【業界動向】
~DSL作業班の第5回会合にて情通審DSL作業班、イー・アクセスがフィールドデータを発表■URL 情報通信審議会 情報通信技術分科会 事業用電気通信設備等委員会 DSL作業班(以下、DSL作業班)の第5回会合が開催された。長野県協同電算とイー・アクセスからフィールドデータの発表や、相互干渉のフィールド実験方法の詳細などについて議論が行なわれた。 長野県協同電算のフィールドデータは、域内通話サービスを提供している自社のメタル配線を使って測定した結果が提出された。試験ではHDSLとADSLを同一カッドや隣接カッドに収容する全部で7パターンの測定が行なわれ、エコーキャンセルと同等かそれ以上の干渉源となるHDSLが、ADSLに対して速度低下の影響をほとんど及ぼないことを証明した。 イー・アクセスは、第2回会合時にソフトバンクBBが提出した資料と同様のリストを作成。これは、上りリンクアップ速度が200kbps以下のユーザーのうち、下り速度が2Mbps以上といった上り速度に干渉の影響が出ているユーザーを抽出したもの。実際のリンクアップ速度や線路情報、同一カッドにDSLが収容されているかなどの情報が記載されている。イー・アクセスでは、8Mタイプと12Mタイプの合計で367,171ユーザーのうち、上り速度が200kbpsは1,010件、そのうち下り速度が2Mbps以上は107件だという。 このデータについてイー・アクセスの小畑至弘氏は上り速度が200kbps以下のうち、下りが2Mbps以上のユーザーの比率はソフトバンクBBよりも少ないことを指摘。両社の相違点として「ISDNに同期した方式」と「エコーキャンセルを使っていない」の2つを挙げ、この2つが性能差の原因であると推測を述べた。 また、NTT東日本からは、DSL作業班として実施するフィールド実験方法について提案が行なわれた。各DSL方式とISDNの相互の影響度合いを確認するためのもので、特定のNTT交換局から、端末測定ポイントまでを、各事業者のDSL設備を使って行なうというもの。イー・アクセスの小畑氏が「JJ-100.01もANSIのT1.417も相対評価しかできないので、絶対評価した測定データと違うのは当然」と発言がされると、ソフトバンクBBの孫氏は「サンプルポイントが悪ければJJ-100.01の否定にも肯定にもならない」と実験を否定した。 今回の会合も内容に大きな進展はなく、スペクトル管理についての意見の食い違いばかりが目立つものとなった。時間も5時間を超えるものとなり、終盤では各構成員の主張もトーンが下がり、フィールドデータの収集方法では一部で歩み寄りも見られた。次回の会合では、スペクトル管理の計算モデルを決定すべく話し合いが行なわれる。 ◎関連記事 (2003/2/21) [Reported by 正田 拓也] |
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