被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

だまされないように注意!

みちょぱ、団長安田、ゴリけん…タレントが相次いで詐欺被害を告白、その手口とは

 個人情報を厳しく管理しているはずの有名人もフィッシング詐欺の被害に遭っています。例えば、タレントのゴリけんさんは直接の原因は分からなかったものの、フィッシング詐欺の被害に遭った可能性があることをテレビ番組で紹介し、11月にネットニュースになっていました。ある日突然、ダウンロードしたこともない中国語のゲームアプリ内で7000円分を課金され、10分間で60回以上、総額約50万円が課金されたそうです。

 ゴリけんさんは過去にAmazonのフィッシングメールに引っ掛かって、メールアドレスやパスワードを入力してしまったと語りました。しかし、請求書にはPayPayで支払ったと記載されており、Amazonのフィッシング詐欺だけでなく、別のフィッシング詐欺にも引っ掛かり、PayPay決済やカード決済をしていたことも考えられます。なお、今回の被害ではAppStore経由での支払いが成立しており、最終的にAppleのカスタマーセンターの協力で50万円の返却を受けることができたそうです。

 また、11月15日、安田大サーカスの団長安田さんはX(旧Twitter)で、三菱UFJ銀行をかたるSMSでフィッシング詐欺に引っ掛かたことを明かしました。口座情報からキャッシュカードの番号まで全部入力してしまったそうです。このときはすぐに銀行に連絡し、被害は免れました。

 12月には、タレントのみちょぱさんが、ラジオ番組でフィッシング詐欺の被害に遭ったことを話していました。10万円前後の買い物の通知が立て続けに届いたことで不正利用が発覚したのですが、当初、原因が何なのか思い当たらなかったようです。しかし、過去にAmazonをかたるメール経由でクレジットカード情報を入力したことがあり、それが原因だったのではないかと振り返りました。これまでも、迷惑メールには注意を払っていたようですが、今回届いたものはメールアドレスや名前もロゴも本物に見えたそうです。幸い、クレジットカード会社に連絡し、引き落としは回避できたそうです。

メールやSMSのURLは開かない、と決めることも重要

 フィッシング詐欺のメールやSMSは皆さんのところにも届いていると思います。開封せずに無視すればいいのですが、みちょぱさんのケースのように、本文やロゴ、ウェブサイトなどを本物そっくりに作ることがあるので見分けがつきません。

Amazonをかたるフィッシングメール。これはGmailが警告してくれたケースです

 もし、銀行口座やクレジットカードなどの情報を入力してしまったなら、安田さんのようにすぐに銀行やクレジットカード会社に連絡し、カードを停止してもらいましょう。カードを再発行する必要はありますが、それ以上の被害を止めることができます。

 みちょぱさんのように、フィッシングサイトに情報を入力して数カ月経ってからいきなり不正利用されることもあります。クレジットカードを使ったら、メールなどで通知が来るように設定しているとすぐに被害に気が付くことができます。そうでなくても、毎月、利用履歴はきちんと確認しましょう。

 「カード情報を更新してください」「口座が凍結された」「不正アクセスが確認された」など、気になる文言があったなら、自分で正規のウェブサイトにアクセスし、ログインするようにしてください。アカウントの画面にメッセージの内容が表示されていなければフィッシング詐欺だと分かります。分からない場合や不安なときは、サポートセンターに連絡してもよいでしょう。

 簡単な対策で被害を回避できるのですから、ぜひ皆さんも実践し、フィッシング詐欺の被害をなくしていきましょう。そして、本連載のほかの事例も参考に、ネット詐欺の被害に遭わないデジタルリテラシーを身に付けましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと