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日本の電子書籍市場が再び拡大基調、2012年度は729億円で15.9%増

 株式会社インプレスビジネスメディアは27日、国内における電子書籍市場規模の推計結果を発表した。2012年度は729億円で、前年度比15.9%の増加。2010年度に650億円に達した後、2011年度に629億円へと一時的に落ち込んだのが、再び拡大基調へ転じているという。

 調査は、インプレスビジネスメディアのシンクタンク部門であるインターネットメディア総合研究所が行ったもの。通信事業者や出版社、電子書籍ストア、取次事業者、ポータルサイト、コンテンツプロバイダーなど電子書籍関連の主要事業者へのヒアリング調査およびユーザーへのアンケートなどを分析した。

 ここでの電子書籍とは「書籍に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」と定義しており、電子雑誌や電子新聞、教科書、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルなどは含んでいない。また、配信された電子書籍(電子コミックを含む)の国内ユーザーにおける購入金額の合計を市場規模としている。

国内の電子書籍市場規模の推移

 2012年度の市場規模729億円の内訳を見ると、PC向けが10億円、ケータイ向けが351億円、新たなプラットフォーム向けが368億円。

 これまで日本の電子書籍市場の中心を担ってきたケータイ向けが2011年度の480億円から26.9%減少する一方、新たなプラットフォーム向けは2011年度の112億円から228.6%の増加。ケータイ向けの落ち込みを上回る拡大で、市場全体の半数を占めるまでに成長した。

 なお、新たなプラットフォームとは、スマートフォン/タブレット向けの電子書籍関連アプリ、スマートフォン/タブレットなどのビューアーアプリ経由で購入する電子書籍、Kindleおよび類似の電子書籍配信サービス、PC/スマートフォン/電子ブックリーダーなどマルチデバイスで閲覧が可能な電子書籍配信サービス、PSPやニンテンドーDSなどゲーム機向け電子書籍配信サービスなどを含む分類。

国内の電子書籍市場の内訳

 さらに今後、新たなプラットフォーム向けは増加し続け、2017年度には2310億円に達すると見ている。ケータイ向けは80億円で、電子書籍市場全体では2390億円と予測している。

 調査ではこのほか、電子雑誌の市場規模について、2012年度は39億円規模と推定。これが2017年度に330億円へと拡大すると予測している。

 インプレスビジネスメディアでは、調査結果の詳細を「電子書籍ビジネス調査報告書2013」として7月18日に発売する。PDF版が6万900円、PDF+冊子版が7万1400円。

(永沢 茂)