特別企画

【Yahoo!JAPAN “爆速Girls” 座談会】

理系エンジニア女子が熱く語る「女性エンジニアという生き方」(1)

 最近ではさまざまな事情から、結婚しても女性に仕事を続けてほしいと考える、共働き希望の男性も増えていると聞く。そのためには女性が長く働ける環境が大切だが、「女性は結婚したら家庭に入り、男性が外で働く」というライフスタイルが定着していた時代が続いていたため、女性が出産と子育てをしながら仕事を続けるには、社会のシステムや人々の認識の実態が、働く女性のニーズに追いついていないようにも感じられる。

 企業では一般的に、いったん戦線離脱すると同じポジションへの復帰が難しい。純粋にやりがいのある仕事を続けたいと願う女性にとって、会社選びは非常に重要となる。女性が働きやすい職場であるかどうかは、結婚から出産、子育てという人生の大きな仕事をこなしながらも、そこで働き続ける女性が存在するかどうかが大きな判断材料になるはずだ。

 Yahoo! JAPANには、エンジニアとして働き続けている女性たちがいると伺った。独身女性もいれば、入社してから2人の出産を経験し、なお働き続けている女性もいるというのだ。IT業界のエンジニアといえば、圧倒的に男性の多い職業であり、スキルも要求され責任も重い、過酷な現場といっていいだろう。その中で、女性として輝き続けることは並大抵のことではないはずだ。そこで、7名の女性エンジニアのみなさんにご協力いただき、なぜエンジニアを目指したのか、現在どのような環境で働いているのか、結婚、出産といった生活の変化にどう対応しているのかなどを伺った。(聞き手:すずまり)

取材にご協力いただいた、Yahoo! JAPANの理系女子エンジニア「爆速Girls」のみなさん。左から、リエさん、ひーみんさん、さやかさん、ナリさん、おんこさん、はせさん、亜希子さん

エンジニアになったわけ

――女性のエンジニアというのは、かなり少数派だと思うのですが、まず、なぜエンジニアになろうと思ったかをお伺いしたいと思います。

おんこ:
 私は特にエンジニアにこだわっていたわけじゃなかったんです。学生時代に数学が好きで、たまたま行く大学が高校からのストレートで、そこで数学の勉強ができる場所が、情報処理技術系の学部しかなかったんです。なので、それがきっかけですね。

 その流れで、社会に大きく貢献できるような仕事ができそうとか、会社として社会に影響力が大きそうな場所で、より良い社会を作っていけたらいいなって思いながら企業を見ていました。最終的になぜエンジニアになったかというのは、ちょっと自分でも明確ではないんですが、当時採用していたのが、営業とエンジニアだったので、営業よりエンジニアのほうが、手に職がつくかな、なんてそんな軽い気持ちで選んだんだと思います。

亜希子:
 私は、小さい頃からパソコンがすごく好きで。パソコンでサイトを作ったり、プログラミングしたのは大きくなってからなんですけど、とにかくパソコンで何かを作るのがすごく好きだったので、絶対エンジニアしかないという感じでなりました。(笑)

ナリ:
 なんでなったんでしょうね~。(笑) 国語よりは理系のほうが好きだったっていうのはありました。大きくなってからは、常に理系でしたね。その時々で最適なもの、一番できることは何かを考えて歩いてきたんですけど、そうしたらエンジニアになってたって感じです。

はせ:
 私、最初は教師になろうと思っていたんです。それで数学科に入ったんですけど、数学科の授業の一環でプログラムの授業がありまして。それでだんだん興味を持ち始めて、エンジニアに進むのもいいかなと思って、エンジニアになりました。

さやか:
 私は高校時代にネットサーフィンが好きで、オンラインゲームにものすごくハマっていて。ゲーム系か、インターネット系の会社に行こうと考えていました。それで専門学校の情報処理科に入ったんですね。その中で、ヤフオク! にまたハマっていて。ヤフオク! の中の人になりたいと思ってここを受けて、ヤフオク! の開発部に入りました。

――ということは、さやかさんは夢が叶ったわけですね!

さやか:
 叶いました!

