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性的行為の写真や動画を撮らせて脅迫する「セクストーション」、日本でも被害

 トレンドマイクロ株式会社は25日、「セクストーション(性的脅迫)」と呼ばれるサイバー犯罪について、新たな攻撃手法が確認されたとして、注意を喚起した。

 セクストーションとは、インターネットで出会った異性に対して、性的行為の写真や動画を撮らせ、それを公開すると脅迫して金銭を要求する手口だ。日本でも、この手口による脅迫の相談が寄せられるようになったとして、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2014年12月に注意喚起を行っている。

 トレンドマイクロによると、東アジアのサイバー犯罪集団が、このセクストーションの手法を発展させ、ユーザーにさらに甚大な被害を与えていると指摘。新しい手法では、攻撃者はチャットや連絡のために必要なアプリだなどとして、被害者のスマートフォンにAndroidの不正アプリをインストールさせる。不正アプリは、ユーザーのコンタクトリストを収集して攻撃者に送信することで、さらなる脅迫の材料を攻撃者に与える。

 トレンドマイクロの調査では、これらのセクストーションで使用された不正アプリは、攻撃者が中国の開発業者に依頼して開発させていたことが判明。開発された4つの不正アプリは、亜種ごとにコードと機能が異なっており、不正アプリが開発段階であることを示しているという。また、4つの亜種はすべて攻撃的な手法を備えており、被害者が受信したテキストメッセージを傍受して記録することや、被害者が金銭を支払うまで新規のテキストメッセージを受信できないようにしたり、被害者が通話を受信できないようにすることも可能だという。

 調査では、特に中国語や韓国語の不正なアプリやウェブサイトが確認されたが、不正アプリの中には「オンラインチャット」「シングルトーク」といった日本語のアプリ名を持つものもあり、日本も攻撃対象になっていると説明。また、さらなる調査の結果、日本国内の被害者に送金させるための銀行口座とその入金履歴など、実際に日本国内でも被害が発生している証拠を確認できたとしている。

(三柳 英樹)