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「Google 災害情報」提供開始、災害時に検索結果の一番上に津波警報など表示

 グーグル株式会社は7日、地震や津波などの災害発生時に各地の震度や津波警報・注意報などの情報を地図や一覧表でいち早く伝える「Google 災害情報サイト」の提供を開始すると発表した。「Google 検索」や「Google マップ」の検索結果ページの一番上にも、同サイトからの災害情報を表示する。

 Google 検索において「地震」「津波」などのキーワードや、災害が発生した地域の名称などで検索すると、検索結果の一番上に災害情報が表示される。例えば「M3.8の地震、宮城県沖 この地震による津波の心配はありません。7日18時18分ころ、地震がありました。最大震度2 岩手県、宮城県」といったものだ。PC向けのデスクトップ版のサービスのほか、スマートフォン向けのモバイル版も対応する。

「Google 検索」検索結果ページにおける地震情報の表示例
「Google 検索」検索結果ページにおける津波警報の表示例

 Android版の「モバイルGoogle マップ」では位置情報に基づき、地震に関係ないキーワードで検索しても、警報などの対象地域にいる場合には自動的に災害情報を表示する。PC版のGoogle マップでも同様に、地図で表示している地域が警報などの対象地域の場合、地震に関係ないキーワードで検索しても自動的に災害情報が表示される。エリア判定は、おおよそ都道府県単位で行うという。

 このほか「Google Now」でも、警報などの対象地域にいる場合には、一番上のカードに災害情報を自動的に表示する。

Android版「モバイルGoogle マップ」における津波警報の表示例
「Google Now」における津波警報の表示例

 PC版・モバイル版のいずれも、表示された災害情報のリンクをクリックすることでGoogle 災害情報サイトへジャンプし、詳細情報を参照可能。日本国内で発令されているすべての地震や津波に関する警報・注意報を一覧で表示するほか、震度や津波警報区域などをGoogle マップの地図上に色分け表示する。

「Google 災害情報サイト」の詳細情報。津波到達予想時刻と予想される高さ一覧が左上に表示されてるほか、実際に到達した場所については観測時刻と高さが左下に更新されていく

 こうした取り組みはすでに「Google Public Alerts」として米国で提供されていたというが、米国外では日本が初めて。米国では使われない震度の概念に対応していることや、震源地の表示(一般的には同心円だが、日本では×印)などが日本独特だという。

 Google 災害情報サイトで表示する情報は、気象庁が提供する防災気象情報をGoogleが受信し、検索結果ページなどに自動的に組み入れる仕組み。地震発生から長くても1分以内には表示されるとしている。

 災害が発生した際にGoogleが行っている取り組みとしては「クライシスレスポンス」「パーソンファインダー」といったものがすでにあるが、Google 災害情報サイトはそれらを稼働させるよりも前の段階で、自動化によって災害情報をいち早く提供するのが狙いだ。その後、災害規模などに応じて必要と判断されれば、クライシスレスポンスやパーソンファインダーを立ち上げることになる。

 Google 検索では、地震や津波が発生すると同時に、関連するキーワードで災害情報を検索するクエリーが大幅に増えるという。実際にユーザーが欲している情報を分かりやすいかたちで提供するべく、Google 災害情報サイトを開始したとしている。

 あわせてGoogleならではの機能として、Google マップの地図上に避難所や交通状況などのさまざまな情報を重ねて表示できることを挙げている。

神奈川県川崎市の提供による避難所データや、道路の交通状況の情報を重ねて表示した例

 これまでもグーグルでは「Google ライフラインマップ」において、携帯電話の利用可能状況・エリア復旧情報、都市ガスの供給停止エリア情報、自動車の通行実績情報などを提供してきたが、今回、そのパートナーシップを拡大した。携帯電話の利用可能状況・エリア復旧情報では、従来から提携しているauに加え、株式会社NTTドコモとソフトバンクモバイル株式会社の2社ともパートナーシップを締結した。また、株式会社ウェザーニューズが会員から収集している写真・テキストによる現地情報や、ファーストメディア株式会社による「全国避難所ガイド」の避難所情報データもGoogle マップから利用できるようになったとしている。

 さらに、災害関連情報の迅速な提供のために、神奈川県、山梨県、岐阜県、三重県、徳島県、千葉県千葉市、神奈川県川崎市の7自治体とのパートナーシップを締結したことも明らかにした。それぞれの地域における大規模災害への準備・対応のために協力するもので、自治体から安否情報、避難所・避難ルート情報、ハザードマップなどの提供を受ける体制を構築し、Googleの各種サービスでの情報提供を充実させる。今後、パートナーシップを締結する自治体を広げていきたいとしている。

NTTドコモの携帯電話エリア復旧情報

 グーグル代表取締役の有馬誠氏は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際を振り返り、Googleとしてできることを最大限実行したいということで、パーソンファインダーや被災地の航空写真の提供、自動車が通行できる道路をGoogle マップに表示するといった取り組みを行ったことを説明。その後も「二度と起こって欲しくないという思いとともに、万一、次に起こった時にはどういうサービスを提供すればいいのかを真剣に議論し、実際に開発してきた」と述べ、Google 災害情報サイトがその成果だと紹介した。

 グループプロダクトマネージャーの河合敬一氏は、もうすぐ東日本大震災の発生から2年という大きな節目を迎える一方で、「インターネットにかかわる企業、日本にかかわる企業として、2年たっても3年たってもまだまだやらなければならないことがある。前回の教訓をどう生かすのか、被害に遭われた方をどうやって支援していくのか、インターネットの力でできることはまだまだたくさんある。それをやめないこと、忘れないことが我々に課せられた使命と考え、全力で進んでいく」とコメントした。

グーグル株式会社代表取締役の有馬誠氏
グーグル株式会社グループプロダクトマネージャーの河合敬一氏

(永沢 茂)