【業界動向】
松下電工、「汐留シオサイト」に新社屋
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Tomorrow Zoneで展示するIT住宅関連商品は、「これから事業の中心になってくる」(横山敏雄常務取締役)分野だという | マルチメディアポートの中に収められるホームゲートウェイ(左)と、無線LANのアクセスポイント(右) |
照明などをリモコン制御するための人感センサーは、無線LANでエミットのネットワークに接続される | 睡眠ソリューションはほとんどがすでに販売されている商品の組み合わせによるもの。展示されている一式で約100万円になる |
ショウルームの地上2階から3階は、主にデベロッパーなど業者向けの展示となる「Co・La・Boフロア」。エミットの応用事例や住宅用の情報配線システムをはじめとする、ネットワーク関連技術の詳細な展示コーナーが設置されている。
エミットはマンション向け製品が6月から、戸建向けシステムが12月から販売される予定だが、Co・La・Boフロアでは、すでにいくつかの地域の警察署で導入しているという通報システムや、テレビ放送スタジオの照明設備やビル内の非常口誘導灯の稼働状況を把握するためのシステムへの応用事例が紹介されている。また、インターネット総合研究所との共同開発が発表されたIPv6対応ゲートウェイ「HX」の展示スペースもあり、IPv6対応の照明設備同士がP2Pで通信し、利用者のふるまいに沿って自動制御される様子も見ることができる。
住宅用の情報配線システムとしては、すでに商品化されている「マルチメディア配線システム」のほか、プラスチック光ファイバー(POF)や電力線搬送通信(PLC)によるものも参考展示されている。従来のシステムでは、宅内のMDFとも言える「マルチメディアポート」から各部屋の「マルチメディアコンセント」までの部分にエンハンスドカテゴリー5のLANケーブルを採用していたが、POFではこの部分をより高速化できる。宅内回線部分のプロトコルとしてIEEE 1394とギガビットイーサの2種類を使うものが展示されていた。PLCは、新たに回線を敷設することなくネットワーク対応住宅設備を増設できる手段として、無線LANとともに選択肢のひとつとして提供するもの。現在、低速通信用のモジュールが開発されているほか、高速化技術も研究中だとしている。
一般向けのLIVINGフロアでも展示されているエミットだが、Co・La・Boフロアでは、業者向けに端末の種類などをより詳細に説明 | エミットのIPv6対応を紹介するコーナー。壁に設置された青いフロントパネルの機器がホームゲートウェイ「HX」 |
FTTHに止まらず、FTTRoom(?)を実現するプラスチック光ファイバー(POF)による住宅内の情報配線システム | マルチメディアコンセントには、LANのモジュラージャックの代わりに、POFのソケットが設けられている |
松下電工ビルは、展示スペースだけでなく、いわばビル全体がショウルームとなっているのも特徴だ。同社のビル/住宅設備や最新技術などを、「オフィスビルに織り込んでいる」(西田一成代表取締役社長)。例えば、オフィスフロアのうち22階と23階にはエミットによる照明、空調、ブラインドのコントロールシステムが導入されている。
このフロアには照明や空調のスイッチがなく、天井の人感センサーで感知したスペースにのみ照明や空調を作動させる仕組みだ。さらに、温度センサーや照度センサーにより、日差しの状況に連動してブラインドを制御することで、オフィス内の温度や明るさも自動制御する。これにより、日中の照明の消費電力を約50%、空調では約35%を削減できるという。
なお、LIVINGフロアは一般の入場も可能で、開館時間は午前10時から午後8時(日曜日または連休最終日は午後6時まで)となっている。
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(2003/3/31)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]