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米Google、クラウドソーシング地図企業Wazeを買収

~Googleマップに一部機能を搭載か

 米Googleは11日、イスラエルのクラウドソーシング地図企業Wazeを買収したと発表した。

 買収金額など取引の詳細は公開されていない。しかし、欧米やイスラエルのメディアは、買収金額を11億ドルから13億ドルと報じている。Wazeは独立企業としてサービス提供を継続し、本社と開発チームもイスラエルに据え置くとしている。

 Wazeは会員ユーザーの情報提供によるいわゆるクラウドソーシングによって、渋滞情報、交通状況、警察の検問情報、事故情報を収集し、地図にリアルタイムに反映させる。ユーザーはWazeを開くだけで、いつでも最適なルートで目的地にたどり着けるようになる。

 日本でもサービスを開始しており、世界中の利用者は「5000万人近い」とされる。米国では通勤時間を短縮できるとして非常に人気の高いサービスだが、特に本社があるイスラエルでは、国民の中でほとんどが知らない人がいないほど有名なサービスだと言われている。

 WazeはiOS、Android、Blackberry、Nokia、Windows Mobileに対応したアプリを無料提供し、サービス利用も無料。ユーザーはメールアドレスで登録する。

 Wazeは位置情報に基づく広告表示による売り上げによって運営されているが、ユーザーは情報を提供せずにWazaを利用することもできる。しかし、アプリから簡単に情報提供ができ、ソーシャルゲーム的要素もあることから、積極的な参加者も多い。このコミュニティーがWaze成功の源泉となっている。提供できる情報としては、事故、検問、災害情報、渋滞情報などがある。

 Wazeは株式公開を目指さずにGoogleへの売却を行った理由として、「銀行家、弁護士、ウォールストリートの歓心を得ることに労力を費やしたくなかった」とコメントし、ユーザーコミュニティーの発展とサービス改善に努めるためにGoogleのリソースを利用する道を選んだと説明している。

 また、買収したGoogleは、今後の影響について「Wazeによって提供される最新交通情報機能のいくつかによってGoogle Mapsを強化し、Googleの検索能力によってWazeを強化する見通しに、我々は興奮している」とコメントし、Wazeの機能の一部をGoogleマップに利用する計画が既にあることを示唆した。

 Wazeに関しては、AppleやFacebookも買収に関心を示しているとの噂が流れていた経緯がある。

(工藤 ひろえ/青木 大我 taiga@scientist.com)