■世界中で環境地図を作成するプロジェクト
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グリーンマップジャパン
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「グリーンマップ」というプロジェクトをご存じだろうか? これは身近にある環境関連のスポットを調査して地図に反映させるプロジェクトで、地図の作成にあたっては世界共通の125個の「グローバルアイコン」と呼ばれるアイコンが使われる。同プロジェクトは1992年にニューヨークのウエンディ・ブラウワー氏によって提唱されて以来、世界的な広がりを見せて、現在では50カ国・450以上もの都市が参加するネットワークへと発展している。
このグリーンマップの日本での制作を支援する「グリーンマップジャパン」が運営するWebサイトでは、グリーンマップの趣旨や本部からのメッセージを伝えるとともに、最新情報の配信やプロジェクトへの参加方法をガイドしている。また、「グリーンマップデータベース」というコーナーでは、プロジェクトに参加している日本のマップメーカーのリストが掲載されている。
グリーンマップの地図そのものは、紙で印刷されたものを配布するかたちをとっているものもあれば、Web上で公開されているものもあり、提供の仕方はさまざまだ。リストでは基本情報に加えて配布形式も記載されているので、まずはWeb上で公開されている地図を試しに見てみよう。愛知県の「ながくてグリーンマップ」や、東京都の「東京自転車グリーンマップ」などが完成済みの地図コンテンツを公開しているのでオススメだ。
同サイトにはグローバルアイコンのリストも掲載されており、動物や植物、地形、資源、生活、文化などジャンルごとにアイコンを紹介している。世界的なプロジェクトだけにアイコンのデザインはとてもわかりやすく、見ているだけでも楽しい。アイコンは、3月には改良版の第3バージョンが公開される予定だという。
また、同サイトとは別に、各地のグリーンマップの制作ストーリーをまとめた「グリーンマップ・アトラス日本語版」というサイトもある。このサイトでは、京都や東京、広島に加えて、インドネシアのジャカルタやインドのプーネ、アメリカのニューヨークやロブソン郡など、世界中の都市のグリーンマップの活動をレポートにまとめてある。粗い画像だが各地のグリーンマップの全体図も掲載されていて、ダウンロードしてじっくり読むこともできる。
日本や世界のユニークな地図作りの運動を眺めるのもよし、自らプロジェクトに参加してエコロジー関連の情報収集をしてみるのもよし、このプロジェクトを通して改めて環境やエココミュニティについて考えてみてはいかがだろうか。
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グリーンマップ・ニューヨーク本部のサイトは日本語ページも用意。「ストア」では世界のグリーンマップも販売されている
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PDFで公開されているグリーンマップ・アトラス
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■URL
グリーンマップジャパン
http://www.greenmap.jp/
グリーンマップ・ニューヨーク本部
http://www.greenmap.org/
ながくてグリーンマップ
http://gis.town.nagakute.aichi.jp/GreenMap/service.html
東京自転車グリーンマップ
http://cyclingmap.jp/
グリーンマップ・アトラス日本語版
http://www.greenatlas.org/jp/
■地図職人による地図の知識サイト
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博地図.com
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白地図
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東京・日本橋および大阪に店を構える地図専門店「武揚堂」は、創業1897年と長い歴史を持つ会社だ。店内にはさまざまな地図や地図関連商品が所狭しと並び、地図フリークにとって無くてはならない店として有名である。また、地図販売だけでなく、地図の製作やWebコンテンツ制作など多彩なサービスも提供している。
そんな同社が運営する地図の知識サイトが「博地図.com」だ。同サイトでは、地図職人が地図についてさまざまな知識を教えてくれる。