ひーみん:
 私は、まず理系か文系かといわれたら、理系科目のほうが好きだったので、高校も大学も理系を専攻していました。大学の学科の中で、何をやりたいかいろいろ考えたときに、情報処理だったんです。そこでプログラミングをちょっとやったので、せっかくだから、仕事でも大学での勉強を活かしたいなと思って、いろいろインターネット業界を中心に受けて、エンジニアになりました。

リエ:
 自分も一番最初は「ハッカーかっこいい!」みたいな、イメージ的なところから入って。(一同爆笑) そういうのができるようになったら、ちょっとすごいんじゃないかなと思い始めたのがスタートですね。高校は理系で、何の迷いもなく情報系の大学に入って、エンジニア系の仕事を探していきました。途中からは普通にプログラミング面白いなと思い始めて。何もなくても、物が作れちゃうんですよ。サービスなり、システムなり、木とか布とか、材料が何もなくても、物が作れて動かせて、みんなに使って喜んでもらえるのが、エンジニアなんですね。それがうれしくて、エンジニアになったんだと思います。

――職業として、ご自身がどんな仕事をしているか、周囲の(業界外の)方に理解されていますか? 質問されたとき、自分の仕事をなんて説明されていますか。ご両親は自分の娘が何をしてるのかわからないんじゃないかと思うんですが。(笑)

ナリ:
 うーん。でも「ヤフー」は知ってますね。(笑)

おんこ:
 そうそう。「ヤフー」はみんな知ってますね。(笑) でも、その中で、何をしているのかはわからないみたい。「仕組み作ってるんだよ」「なにそれ仕組みってなに? あ、デザインしてるんでしょ?」とか言われます。エンジニアってちょっとわかりにくいかなと思います。なんとなく、こんなサイトが動くようにしてるんだよ、くらいしか説明できない。

ひーみん:
 これ作ってるって言って、スマホの画面を見せますね。成果物を見せて、これ作ってるんだ、というくらい。それ以降は説明してもわかってもらえないので。

さやか:
 開発は作ったものを見せられますけど、運用って!(一同爆笑) 蛇口とか水道が壊れたら、修理頼んで、直してくれるじゃないですか。ああいうのをこのサービスでやってるんですよ、って言います。サーバーっていうのも教えるの大変なんですけど、「このページがずっと表示されるようにがんばってる。」「真っ白になったら私に教えてください。直しに行くので……」っていうのをなんとか無理矢理説明して。でもわかってもらえてないですけど……。

ナリ:
 サービスは割とそうなんですよね。私は今は広告の研究をしているんですけど、「広告の研究してます」って言ってもなんだかわからないですよね。もう説明するの難しいんで諦めてます。(笑)

――パソコンのメンテナンスを頼まれて困ったりしませんか?(笑)

おんこ:
 ありますね!(一同激しく頷く) 「ちょっとそれは……」っていうと、「なんでだよ!」って言われます。「おまえ仕事本当にできてんのか」とか言われますね。(笑)

ひーみん:
 セットアップしてくれとか……。「理系だろ!」って言われます。家族とかだったら出来る限りしますけど、もうわかんないって言います。(苦笑)

――日常では何かと面倒な相談を持ち込まれたりもすると思いますが、エンジニアとして働いていて、マイナスだと思った事はないですか。

さやか:
 逆に、ITのエンジニアなんですっていうと、すごい驚かれます。そこだけちょっと誇らしげな感じになりますね!

おんこ:
 そうそう。エンジニアっていうだけでも、すごいデキる人みたいに思われたりしますよね!

――就職活動されるとき、エンジニアというと、やはり周りは男性ばかりですか? 男女の割合はどのくらいなんでしょう。

おんこ:
 自分のときは、女性は30人に1人くらいだったと思います。

ナリ:
 自分以外は全員男性でした。

亜希子:
 よく覚えてないですけど、男女比は8:2とか9:1の割合だったと思います。

ひーみん:
 女性は全体の1割くらいという印象ですね。

――本当に男性ばかりなんですね。でもみなさん昔から理系なので、男性の中で働くほうが楽というか、抵抗ないかもしれませんね。

ナリ:
 そうかも。(一同笑) 男性ってすごいシンプルで、これと決めたら、夢中になっているからステキだと思う。

さやか:
 私も男性の中に混じって働くことに抵抗ないですね。(笑)

――開発している男性の姿に結構ときめいたりしますか?

さやか:
 障害対応のとき、普段おっとりのんびりしてる人が、自分が全然できないことを、バババッとやって「はい終わったよ」って言うと、「おおっ! すごい!」って、ちょっとかっこよく見えますよね。普段そう見えないのに。(一同爆笑)

ヤフーオフィスの会議室をお借りして、ざっくばらんな雰囲気で理系女子エンジニアのみなさんの本音をじっくりお聞きしました

ヤフーを選んだ理由

――数多くの会社がある中で、ヤフーを選んだ理由を教えてください。決め手はどのあたりなんでしょうか。六本木という立地もありますか?

