくい)通信ツールです。なお、LINEなどで完結する詐欺もあるので、ツールを移行しないから安全、というわけでないことにも注意してください。
知らない外国人からの金銭の要求に、半数近くの人が実際に支払った経験
そして、知らない外国人アカウントとやり取りする中で、38%が金銭を要求されたことがあるそうです。要求された理由はいろいろありますが、1位が特に理由なし、というのは驚きでした。
知らない外国人アカウントから金銭を要求されたことがある226人のうち、46%が実際に金銭を支払った経験があるとのことです。この割合の高さは驚異的です。それほどまでに、SNSやメッセージでのやり取りの中で信頼感や恋愛感情を高められるというのは、恐ろしい手腕です。
支払った金額は20万円未満が計87%を占めていますが、数百万円、数千万円という人もいます。国際ロマンス詐欺についての理解を広め、だまされて金銭を支払ってしまう人をなくすことで、日本人は引っ掛からないので狙っても無駄だ、と思われる状況に持っていく必要があります。
怪しいアカウントからのアプローチは「最初から無視」が基本
今回の調査結果からは、知らない外国人からのアプローチに一度反応してやり取りを続けてしまうと、いつのまにか好意を持つようになり、金銭の要求にも応じてしまう可能性が決して低いわけではないことが伺えます。そもそも、最初から怪しいアカウントからのアプローチは無視する、という基本を徹底してください。無視していれば、被害を受けることはありません。今回のような調査結果や、具体的な手口なども含め、国際ロマンス詐欺に関する情報をご高齢の家族とも共有し、被害に遭わないよう注意していきましょう。
なお、調査の中で、やり取りを続けた理由に「プロフィールの内容に惹かれたから」というものがありました。今は生成AIツールを使えば誰でも簡単に、魅力的な外見の写真や自然な日本語の文章も作成できるようになっています。ネット詐欺師の参入ハードルが低いうえに、被害総額も大きいので、今後も国際ロマンス詐欺のリスクに注意をしていく必要があります。
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参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと