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米Facebook、没入型VRベンチャー米Oculus VRを約20億ドルで買収
~コミュニケーションやメディアへの応用も視野に
(2014/3/26 11:26)
米Facebookと米Oculus VR, Inc.は25日、FacebookがOculus VRを約20億ドルで買収することで最終的な合意に達したことを発表した。
Oculusは没入型バーチャルリアリティーテクノロジー、ヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift」で熱狂的な注目を集めている。まだ製品発売前にもかかわらず、開発者向けキットだけで人気を博しており、19日には大幅に機能を改良した第2弾となる開発者向けキットを発表したばかりだった。
FacebookはOculusを4億ドルのキャッシュとFacebook普通株式2310万株で買収する。これ以外にOculusが特定の目標を達成した際には、追加で合計3億ドルの現金と株式が支払われるとしている。
この企業価値評価はOculusがゲーム業界で成長していくことのみを前提としており、その他分野での成功は考慮されていないとしている。Oculusの本社は買収後も引き続きカリフォルニア州アーバインに置かれ、まずはゲーム業界での成功を目指す。
Oculusはこれまでゲームでの利用が前提となってきた。しかしFacebookはこの技術をゲームを超え、コミュニケーション、メディア、エンターテインメント、教育など他の分野にまで広げることを目標としている。
Facebook CEOのMark Zuckerberg氏は、全く違う場所にいるかのように感じられるメリットを生かそうと考えている。たとえば、スポーツ試合でコートサイド席で観戦したり、世界中の学生や先生と一緒に同じ教室で学んだり、遠隔地にいる医者と一対一で診察を受けたりする、といったようなことが家にいたままでできるようになるかもしれない。
Zuckerberg氏は「あなたの友人とオンラインで単なるひとときの瞬間ではなく、経験や冒険を丸ごと共有することを想像してみてほしい」と表現する。
こうしたことから、バーチャルリアリティーは次世代のソーシャルコミュニケーションプラットフォームとして潜在的価値が非常に大きいと考えており、「バーチャルリアリティ技術は、次世代のソーシャル、コミュニケーションプラットフォームの強力な候補になり得る」とFacebookは説明している。
OculusのOculus Riftヘッドセットの特徴は、完全な没入型であることだ。このヘッドセットをかぶると、「まるでその場にいるような感覚になる」と多くの人が語っている。これはヘッドセットを装着して動いた際に生じる遅延などを限りなく小さくすることによって実現しているが、比較的安価で確立した技術で実現している点も注目を集めている。
OculusはライバルとなるヘッドセットとしてソニーやMicrosoftを挙げているが、ソニーは開発の初期段階であり、Microsoftに至ってはデモすら存在しないとして自社の優位は揺らがないとしている。
Zuckerberg氏は、「バーチャルリアリティはかつてSFの夢だった。しかし、インターネットもかつての夢であり、コンピュータやスマートフォンもまたそうだった」と期待を表明している。