地図の知識だけでなく、白地図の無料ダウンロードサービスなども提供している。収録されている白地図は地方図と日本全図が各10点だ。地方図には「沖縄・九州離島」「関東地方+長野県」「東海地方+山梨県」「東北地方+新潟県」などを収録。日本全図には県境のみを記したシンプルなものや、主な河川や湖沼、高速道路や国道、山名や平野を表示した地図など、さまざまな種類を収録する。これらの白地図はPDFファイルで提供されているので、ビジネスの資料作りや学校の課題など、いろいろな用途に使えるだろう。
地図に関するコラムや解説を集めた「地形図三昧」というコーナーでは、地形図に掲載されている記号について意外な発見をまとめた「地形図コラム」や、地形図についてわかりやすく解説した「地形図知っちゃお!」、そして地図の職人や研究家の話を紹介する「地図職人研究家コーナー」という3つのコンテンツを揃えている。いずれも地図好きにとっては役に立つ話ばかりだ。
特に「地図職人研究家コーナー」には、同社に勤める地図職人によるアナログで地図を製作していた頃の貴重な話などが掲載されている。さらに、OBによる地図の楽しみ方の解説などもあり、読み応えたっぷりだ。
このほか、スタッフによるブログを紹介する「地図のぶろぐ堂」にも注目だ。道路に関する情報を紹介する「みちにまつわるエトセトラ」や、雑学やうんちくを披露する「地図の雑学アラカルト」、旅先のグルメなどを紹介する「旅は道連れ。世は情け。」など多彩なラインナップとなっている。貴重な地図知識を学べるコンテンツから気軽に読めるものまで幅広いコンテンツを収録したこのサイトを見て、ぜひ地図の奥深さに触れていただきたい。
■URL
博地図.com
http://www.hakuchizu.com/
■世界のメディア芸術関連イベントをGoogle Earthにマッピング
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Google Maps版
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Google Earth版
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現在、世界ではさまざまな国で多くのメディア芸術祭が開催されているが、そんな各国のイベントを地図上でチェックできるコンテンツが登場した。「世界のメディアアートフェスティバル」だ。
同サイトは世界中のメディアアートフェスティバルの情報をGoogle MapsとGoogle Earth上にマッピングしたコンテンツ。トップページにアクセスするとGoogle Mapsが表示されて、地図上にはメディアアートフェスティバルのロゴが無数に配置されている。ロゴをクリックするとウィンドウがポップアップして詳細情報が表示される。表示される情報はイベント名、国名、リンク先のURLなどで、どんな種類のイベントなのかがアイコンで確認できるようになっている。
アイコンの種類は、インタラクティブアートや先端CGを扱う「メディアアート系」、アニメやデジタルムービーが対象となる「アニメーション系」、ゲームやエンターテイメント装置などを対象とした「ゲーム系」、コミックやバンドデシネなどを対象とした「マンガ系」、サウンドやパフォーマンス、建築、デザインなどその他の分野を対象とした「その他周辺分野」の5種類が用意されている。
これらの情報はGoogle Earthでも閲覧可能だ。ページ右上に配置された「view with Google Earth」のアイコンをクリックすると、kmzファイルがダウンロードできる。これをGoogle Earthで開くと、Google Mapsと同じように各地のイベント情報のロゴが地図上に配置される。アイコンの説明も画面上部に表示されるのでわかりやすい。
こうしてメディアアートフェスティバルが開催される地域を世界規模で見ると、やはりヨーロッパやアメリカでの開催が多いことに改めて気付かされる。一方で、アジアで開催されるイベントも少なくなく、特に韓国や中国での開催が目立った。日本のイベントでは、毎年恒例で開催されている「文化庁メディア芸術祭」の情報が掲載されている。今年も2月6日から17日まで国立新美術館で開かれたが、じつはこの「世界のメディアアートフェスティバル Google Earth版」は、「文化庁メディア芸術祭」の出展作品でもある。この手のイベントに興味ある人は要チェックのサイトだ。
■URL
世界のメディアアートフェスティバル
http://mapping.jp/jmf/gmap.html
文化庁メディア芸術祭
http://plaza.bunka.go.jp/festival/2007/
■関連記事
・文化庁メディア芸術祭、Web作品ではニコニコ動画も展示(2008/02/06)
(2008/02/28)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
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