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イベントレポート
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【 2009/06/11 】
アナログ停波後の周波数帯域を利用したマルチメディアサービス
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国内初のデジタルサイネージ展示会、裸眼で見られる3D映像など
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【 2009/06/10 】
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「Interop Tokyo 2009」展示会が開幕、今年はひろゆき氏の講演も
[14:53]

総務省、「ブロードバンドは普及したが、セキュリティ技術者は不足」

~セキュリティを高めれば潜在ユーザーも獲得できる

 ブロードバンド推進協議会は、都内で「セキュリティ問題特別講演会」を開催した。総務省や、経済産業省、警察庁など、ネットワークセキュリティ問題に関連する各省庁の取り組みが紹介された。


セキュリティを高めれば5,000万ユーザーがブロードバンドを利用する

総務省情報通信政策局デジタル・ディバイド企画官兼情報セキュリティ対策室長 武田博之氏
 まず、総務省情報通信政策局デジタル・ディバイド企画官兼情報セキュリティ対策室長 武田博之氏が、「ブロードバンド時代におけるインターネット・セキュリティの強化」と題して講演を行なった。

 冒頭、「現在、日本では1,000万人がブロードバンドを利用するようになっており、世界最高水準のインターネット普及国になった。世界的にみても日本のブロードバンドは低価格で、電子商取引などのビジネスも発展しはじめており、そうした状況を考えると本来5,000万人ぐらいが利用していてもおかしくない」との認識を示した。また、「普及をさらに進めるためには、ネット利用に対する不安を減らさなくてはいけない」と分析。8月中旬に流行したBlasterウイルスなど、常時接続の個人ユーザーを対象にするワーム型ウイルスが、潜在的な不安をさらに深刻化させたという。今後の普及には、「コンテンツやサービスもさることながら、セキュリティ対策が重要になる」とした。


通信業界のセキュリティ団体を設立、「ISPの役割はより重大に」

Telecom-ISAC Japanの概要
 武田氏は、「情報システムへの脅威やその後の対応は業界ごとに特徴がある」とし、業界ごとにセキュリティ情報を共有する団体「ISAC(Infomation Sharing And Analysis Center)」を組織する必要があると説明。ISACは米国などでは一般的だが、日本では、2002年7月に@nifty、KDDIら大手情報通信事業者7社により組織された「Telecom-ISAC Japan」が唯一の団体。2003年に入り、本格的な活動を始めたところで、今後は、所属する各企業が個々の状況を連絡、状況を分析したISACから業界全体にフィードバックするインシデントハンドリングシステムを構築し、米韓中各国のISACと連携していく予定だという。

 続いて、インターネットのセキュリティ対策には、ISPなどの新しい通信事業者の役割が重要だと語った。「インターネットは分散的であるがために、一元管理が難しい。ネットワークの負荷を計測しなければならない場合でも、“やってみなきゃわからない”的な部分がある」と、電話など旧来のネットワーク障害との違いを強調。ISP自身のセキュリティを高めていくとともに、ウイルスチェックなどのエンドユーザー向けサービスなどが拡充していく必要があるとした。

 ISPそのもののセキュリティを向上させるために、総務省では、情報ネットワーク安全基準や信頼性基準、セキュリティ・マーク制度などを導入。セキュリティ対策に必要な設備を導入する際には、税制上の優遇措置も採っているという。

 2002年4月に、Telecom-ISACに先駆けて設立された内閣官房情報セキュリティ対策推進室の官民合同チーム「NIRT(National Incident Response Team)」にも言及。国際的なサイバーテロにはNIRTやTelecom-ISACが連携して対応する方針だ。


ネット関連の研究開発費は約30億円、次世代ネットでは本人確認も可能に

 総務省では年間およそ30億円の予算で、不正アクセスやウイルス、暗号解析技術などの研究開発を行なっているという。内訳は、広範な脅威に対応するための「ネットワークセキュリティ基盤技術の研究開発費」が26億円、「コンピュータウイルス等に関する研究基盤の構築」が1.6億円、「次世代インターネットにおけるネットワーク・アーキテクチャに関する調査研究」が1.6億円だ。また、独立行政法人・通信総合研究所でもサイバーテロ対策の研究開発を実施している。

 総務省が研究開発しているという次世代インターネットでは、ネットワークに本人確認機能を搭載し、セキュリティの向上を目指す。また、サイバーテロ対策に、広い範囲でトラフィックを監視する広域モニタシステム構築技術などを研究しているという。


セキュリティ技術者12万人の不足、特にエキスパートが足りない

 また、「日本には、スキルの高いセキュリティ技術者が少ない」(武田氏)とし、人材育成も推進していく方針を示した。

 総務省の試算によると、不足しているIT技術者は42万人、うちセキュリティ技術者は12万人とのこと。「セキュリティ技術者の育成は緊急性が高いが、研修のための機器、教材開発など初期コストも大きく育成が進んでいない」と分析。これまで総務省では、「電気通信主任技術者試験」といった国家試験によるもの、「ネットワーク情報セキュリティマネージャ」制度といった業界団体の資格によるもの、NPOなどが実施する人材育成に対する助成制度によるものなどを通じて人材を育成しているが、今後はこれらに加え、必要な設備などを国が支援していくための予算制度を検討しているとした。


関連情報

URL
  総務省
  http://www.soumu.go.jp/
  Telecom-ISAC Japan(英文)
  https://www.telecom-isac.jp/


( 鷹木 創 )
2003/09/12 17:29

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