■「かぐや」の月全球観測データを用いた地形図
|
「かぐや」が見た月の地形
|
|
「ULCN 2005」による月の地形
|
国土地理院は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや(SELENE)」のデータを用いた地形図を作成して公開した。この地図は、かぐやに搭載されたレーザー高度計(LALT)が取得した観測精度5mのデータを国立天文台が解析して、それを基に作成された。
レーザー高度計が取得した高度データは月の全球をカバーするもので、従来の月探査衛星では探査されていなかった緯度75度以上の極域の情報が含まれている。高さの計測点数は3月末の時点で600万点以上と、1994年のクレメンタイン月探査の画像から写真測量で決定した総計27万2,931点の月標高基準点網「ULCN 2005」に比べて密度が向上している。
国土地理院のサイトにて、今回発表されたLALTの地形図とULCN 2005を基に作成された地形図が公開されているので、2枚ともダウンロードして見比べていただきたい。LALTの地図は等高線間隔が1km、高さの基準は重心を中心とする半径1737.4kmの球で、投影法は平射図法のほかに、メルカトル図法で作成された地図も公開されている。また、平射図法は淡色と濃色の2種類がある。
画像形式はGIF形式とTIFF形式の2種類で、TIFF形式は解像度800dpiの画像まで用意されている。ただし4月18日現在、アクセス集中のため400dpiと800dpiは一時的に提供が中止されていた。地形図の画像はPCの壁紙にも使いやすい形なので、デスクトップに貼って楽しむのも粋かもしれない。
地形図上に記載された解説によると、ULCN 2005では200~300km以上の大きな規模の地形はだいたい把握できるが、より小さな地形は判読が難しく、この点については今回作成したLALTによる地形図によって大きく改善されたとしている。
確かに2枚を見比べると、LALTの地図のほうが明らかに等高線が多く、地形が細かく描かれているのがわかる。特に極域についてはLALTのほうが密度が段違いに高い。また、LALTの地図は月の裏側にある無数のクレーターの様子も詳しく描かれており、クレーターごとの大きさの違いがULCN 2005よりもわかりやすい。
今回作成された地形図のデータの観測期間は2008年1月7日~20日の2週間で、点数は112万7,392点。今後さらに観測を続けることで、さらに高い精度の地形図が作成されることが期待されている。
■URL
月の地形図
http://gisstar.gsi.go.jp/selene/
ニュースリリース
http://www.jaxa.jp/press/2008/04/20080409_kaguya_j.html
■全国の川の位置を確認できる「インターネット川地図」
|
インターネット川地図
|
日増しに気温が高くなる今の季節、釣りやカヌーなど川遊びに興じる人も増えてきた。ところで日本列島には数多くの河川が流れているが、私たちは果たしてこれらの川の名前と位置をどれくらい正確に知っているだろうか? 身近な川を1つとっても、どこが水源でどのようなルートを通って海に流れていくのかを即座に答えられる人はあまり多くはないと思う。
このような川についての情報を調べられるサイトが「インターネット川地図」だ。このサイトは文字通り“川”をテーマにした地図で、日本全国のさまざまな河川の情報がたっぷり詰まっている。
トップページにアクセスすると、日本全図が表示される。地図上では無数の河川の道筋が青線で示されている。まずは上部メニューから「検索」をクリックしてみよう。左フレームに50音順にプルダウンメニューが用意されるので、調べたい河川の名を指定する。
例えば日本最長の川として知られている「信濃川」を選択すると、地図上で信濃川のルートが赤く表示される。普通の地図サイトや地図ソフトでは、河川名から川の位置を探せる機能はあまり搭載されていないので、地図上で川が強調表示されているのを見るのはなかなか新鮮だ。このサイトで、普段は意識することのない川の位置を確認すれば、河川について改めて考えるきっかけになるだろう。
