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Twitter、企業のツイートデータ活用方法について解説、ユーザーの意見を取り入れたサービス展開やカスタマーサービスの改善など
(2016/4/22 17:13)
Twitter Japan株式会社は21日、Twitterのデータビジネスについて記者説明会を実施。米TwitterリードマーケティングマネージャーのRandy Almond氏、ディレクターのGregory Schwarzer氏が登壇した。
日本のTwitterユーザーは、2011年3月時点で670万人だったのが、2015年12月時点では3500万人と約5.2倍の大きな伸びを見せている。日本語は英語に次いで最も利用されている言語であり、日本のユーザー1人あたりのツイート回数は他国より多い傾向があるという。
Almond氏はTwitterについて、「今何が起こっているか把握できるリアルタイム性、全体に向けて発信・共有できるパブリック性がある。世界中でツイートされているデータは“無限の価値と用途”があり、包括的なデータは企業レベルで使える」と述べた。さまざまな分野にわたりツイートされているTwitterのデータをアナリティクス企業が活用することで、適切なオーディエンスの把握、目的のターゲットに向けたサービスを提供できるとしている。
Schwarzer氏は、ビジネスオペレーション改善の点に関して説明。「例えば在庫切れの商品があった場合、各店舗ごとのインパクトの分析が可能。ショッピングエリアにジオフェンスを設定し、店舗ごとに必要な商品在庫を判断できる」という。
そのほか、イベントにおけるハッシュタグの活用方法を紹介。主催者側がハッシュタグをあらかじめ公開することで、特定のイベントに関連したユーザーの感想・意見を抽出できる利点を挙げた。「テレビ番組でも視聴者のツイートを番組内で紹介するなど同様の使われ方をしている。簡単な方法でコストを抑えつつ、エンゲージメントを高めることができる」。
カスタマーサービスにおいても、ユーザーとブランド間の円滑なコンタクトを実現するためにTwitterが活用されている。マッキンゼーの調査では、ソーシャルメディア上のカスタマーサービスリクエストの80%はTwitterで届いており、カスタマーサービス関連のツイートはここ数年で2.5倍の伸び。Twitterユーザーの82%はブランドに対して何らかのリクエストを送っている結果が出た。
例えば、米デルタ航空では、Twitterによる24時間対応を広告キャンペーンに打ち出し、好評を得た。数年前まで担当者は5人程度だったが、現在は40人に増員され、英語・ポルトガル語・スペイン語・日本語に対応した。「積極的に企業側から語りかけるチャンネルとして活用されている例」としている。
米Appleは、カスタマーサポートを提供する「AppleSupport」アカウントを今年3月に開設。2日間で20万人のフォロワーがついた。コミュニティフォーラムやジーニアスバー以外の選択肢が増え、より簡単な方法で製品の使い方、解決策を提示することができるようになったという。
Twitterデータを活用するために、同社では無償の「Public APIs」、有償の「Gnip APIs」を提供している。Public APIsは小規模のスタートアップ企業向けに過去7日間のデータ分析ができるお試し版として位置付けられている。一方、Gnip APIsは過去10年分のデータ参照、高度なフィルタリング機能のほか、専任のサポートチームなどが設けられている。
例えば、NTTデータでは、アウディ、BMW、ベンツなどの高級車のブランドポジショニング調査にGnip APIsを利用した。消費者が持つブランドごとのイメージ、期待度について分析を行ってみたところ、アウディはデザイン重視、BMWは走行性能、ベンツは高級感が期待されていることが分かったという。これまで年に数回のみ行われていた調査が、Twitterを利用することでデータをいつでも確認できるようになった。
同じくアナリティクス企業のsprinklrは、Twitterからサントリーのオーディエンスを固め、ターゲットに向けた広告効果を改善したという。結果としてエンゲージメント率2~3倍、クリックスルーレート(CTR)2倍、クリック単価(CPC)40%削減を実現した。
ユーザーのツイートをデータプラットフォーム「Gnip」で整理し、アナリティクス企業にデータ、ツールを提供。分析結果から得たソリューションを各ブランドへ提示する流れになる。Gnip APIsは過去10年分の膨大な情報を振り分け、最適化処理を施す。Almond氏は「ユーザーの声をセールス部門や顧客管理部門につなぐことで新たなビジネスの機会創出になる」と述べた。