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YouTubeクリエイターが無料で使える本格撮影スタジオ、グーグルが都内に開設
(2013/2/14 17:58)
グーグル株式会社は、撮影スタジオやレコーディングスタジオなどを備えた「YouTube Space Tokyo」を東京都内に15日にオープンする。カメラや撮影用クレーン、マイク、照明、編集用PCやPro Toolsなどの本格的な映像・オーディオ制作機器をそろえており、YouTubeで活躍するクリエイターにすべて無料で貸し出す。
YouTube Space Tokyoは、グーグルのオフィスが入居する六本木ヒルズ内に開設。床面積は700平方メートルで、撮影スタジオ3室、レコーディングスタジオ、コントロールルーム、編集ルームのほか、セミナーや上映会が開けるトレーニングルーム、カフェスペース、ラウンジ、ミニキッチンなどを備える。
利用できるのは、YouTubeパートナープログラムの登録者で、利用を希望するクリエイターは制作したいコンテンツの企画を提出して申し込む必要がある。YouTubeが企画内容を検討した上で、貸出施設や機材、期間などを調整する。スタジオに常駐するスタッフの人数は明らかにしていないが、企画内容に応じて必要に応じて撮影や大道具製作、編集、CGなど各分野の専門のスタッフを手配し、プロ用機材の使用経験やノウハウのないクリエイターをサポートしていく。
ただし、こうしたサポートをYouTubeの専門スタッフにすべて依存するのではなく、必要な専門技術を持つ適した人材がYouTubeパートナープログラムのクリエイターの中にいる場合は、クリエイター同士でのコラボレーションを促していくスタンスだ。企画についても、なるべくクリエイターがコラボレーションできる作品の制作に優先して貸し出していきたいとしている。
なお、スタジオや機材の使用料はすべて無料で、サポートスタッフの人件費も基本的にYouTubeが負担するかたちだ。そのほかの必要な衣装やセットなどはクリエイター側が用意するかたちだが、必ずしも大がかりなセットなどは必要なく、背景映像を合成するためのグリーンスクリーンの背景幕を備えたスタジオもある。カフェスペースやミニキッチンでの撮影も可能だ。
また、具体的な企画がまだないクリエイターにもカフェスペースなどに自由に入ってもらい、コラボレーションのきっかけを作る場を提供していきたいという。
YouTube Space Tokyoは、2012年7月にオープンしたロンドン(350平方メートル)、11月にオープンしたロサンゼルス(3800平方メートル)に続き、世界で3番目・アジア初のスタジオ施設となる。
YouTubeコンテンツオペレーションズグローバル統括副社長のトム・ピケット氏は、「日本のクリエイターはたいへん熱意がある。我々はそれに応えたいと思い、今回の投資を行った。YouTube Space Tokyoは日本のクリエイターに対する投資であり、日本市場に対する投資でもある。今後、すばらしいコンテンツが日本から世界に向けて発信されることを望んでいる」とコメントした。
また、YouTubeコンテンツオペレーションズアジア太平洋統括部長のデービッド・マクドナルド氏は、YouTube Space Tokyoの基本コンセプトとして「Learn」「Share」「Create」という3つのキーワードを紹介。「この場所を利用して、より質の高いコンテンツを作っていただきたい。多くのクリエイターに無料でいろいろな機材に触っていただきたい」と呼び掛けた。YouTubeでもクリエイター向けのセミナーやレッスンなども開催し、これを後押していく考えだ。マクドナルド氏によれば、ロンドンのスタジオを活用したクリエイターの中には、質の高いコンテンツを制作・配信したことでYouTubeチャンネルの登録者数がそれまでの10万人から100万人へと増え、動画再生数も増加した事例があるとしている。
15日にはオープニング記念イベントとして、歌手のJUJUのライブをYouTube Space Tokyoで実施・配信する。
また、オープニング企画として「劇団スカッシュ」が3週間前からYouTube Space Tokyoを利用し、同じくYouTubeで活躍するクリエイターら20人が参加する28話の連続ドラマを撮影・制作しているという。