国内電子書籍市場、2010年は13.2%増の650億円~インプレスR&D調べ
電子書籍の市場規模の推移と予測(2002年度~2015年度) |
電子出版の市場規模の予測(2010年度~2015年度) |
株式会社インプレスR&Dは7日、電子書籍に関する市場規模をまとめた調査結果を公表した。それによれば、日本の2010年度の市場規模は650億円と推計され、2009年度の574億円と比較して13.2%増加した。2015年には2000億円に達すると見込んでいる。
市場の牽引役はコミックを中心としたケータイ向け電子書籍。2010年度は前年度比11.5%増の572億円と、電子書籍市場の88%を占めた。PC向け電子書籍は、前年度の55億円からほぼ横ばいの53億円だった。
ケータイ向け市場の拡大要因としては、タイトル数の増加によってコンテンツが充実したほか、通信事業者の直営販売ストアがオープンしたことや、新たなプラットフォーム向け電子書籍が話題となり、電子書籍の認知が拡大したことが考えられるとしている。
一方、2009年度から調査対象となった、新たなプラットフォーム向け市場は24億円と推計され、スマートフォン市場の急激な拡大や、タブレット端末や電子ブックリーダーの発売などを背景に2009年度の6億円から4倍成長した。
なお、新たなプラットフォーム向け市場には、スマートフォン向けマーケットプレイスの電子書籍カテゴリーのアプリ、スマートフォンやタブレットPCなどのビューワーアプリ経由で購入する電子書籍、iBookstoreやKindleから購入する電子書籍などが含まれている。
インプレスR&Dによれば、2011年度以降の日本の電子書籍市場は、ケータイ向け市場の拡大は頭打ちになるものの、新たなプラットフォーム向け市場が急速に立ち上がると見ており、2015年度には2010年度の約3.1倍の2000億円程度になると予測している。
新たなプラットフォーム向け市場は、2011年度末までには米AmazonのKindleなど、海外事業者が日本に参入すると予測。これをきっかけに2~3年間にコンテンツが充実、環境も整備され、2013年度以降に本格的な拡大期に入ると見ている。
調査ではこのほか、2010年度の電子雑誌市場規模を6億円と推計。今後はタブレット端末やスマートフォンの拡大、配信雑誌数の増加、マイクロコンテンツ化などの新たな展開により市場拡大が見込まれ、2015年度には200億円超に達すると予測している。
今回の調査は、通信事業者や出版社、電子書籍販売ストア、取次、ポータルサイト、コンテンツプロバイダーなど主要な電子書籍関連事業者へのヒアリングやアンケート、ユーザーへのアンケートなどにより実施した。
インプレスR&Dでは調査結果の詳細を「電子書籍ビジネス調査報告書」(全2巻)シリーズとして7月28日に発売する。価格は各巻いずれもCD(PDF)版が6万900円、CD(PDF)+冊子版が7万1400円。現在、予約を受け付けている。
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(増田 覚)
2011/7/8 06:00
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