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インド最新インターネット事情~インターネット利用者は2億3871万人に

スマートフォン市場は世界第3の市場に成長

 Time of indiaなど各インドメディアは、2013年末でのインドのインターネット利用者は2億3871万人になったと報じた。数字はIT通信大臣のMilind Deora氏の発言によるもの。2012年3月時の1億6481万人から、わずか9カ月で約7400万人が増えたことになる。インターネット利用者2億3871万人は、2位のアメリカに迫る数字だ。

 発表によると、州別では、商都ムンバイのある「マハラシュートラ州(3878万人)」、首都デリーに接する「ウッタル・プラデーシュ州(2290万人)」、南部の「タミル・ナドゥ州(1965万人)」、西部の「グジャラート州(1792万人)」、中央部にある「アンドラプラテシュ州(1707万人)」での利用が特に高い。

 IT通信大臣Deora氏はまた、2014年に販売される情報端末の予測数を、デスクトップPCは699万台、ノートPCは512万台、スマートフォンは2146万台、タブレットは385万台、プリンターは284万台と発表した。

都市部のショッピングモール
地方都市でも都市でもまだフィーチャーフォンは健在

 以上はインド政府IT通信大臣の発言だが、一方同じ政府関係組織でもIAMAI(Internet & Mobile Associaton of India)の調査結果は数字が少なめだ。

 IAMAIの発表によると、2013年6月末でのアクティブインターネットユーザーは1億8800万人、うちアクティブインターネットユーザーは1億4900万人、モバイルインターネットユーザーは9100万人としている。またコンピューターリテラシーがある人も3億1000万人まで増えた。

 前年同期はインターネットユーザーは1億3700万人、アクティブユーザーは1億1100万人、コンピューターリテラシーがある人は2億300万人であり、それぞれ大きく増加したことがわかる。特にコンピューターリテラシーがある人はこの1年で1億人増えた。

地域別インターネット利用者(IAMAI)

 アクティブインターネットユーザーは都市部で4530万人。彼らの利用用途(複数回答可)は、「コミュニケーション(89%)」「SNS(75%)」「娯楽(69%)」「オンラインショッピング(50%)」「オンラインサービス(49%)」となった。一方農村部には2600万人いるが、彼らの利用用途は「娯楽(87%)」「オンラインサービス(62%)」「SNS(52%)」「コミュニケーション(51%)」となった。

都市部のインターネットユーザーの構成(IAMAI)

インターネット利用者増加の背景にスマートフォン需要

農村部のPC教室も兼ねたよろずネットサービス店

インターネット利用者増加の背景となっているのが、スマートフォンへのニーズの高さと思われる。都市部では、もともとPCを所有していて、さらにスマートフォンを導入する人もいるが、農村部ではこうした人はほとんどいない。スマートフォン普及により、農村部で停滞していたインターネット利用者が増えつつある。

 インターネットを利用する場所では、都市部では自宅PCや移動中のスマートフォンやタブレットの利用のほか、オフィスやネットカフェの利用が目立ち、農村部ではコンピューター学校やPCショップも兼ねる店での利用が目立つ。

 利用時間は2012年の1日平均171分から2013年は204分に伸びた。一方、インターネットを利用しない人の理由(複数回答可)では、「インターネットがわからない(69%)」といった知識面の問題や、「PCがない(36%)」「インターネット環境がない(28%)」「電気がない(27%)」といったインフラ面の問題や、「都市部向けになっている(11%)」といった格差問題が理由に挙がる。

昨年よりネットユーザーや情報端末を使える人が増えた(IAMAI)
都市部でのインターネット利用デバイス(IAMAI)
インターネットを利用しない理由(IAMAI)
農村部で英語以外の言葉も使われ始めている(IAMAI)

スマートフォン販売台数は前年比3倍の伸び

3Gドングル。タブレットやノートPCのお伴として人気

 スマートフォンなどについて、調査会社のIDCの調査結果によれば、2013年のインドにおけるスマートフォン販売台数は前年比3倍の4400万台で、携帯電話全体では前年比18%増の2億5700万台となった。2013年第4四半期のメーカー別売上では、スマートフォンでは1位より順に「サムスン(38%)」「Micromax(16%)」「Karbonn(10%)」「ソニー(5%)」「Lava(4.7%)」となり、携帯電話全体では「サムスン(19%)」「Micromax(13%)」「ノキア(12%)」「Karbonn(10%)」「Lava(6%)」となった。

 フィーチャーフォン、スマートフォンともに、ブランド広告をよく見かけるサムスンが最もシェアが高く、続いて地場のMicromaxやKarbonnやLava、それにノキアやソニーが追う格好だ。ソニーは、低価格なXperia Eを投入している。

 同じくIDCのタブレットの調査を見ると、2013年のタブレットの販売台数は414万9000台だが、販売台数は伸び悩んでいる。メーカーでは「サムスン(18.7%)」「Micromax(8.9%)」「Apple(7.5%)」「Karbonn(6.1%)」「HCK(6.0%)」と続く。タブレットではほかに中国系のノンブランド製品の販売が目立つ。

スマートフォンとフィーチャーフォンの販売割合予想(IDC)02.jpg
タブレット出荷台数2013年第4四半期(IDC)
キャリアショップ内の端末
路上SIMカード売り

 一方で、スマートフォンユーザーの多くが高速なネット回線を享受していないようだ。TRAI(TELECOM REGULATORY AUTHORITY OF INDIA、インド電気通信規制庁)によれば、512KBps以上の回線速度のブロードバンド契約数は5690万で、うち3Gドングルないしはスマートフォンなどの無線の契約者は4195万、ADSLなどの有線の契約者は1455万となっている。

 無線ブロードバンドのプロバイダーシェアでは多い順に「Bharti (1010万)」「Reliance (696万)」「BSNL (656万)」「Idea (626万)」「Vodafone (563万)」となり、有線のプロバイダーシェアでは多い順に「BSNL (998万)」「Bharti(139万)」「MTNL (111万)」「Hathway Cable (36万)」「Beam Telecom (36万)」となった。

TRAIの最新ブロードバンド統計

山谷 剛史

海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」などがある。