今度は「地方別川地図」を見てみよう。ここでは北海道・東北・関東甲信越中部・近畿中国四国・九州と、日本を5エリアに分けて、それぞれの地域を拡大表示して河川が流れるルートを示している。「検索」コーナーでは縮尺が大きすぎて細かい部分がよくわからないが、こちらの方を見れば地域の拡大図が見られる。
さらに細かい地図として、「詳細川地図」というコーナーもある。ここにはカヌーで川下りをする際に注意すべき点が書かれており、カヌーイストにとっては貴重な情報源となっている。ただし、収録されている川は、釧路川、十勝川、歴舟川、美々川の4本のみだ。
このほか、出発地と目的地の緯度と経度を入力して距離を計算するツールや、掲示板のコーナーも用意されている。掲示板にはカヌー愛好家の書き込みも多く、カヌー関連の情報を調べるのにも最適なサイトと言えるだろう。
■URL
インターネット川地図
http://uminchu.pepper.jp/river-map/
■「Virtual Earth 3D」でラスベガスや東京の3D表示
Microsoftが「Live Search Maps」の新バージョンを公開して、高精細な3D画像が見られる米国の都市を増やしたり、日本法人のマイクロソフトが「Live Search 地図検索ベータ版」で東京中心部の3D地図の配信を開始したりと、最近なにかと話題の多いマイクロソフトの地図サイト。
米国で新たに高精細なテクスチャによる表示が可能になったのはラスベガス、デンバー、ダラス、フェニックスの4都市。今回はこれに東京を加えた5都市の中から、代表的な建造物をピックアップしてご紹介しよう。特に注目してほしいのは、なんといってもラスベガスだ。ユニークな形をしたテーマホテルが多い街並みは、まるで遊園地のようで見ていてじつに楽しい。
|
|
LUXOR HOTEL & CASINO(ルクソール、ラスベガス) 巨大なピラミッドの形をしたホテル棟と、スフィンクスの像で有名なホテル
|
Excalibur Hotel & Casino(エクスカリバー・ホテル&カジノ、ラスベガス) 中世の城のような建物が、2つのビルに挟まれている光景は圧巻
|
|
|
Paris HOTEL(パリスホテル、ラスベガス) フランスのパリをテーマにしたホテル。エッフェル塔や凱旋門の形を楽しめる
|
MGM Grand Hotel & casino(MGMグランド・ホテル、ラスベガス) 「MGM」の巨大看板でおなじみのホテル。正面のライオン象もリアルに再現されている
|
|
|
Coors Field(クアーズ・フィールド、デンバー) 大リーグ・コロラドロッキーズのホームスタジアム
|
State Capitol(州会議事堂、デンバー) ワシントンの国会議事堂によく似た重厚な外観の議事堂
|
|
|
Reunion Tower(リユニオンタワー、ダラス) ダラスを象徴するランドマークとして名高いタワーで、ハイアット・リージェンシーに隣接している
|
America West Arena(アメリカウエスト・アリーナ、フェニックス) プロホッケーやプロバスケットボールなどさまざまなスポーツチームのホームとなっている競技場
|
|
|
東京駅 近代建築の複雑な凹凸が細かく再現されている東京駅の駅舎
|
靖国神社 本殿や拝殿をはじめ、境内にあるさまざまな建造物がリアルに描かれている
|
■URL
Live Search Maps
http://maps.live.com/
■関連記事
・「Windows Live Maps」の新バージョン、高精細3D表示などに対応(2008/04/11)
・「Live Search 地図検索」で東京中心部の3D建物表示を開始(2008/04/11)
(2008/04/24)
碓氷 貫(うすい とおる)
地図に関することならインターネットの地図サイトから紙メディア、カーナビ、ハンディGPS、地球儀まで、どんなジャンルにも首を突っ込む無類の地図好きライター。地図とコンパスとGPSを片手に街や山を徘徊する日々を送る一方で、地図関連の最新情報の収集にも余念がない。
|
- ページの先頭へ-
|
|
|
Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|