読めば身に付くネットリテラシー

「自分だけが儲けられる」「自分だけがモテる」は詐欺を疑おう! SNS型の投資詐欺・ロマンス詐欺が爆増中

「SNS型投資詐欺」の被害発生状況の推移(警察庁「令和6年8月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」より)

 警察庁は10月2日、「令和6年8月末におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」というレポートを発表しました。2024年1月~8月におけるSNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺について、認知件数と被害額を集計したものです。認知件数は前年同期比で4860件増となる6868件、被害額は同じく666.8億円増の877.9億円と、大幅に増加しました。しかし、検挙されたのは53人にとどまります。

 SNSで知り合った相手とLINEなどでやり取りして信頼を深め、儲け話を持ち掛けるのが投資詐欺、恋愛感情を持たせてお金を引き出すのがロマンス詐欺です。

 こうした詐欺事件は日々、ニュースで流れています。例えば8月には、青森県の40代男性がX(旧Twitter)で「はるみ」という女性と知り合い、LINEでやり取りするようになりました。その中で、高級ウイスキーである「ダルモア40年」を購入すれば1カ月で100万円値上がりする、と言われたそうです。確かに、近年のウイスキーは暴騰することが多く、買っておけばよかった、と思うことは多いです。この男性も女性の言うことを信じて、3回に渡り138万円を振り込みました。そして、相手と連絡が取れなくなり、詐欺であることに気が付きました。

 SNS型投資詐欺の被害者は男性が53.5%と多く、年齢層は40代が15.0%、50代が23.9%、60代が28.5%、70代が16.7%と、ミドルエイジ以上が多くなっています。30代以下は計8.4%と少ないのです。

 被害額は500万円以下が多いものの、数千万円の被害も多数起きており、1億円を超える被害を出した事件も69件発生しています。詐欺師が詐称した職業で最も多いのが投資家で35.6%、次いで著名人が14.9%となっています。

 最初の段階で接触するツール(当初接触ツール)で最も多いのは、男性の場合はFacebookで19.8%、以下、LINE、Instagram、投資サイト、Xと続きます。女性の場合はInstagramが33.5%でダントツで、以下、LINE、Facebookと続きます。いずれの場合も、その後の連絡ツールとして92.5%がLINEに誘導されます。

 当初の接触手段は、バナー等広告が48.1%を占めています。近年問題になっている有名人を騙った偽投資広告がこれほどの被害を出しているのには驚きました。今年に入ってテレビニュースでもたびたび取り上げられましたが、まだまだ信じてしまう人が多いようです。

「SNS型投資詐欺」の当初接触ツールとその後の連絡ツール

 ロマンス詐欺では、佐世保市の70代女性が4月ごろ、Facebookでシンガーソングライターの藤井フミヤさんを名乗るアカウントと知り合い、その後、LINEでコミュニケーションするようになったそうです。そして、マネージャーと名乗る人物から藤井フミヤさんと3人で会議しようと持ち掛けられ、ヘリコプター代金として130万円を振り込んでしまいました。

 SNS型ロマンス詐欺も、被害者は男性が62.0%と多くなっています。以前は女性の被害者が多かったのですが、男性の被害者も増えているのです。20代・30代も、投資詐欺に比べると被害が多くなっていますが、それでも男性の場合、40代以上が約85%を占めています。

 被害額は500万円以下が多いものの、高額の被害も多数起きています。詐欺師が詐称した職業は投資家が11.0%、会社員が10.9%、会社役員が6.4%などでした。芸術・芸能関係も3.9%と第4位となっており、相変わらず、軍関係や医療機関という手垢の付いた手口も健在のようです。

 当初接触するツールで最も多いのは、ダントツでマッチングアプリです。次いで、男性ではFacebook、女性がInstagramです。その後の連絡にLINEが使われるのは投資詐欺と同様です。

「SNS型ロマンス詐欺」の当初接触ツールとその後の連絡ツール

 あり得ないくらいうまい話は、やはりあり得ない、ということを肝に銘じてください。必ず儲けられるとか、有名人と会えるとか、見破る・見破らない以前に、ネット詐欺だと疑いましょう。

 SNSで知り合った人とコミュニケーションするのはいいのですが、お金を求められたら、どんな口実であれ疑ってください。現金だけでなく、銀行口座の情報でも、個人情報でも、スマートフォンでも、簡単に渡してはいけません。

 手口を知っていれば、SNS型投資・ロマンス詐欺に気付けるようになります。ぜひ、家族ともこの記事を共有してください。読んでくれそうにないなら、「こんな事件が起きて100万円被害に遭ったって」と話してあげてください。自分なら絶対引っ掛からない、といったリアクションが返ってきたとしてもOKです。頭の片隅に残っているだけでも、詐欺を回避できる可能性が高まります。ネットリテラシーを身に付けて、自己防衛しましょう。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと