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米Apple、iOS7発表「iPhone登場以来最大の変化」~OS X Mavericksも発表
(2013/6/11 11:03)
米Appleは10日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の開発者向け会議「WWDC 2013」にて、次期iOSとなる「iOS7」と次期OS Xとなる「OS X Mavericks」を発表した。
AppleではiOS7を「iPhone発表以来最大のアップデート」と呼び、OS X Mavericksは基本機能の改良とiOSとの連携でより使いやすくなったとしている。
iOS7はiPhone4以上、iPad2以上、iPod touch(第5世代)以上に対応。今年秋頃に無料アップデートとして提供される。OS X Mavericksも、今年秋にApp Store経由で提供される。iOS7もOS X Mavericksも、開発者向けには今日から開発者向けプレビュー版として提供される。
今日の発表で最も印象的だったのは、長い間Appleの特徴となってきたデザインを大きく変更したことだ。画面の印象は大きく変わっている。また、iOSとOSXとの融合も進んでいる点も注目される。
iOS7の特徴
新しい画面デザイン
Appleの著名なデザイナーでデザイン担当上級副社長のJonathan Ive氏によって、ユーザーインターフェイスのデザインが「完全にやり直された」という。新インターフェイスは、画面全体のスペースを最大限に生かせるようにしたことで、画面全体がより大きく見えるという。
また、新デザインのフォントとRetinaディスプレイとの組み合わせにより、テキストがよりくっきりと見えるようになった。アイコンはフラットでスタイリッシュなデザインになり、色合いはより明るく、シンプルに見える。また設定画面(コントロールセンター)が下スワイプで競り上がり、よく使用する設定をすぐに変更できるようになった。フォルダに入れることができるアプリ数の制限も撤廃されるなど、使用感も改善している。
マルチタスクの改良
iOS7ではマルチタスクが改良された。開発者は新APIを使用して、すべてのアプリをバックグラウンドで動作させることが可能になった。ユーザーもアプリの切り替えをより直感的に行える。ユーザーが使用するアプリの傾向によって、自動的にコンテンツのアップデートも行える。
通知センター
通知センターはロックスクリーンから直接表示できるようになった。スワイプするだけで通知を閲覧できる。新機能「Today」も搭載され、通知センターから一日の予定、天気、交通情報、会議などのイベントを一覧できるようになった。
コントロールセンターの新設
機能設定はコントロールセンターにまとめられ、いつでも画面下からスワイプすることで簡単にアクセスできるようになった。この画面では機内モード、Wi-Fi、Bluetooth、マナーモード、輝度調整、楽曲の再生コントロール、AirPlay操作の設定変更ができる。また時計、カメラ、電卓、フラッシュライトアプリもここから起動できるようになった。
AirDropの搭載
AirDropはMacに搭載されている機能だが、iOSでも利用できるようになった。iPhone5でのみ利用できる。同じWi-Fiネットワーク上のユーザー、またはコンタクトリストのユーザーからAirDrop経由でファイル受信が可能だ。
写真関連アプリの改良
写真に関連したアプリの機能も改良された。
カメラアプリが新しくなり、リアルタイムにエフェクトをかけることができるフィルター機能を搭載。そして4つの撮影モード、動画、写真、スクエア、パノラマをスワイプ操作で選択し、撮影開始できる。
撮影した写真は新フォトアプリで利用できる。撮影した写真と動画は時間と場所によって自動的に整理される。また新しい「iCloud Photo Sharing」によって、友人や家族などと撮影したばかりの写真を、写真ストリームとして共有できるようになった。写真のソーシャルなタイムラインのように利用できることになる。
App Storeで自動アップデート
App Storeが新しくなり、これまでのように手動アプリアップデートが必要なくなった。アプリは、バックグラウンドでダウンロード、アップデートされるようになった。
また位置情報に基づき、周囲で人気のアプリを見つけられるようになった。さらに、子供向けカテゴリが新設され、年齢別に子供向けのアプリを選びやすくなっている。
賢くなったSiri
Siriで新しい男性、女性の音声を選べるほか、読み上げも聞きやすくなった。また、情報源としてWikipediaとTwitterの情報を利用できるようになった。Twitter検索機能も利用できるが、この機能は当面は英語、フランス語、ドイツ語でのみ提供され、他の言語には徐々に対応していく。さらに、設定変更によりBingウェブ検索も利用できるほか、ボイスメールの再生もSiri経由で可能になった。
OS X Mavericksの新機能
ファインダーにタグとタブによる分類機能を搭載
ファインダーでタブとタグに対応した。ブラウザで見慣れているようなタブを複数開いたり、ファイルのタグ付けも利用できる。MacとiCloudのファイルを操作できる。
地図、カレンダー、iBookなど基本アプリの改良
iOSのAppleによる地図アプリがMacでも利用できるようになった。地図アプリで検索した内容をiPhoneに転送することも可能だ。また、地図アプリがメール、連絡先、カレンダーアプリと統合された。開発者はMap Kit APIにより、自分のアプリから地図機能を利用することもできる。
さらにiBookも利用できるようになり、MacでiBookの電子書籍を読み、そのままiPadで途中から読み次いでいくことも可能だ。
マルチディスプレイとAppleTV画面共有への対応
Maverickでは、マルチディスプレイを簡単に利用できるようになった。メニューバーとドックがどの画面でも表示される。フルスクリーンアプリは、どのディスプレイにも表示でき、その設定も簡単だ。さらにApple TVとAirPlayを使用すると、ハイビジョンテレビをセカンドディスプレーとして設定することも可能だ。
通知機能の改良
OS Xの通知機能がアップデートされた。メール、FaceTime、メッセージに通知画面から直接アプリを起動せずに返信できる。またiOS端末からの通知もMacで受け取れるようになった。
Safariの改良
新Safariでは、パフォーマンスが大幅に向上したという。エネルギーとメモリの効率性、JavaScriptのパフォーマンスで「他のウェブブラウザーを圧倒する」と説明している。また、タブごとにプロセスを別にするアーキテクチャを採用したため、これまで以上に反応が良く、安定し、安全になったとしている。新しいサイドバーにはブックマーク、リーディングリスト、友人からのTwitter、LinkedInからのリンクをまとめて表示できる、SNSのようなインターフェイスが採用されている。
iCloudのキーチェーンを搭載
Macのキーチェーン機能がiCloudに対応した。すべてのウェブサイトログインやパスワード、クレジットカード情報、Wi-FiのパスワードをAES(256bit)にて暗号化し、iCloudに同期できる。必要な場合、いつでも必要な端末にプッシュされるため、ユーザーは記憶する必要がないとしている。これらはAppleユーザーに人気のパスワードマネージャアプリ「1Password」「LastPass」によく似ており、競合しそうだ。
メモリー利用の効率化
OSとしての基本技術も改良されたとしている。CPUができるだけエネルギーを消費しないよう、低レベルプロセスを自動的にまとめ、パフォーマンスと反応性に影響しないような仕方でエネルギー消費を抑える。また、使用していないアプリによるエネルギー消費を抑えることもできる。使用していないデータは自動的に圧縮し、再使用する際には自動的に解凍する技術も導入された。