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総務省、NTT東西が提供する光回線の「サービス卸」に関するガイドラインを公表

 総務省は2月27日、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)および西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が提供しているフレッツ光回線の「サービス卸」について、電気通信事業法の適用に関するガイドラインを公表した。これは、1月20日から募集していた、ガイドライン案へのパブリックコメントを含有したもの。

 NTT東日本・西日本では、すでに光回線のサービス卸を提供しており、ISPなどの各事業者からそれに対応したプランが発表されている。サービス卸の提供を行うNTT東西と、提供を受ける事業者、販売代理店に対して、それぞれ電気通信事業法の適用関係を明確化し、公正な競争環境と利用者利便の確保が同ガイドラインの目的となる。

 卸元となるNTT東西に対しては、関係事業者のみを対象とした割引料金の設定など、特定の事業者のみを合理的な理由なく有利に取り扱うことなど、競争阻害的な料金の設定は問題だとしている。特に、移動通信事業者が提供先となる場合には影響が大きいと考えられ、移動通信事業者に対する料金などが同一でない場合には、その根拠について明確かつ合理的な説明が求められるとしている。

 実質的に特定の事業者に適用が限定されることが明らかなような大口割引を行うことや、競争事業者を排除または弱体化させるために適正なコストを下回る料金を設定することなども、競争阻害的な料金の設定として問題となりうる行為として挙げている。

 また、提供手続きや提供までの期間、技術的条件、サービス仕様による不当な差別的取り扱い、競争阻害的な情報収集、取得した情報の目的外利用、提供先事業者の業務に対する不当な規律・干渉などを、問題となりうる行為として挙げている。

 サービス卸の提供を受けてサービスを展開する事業者に対しては、競争阻害的な料金の設定が問題となると指摘しており、競争阻害的な料金の設定や過度なキャッシュバック施策により、競争事業者の設備保持が経営上困難となるおそれがあることを問題としている。また、移動通信事業者が行うセット割引の料金設定に懸念が生じた際は、それぞれの料金について合理的な説明を行う必要があるとしている。

 そのほか、自らの事業者名を明確に説明しない、あたかも卸元事業者であるかのように説明する、または現在消費者が利用している事業者を装った勧誘を行うことや、サービスに違約金に関する不適切な説明を行うなど、卸先事業者が消費者に提供条件を正しく説明しないことを問題となりうる行為として挙げている。

 サービス卸の提供先が「支配的な電気通信事業者」(NTTドコモが該当する)である場合には、排他的な割引サービスの提供や、関係事業者と一体となって行う排他的な業務が問題になるとしている。

(山川 晶之)