はせ:
 あ、六本木にはひかれました!(笑) 私がこの会社に入ったきっかけは、自分の使っているサービスを開発できたら自慢できるなって思ったという、ホントに興味本位のほうが強くて入ったんですけど。

亜希子:
 自分がこの会社に入ったのは、一番やりたいことがやりやすそうだな、と思ったからです。とてもたくさんサービスがあるので、その時点でやりたいことがハッキリしていなくても、やりたいこと絶対に見つかるな、と思ったことと、あと、すごく雰囲気が自由な感じがしたことです。

リエ:
 私は2つ内定をもらっていて、どちらにしようか悩んだ末にここを選んだんですけど、こちらに決めた理由は、会社のスケールでしょうか。Yahoo! JAPANでしかできないことがあるだろうなって思ったことです。

さやか:
 私、専門学校卒なんですけど、当時、専卒と大卒でお給料が違う会社がほとんどだったんですよ。でも、ここは学歴で分けてなかった。だから「あ、ここいいな!」って思って。しかも、そもそも専卒で採用してくれるところが、あまりなかったんですね。大学生と専門学校生が並んでいたら、大学生採るよってところばっかりだったんで、差別してないところがすごくありがたかったですね。

――それはポイント高いですね。入社してから学歴の差を感じることはなかったですか? そういうことを意識せずに、すぐ働ける環境ですか?

さやか:
 差はぜんぜん感じなかったですね。

はせ:
 学歴が業務に影響あるかというと、まったくないですね。

おんこ:
 誰がどういう大学を出ているかって、逆に知らないですよね。聞いたことないかもしれない。どちらかというと、実際の実力とか、知識のほうが影響してくると思いますね。専門でガッツリやってきた方のほうがよく知ってるということもいっぱいありますし。

――みなさん情報処理系の分野で学ばれてますが、周りに専門外からこられた方はいますか?

亜希子:
 元文系って人も結構いますね。

おんこ:
 文系の大学とかを出てるけど、趣味でやってたって方はいますね。

ナリ:
 編集から来てる方とかいます。中に入れば、結構自由に職種を変えられるので。

――入社後に、スキルアップのための研修のようなものはあるんでしょうか。

ナリ:
 自分で受けようと思えばあります。研修っていっぱいありますよね。(一同頷く)

さやか:
 プログラミングとかビジネスマナーとか、新卒で入社した後は1~2カ月くらい結構みっちりやりました。あとは配属されたあとにいろいろな案内が来るので、興味がある人が受講する形ですね。

――明日も引き続き、女性エンジニアの本音をお送りします。どうぞお楽しみに!

【参加者プロフィール】
リエ(既婚)
現在の業務:iPhone アプリ Petapicの開発、Petapicのディレクション
過去の業務:インタレストマッチの配信システム開発、配信システムのユニットとりまとめ、広告サイエンス、IDプラットフォーム運用
ひーみん(未婚)
現在の業務:Yahoo!路線情報の技術リーダー、Yahoo!路線情報全般の開発及び運用業務(主にAndroid版乗換案内アプリ、通勤タイマーアプリ)
過去の業務:Yahoo!路線情報全般の開発、および運用業務、YOLP(Yahoo! Open Local Platform)カセットギャラリーの開発
さやか(既婚、子供1人)
現在の業務:コマース(ポイント)システム企画、社内システム企画、社内業務企画
過去の業務:コマース系サービスのシステム運用保守、サーバトラブル障害対応
おんこ(独身、子供1人)
現在の業務:webR25の開発、運用
過去の業務:Yahoo! BEAUTYの開発、運用。X BRANDの開発
亜希子(未婚)
現在の業務:Yahoo! JAPANアプリの開発、かわいいウィジェット♪「ウィジェリー-Widgely-」の企画
ナリ(既婚、子供3人)
現在の業務:インターネット広告についての研究、開発。2つのチームのリーダー
過去の業務:ヤフーに入る前はSE。Yahoo!知恵袋の開発(立ち上げから約6年間)、YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)の企画(1年)
はせ(未婚)
現在の業務:プラットフォームの運用業務、新卒技術研修、次世代監視システムの開発
過去の業務:TV向けサービスの開発、運用

すずまり

プログラマからISPの営業企画、ウェブデザイナーを経て、現在はIT系から家電関連まで、 全身を駆使してレポートする雑食性のフリーライターに。主な著書に「Facebook仕事便利帳」「iPhone 4 仕事便利帳」(ソフトバンククリエイティブ)など。 睡眠改善インストラクター、睡眠環境診断士(初級)。