被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
日本国内で“億単位”の投資詐欺被害が続出! 「儲かる」という謳い文句でだまされたり、ロマンス詐欺を仕掛けられるケースも
2023年12月22日 07:02
今年も投資詐欺被害が各地の警察署から発表されています。FX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨などを話題に、さまざまな手口で「儲かる」などとそそのかし、大金を奪うネット詐欺の被害が出ています。ここでは、徳島県、長野県、北海道において、最近報じられた高額の被害事例を紹介します。
徳島県:2億4500万円
徳島県のケースでは、6月に70代男性がFacebookで知り合った自称20代の女性に仮想通貨への投資を勧められたことが切っ掛けでした。FacebookからLINEにコミュニケーションツールを乗り換え、3週間ほどやり取りした後、仮想通貨への投資を持ち掛けられ、結果的に2億4500万円もだまし取られました。登録したウェブサイトの画面上では利益が出ているように見えていたのですが、暗号資産を現金化しようとした際、引き出せなかったことから被害が発覚しました。なお、暗号資産に関連した詐欺の被害額としては、県内では最高額になると報じられています。
長野県:8631万9972円
長野県のケースでは、9月上旬、70代の男性が著名人の顔写真や名前が使われた投資関連のネット広告を閲覧したところ、投資グループを名乗る相手から「持っている株が良くないから売ってFXにしたほうが良い」や「FXは元本が大きいほど儲けることができる」というメッセージがSNSで送られてきました。11月下旬までに20回現金を振り込んでしまい、合計8631万9972円をだまし取られました。画面上では利益が出ているものの、お金を引き出せなかったため、消費生活センターに相談し、ネット詐欺の被害に遭っていることが発覚しました。この金額は、長野県で2013年に発生した9040万円の未公開株詐欺事件に次ぐ被害額になると報じられています。
北海道:1億5000万円
北海道のケースでは、10月に60代女性のところにSNSのDMでコンタクトがありました。面識のない人物だったのですが、交際を匂わせるメッセージが続き、あるとき「私たちの共通の未来のために努力しましょう」と言われ、仮想通貨の投資を勧められました。結果的に女性は指定された口座に22回、合計1億5000万円を振り込んでしまいました。指定された口座は複数あり、名義は個人名義のものが多かったようです。なお、SNSを介した道内での投資名目の詐欺被害としては今年最高額になると報じられています。
Facebookの広告から誘導されるケースも
被害者は儲かると思って話に乗ったものの、FXや仮想通貨についてよく分からずに言いくるめられたうえに、ネット詐欺師には家族に言わないように口止めされるなどして被害の発覚が遅れるケースがあります。ネット詐欺の手口を知っていれば、このような被害を回避できたはずです。主にFacebookで広まっている、有名人の顔写真と名前を無断で使った投資の広告は詐欺なのでクリックしないでください。
以下は類似の事例などについて本連載で紹介した記事になります。
関連記事:
・Facebookに流れた怪しいネット詐欺広告に注意
・「FXで儲けよう」と誘われたらまずは詐欺を疑って
FXや仮想通貨で儲けようと誘われたら、詐欺と疑ってください。もし、投資する気になったとしても、お金を払う前に、必ず、家族や友人、もしくは消費生活センターなどに相談しましょう。
関連記事:
・「男性の被害が急増中の「国際ロマンス詐欺」、特に投資詐欺に巻き込まれないように要注意!」
以前は外国人を装い、女性をターゲットにすることが多かった国際ロマンス詐欺ですが、最近は男性の被害も増えています。女性の被害者の場合、日本に行って結婚するための渡航費や怪我の治療費、贈られてきたプレゼントにかかる関税などという名目で金銭を要求されることが多いです。男性の場合、ギャンブルや投資の話を持ち出されてだまされるケースが多いようです。
ネット詐欺で大金を失うと、人生にも甚大な影響が出ます。家族関係に亀裂が入ってしまうこともあるでしょう。絶対に、ネット詐欺被害に遭うのは避けなければいけません。
SNSで知らない人から繋がろうと言われも無視すればそれで終わりです。儲かるといった内容のメッセージも無視すれば被害に遭うことがありません。FXや仮想通貨取引のウェブサイトなど、誰でも偽装できる、ということも知っておくとよいでしょう。
ご両親とぜひ、一度話し合って、ネット詐欺や本連載の情報を共有してください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
- SNSで仕事を受けたら「闇バイト」だったケースも、意図せず犯罪に加担してしまう危険性
- 有名人の画像を悪用した広告が氾濫中、LINEで連絡すると投資詐欺に誘導されるケースも
- 「電話料金の未納があります」、フィリピンからNTTファイナンスをかたる怪しい国際電話がかかってきた
- FBIが警鐘、2023年のネット詐欺被害は125億ドルに。投資詐欺やビジネスメール詐欺など巧妙化する手口に要注意!
- Airbnbで素敵物件を予約しようとして危うく詐欺の被害に!? 正規サイトを悪用して金銭をだまし取ろうとする手口に要注意
- みちょぱ、団長安田、ゴリけん…タレントが相次いで詐欺被害を告白、その手口とは
- チェーンメールで有名だった「神の手雲」が15年ぶりにLINEで回ってきた
- SNSの「お金配り」に応募したら当選通知が届いた!? でも指示に従ったら犯罪に加担させられたケースも
- ウェブ閲覧中に突然「ウイルス感染」の警告画面、表示されても焦って電話しないで
- マイナポイント第2弾に便乗、「獲得したポイント2万円分が失効する」という詐欺メールが拡散中
- 「当選しました」という連絡は詐欺の可能性あり! 典型パターンを押さえておこう
- ネットを見ていたら突然「ウイルス感染」警告、誘導先のアプリをインストールしてみると……
- 元ZOZO前澤氏の「お金配り」に参加したつもりが……Facebookで起こっている詐欺に注意
- iPhoneのカレンダーから「セキュリティ警告」? 身に覚えのないイベントが勝手に追加されていた
- 友だちから「写真がネットに載ってるじゃん、気まずいな!」と連絡が来た
- 2回目の「特別定額給付金」が支給される? うっかり騙されて個人情報を入力してしまった
- そのほかの詐欺事例など、この連載の記事一覧はこちら
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと