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「Adobe Ink & Slide」とモバイルアプリ群の連携でクリエイティブワークを効率化
(2014/10/14 12:49)
アドビシステムズ株式会社は10日、「Adobe Ink & Slide」の体験会にあわせて、同社のイベント「Adobe MAX 2014」で発表したiPad向けアプリ「Illustrator Line」「Illustrator Draw」「Photoshop Sketch」と、Adobe Ink & Slideの連携を紹介した。
Adobe Ink & Slideは、アドビシステムズ初のハードウェア製品。Adobe Inkは、米Adonitの「Pixel Point」を使用しており、2000段階以上の筆圧感知機能を搭載。メモリを内蔵し、個別のカラーやブラシを設定できる。電源は内蔵バッテリーを使用しており、11時間の稼働が可能。充電は専用スタンドにて行うが、スタンドの端子はmicroUSBを採用する。持ち手の部分にボタンを搭載し、アプリ上でメニューを呼び出すことができる。
Adobe Slideは、本体をiPad上に置くだけで直線、三角形、四角形、丸のほか、さまざまなパターンの図形を引いたり、スタンプを自在に配置できるデジタル定規。Adobe Slide本体上部のボタンでパターンの変更が可能。オブジェクトの大きさは、画面上でピンチイン/ピンチアウトで変更する。電源はバッテリーが必要ないパッシブ駆動を採用。10月17日より「Adobe Ink & Slide」として2万2800円(税込)で発売する。
アイデアを実際のクリエイティブワークに活かす
イベントでは、Adobe Creative Cloudエバンジェリストの仲尾毅氏が登壇。Adobe Ink & Slideと複数のAdobeモバイルアプリの連携を説明した。Adobe Ink & Slideは、モバイルアプリとクラウドを結ぶツールであり、クリエイターが肌身離さず持ち歩くiPhoneやiPadをワークフローの中に取り込むことで、アイデアをモバイルデバイスで描きとめ、実際のクリエイティブワークに結び付けることができるとしている。
また、Adobe MAX 2014で発表されたCreative Cloudの最新版には、新しい「クリエイティブプロファイル」も提供される。iPadやPCなどのマルチプラットフォーム連携や、クラウドサービスにより場所を問わず各自の作品・制作に使用するアセットを利用できるほか、クリエイターコミュニティへのアクセスや、素材を購入できるマーケットも利用できる。
特に、クリエイティブプロファイル内の「Creative Cloud ライブラリ」では、モバイルアプリで制作した画像やテキストスタイル、ブラシ、画像、アートワークを、ほかのモバイルアプリやPC上で共有でき、どの環境でも個人の素材やツールが利用できる。
なお、Adobe Ink & Slideは通常のタッチペンとしても使えるので、積極的な連携を図っている「Illustrator Line」「Illustrator Draw」「Photoshop Sketch」以外のアプリでも利用自体は可能としている。
「Adobe Ink & Slide」×「Illustrator Line」
Illustrator Lineは、正確な描画や製図向けのiPadアプリ。標準グリッドのほか、2点透視、等角投影、不等角投影など多彩な描画グリッドを備え、遠近法による正確な描画でパース図や幾何学図形の製図が可能。また、ルーラー、雲形定規、形状テンプレートといった製図ツールや、基本的な幾何学図形、UI要素、人型、ハーマンミラーの家具など、数百種類のシェイプを利用可能。複数のオブジェクトを等間隔に配置できる「ビジュアルガイド」機能も搭載する。
Adobe Slideを利用することで、グリッドに沿った正確な描画ができるほか、豊富なシェイプを指定の位置に配置することができる。シェイプに関しては、Adobe Ink側で画面を2回タップするだけで描画可能で、タップ時に指定した色で描画することもできる。また、データは「Illustrator CC」に送信でき、作成したベクトルデータを編集できる。
そのほか、3つのアプリに共通するUIとして、UndoとRedoの操作が直感的となっている。1つ前の状態に戻したい場合は、2本指を画面に押し当て、左にスワイプする。また、現在の状態に戻したい場合は右にスワイプする。3本の指を押し当ててスワイプすると上部にスライドバーが表示され、最初の状態から現在の状態までコマ送りで確認でき、任意の状態に指定することができる。
「Adobe Ink & Slide」×「Illustrator Draw」×「Shape CC」
Illustrator Drawは、フリーフォームのイラストレーションアプリ「Adobe ideas」の後継アプリで、手書き感覚でベクトルデータを起こすことができる。Adobe Inkを使用することで、2000階調以上のスペックを活かした、にじみや書き始めの盛りの部分まで再現する。Illustrator CCでの利用も可能で、ベクトルデータならではのパスの修正なども可能。
また、カメラで撮影した被写体や、カメラロールに保存した写真をベクトルデータに変換できるiPhone/iPadアプリ「Shape CC」で作成したカスタムシェイプをIllustrator Draw上で利用でき、Adobe Slideを利用することで、作成したシェイプをスタンプのように配置することができる。なお、Shape CCでシェイプの作成と同時にCreative Cloud ライブラリにアップロードされ、Illustrator CCでも利用できる。
「Adobe Ink & Slide」×「Photoshop Sketch」×「Brush CC」
Photoshop Sketchは、フリーフォーム形式のビットマップペイントアプリで、写真を下に重ねたり横に表示することでトレースできるほか、Creative Cloudのマーケットの素材を使ったコラージュ作成が可能。こちらもAdobe Inkとの連携で、手描きの書き味をiPad上で再現することができる。
また、オリジナルのブラシが作成できるiPhone/iPadアプリ「Brush CC」により、カメラで撮影した被写体やカメラロールに保存した写真をブラシ化できる。ブラシ生成時に、Photoshop Sketch用、Photoshop CC用、Illustrator CC用と利用する環境の選択が可能。
このほか、iPhoneアプリも拡充されており、Adobe MAX 2014にあわせて写真の加工・合成アプリ「Photoshop mix」がリリースされている。写真の色味の調整や、デスクトップ版Photoshopに搭載されている画像のカットアウトや合成が可能になっている。