片山大臣「電波の新規利用者には一定の負担を求める」
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片山虎之助総務大臣
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基調講演に立った片山大臣は、現在のADSLやFTTHのブロードバンドの状況を説明。それらに比べ、3.4万世帯と数が少ない無線でのブロードバンド利用に触れ、広帯域周波数の拡大と自由な電波利用環境を推し進めていく電波政策を行なっていくとした。その中で給付金制度を検討しているという。
この給付金制度は電波の再配分を行なうためのもの。無線LANや情報家電など新たに電波を利用するシステムやサービスがあるが、これらの利用に際して、既存の中継用固定局などが周波数を返上するために、使える設備を処分しなければならないなどの損失が発生する。この補償は給付金の支給によって行なわれるため、その給付金の負担を新たな電波の利用者に求めていくという。
この制度を実現するための電波法の改正も準備しており、来年1月に開催される見込みの通常国会に法案を提出する予定を明らかにした。
また、片山大臣は近年の電波利用料の増加を挙げ、平成5年度は総額74億円であったものが平成15年度は536億円と増加、83%は携帯電話に関連するものが占めるとした。一方で、負担のバランスが崩れていると指摘。電波の利用効率を高めて無線局数を増やした場合、局数に応じて電波利用料の負担が重くなる状況については「本来、褒めてもらわないといけないのに負担が増える」と指摘、来年度に抜本的な見直しをする考えを示した。
さらに、片山大臣は電波の経済的価値を認め、利用に対する対価を課して電波の利用に対する自発的に周波数を効率利用を促進すべきと意見を述べ、一方で欧州で行なわれているようなオークション形式で電波の利用料を設定する方式は「(高額になって)ひずみをもたらしている」と指摘、同様の方式の採用には慎重な姿勢を見せた。
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今後の周波数割当予定
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周波数の割り当て政策
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坂村教授「超小型チップのシステムは政府主導でやるべき」
次に坂村氏が「ユビキタス・コンピューティングと日本の情報戦略」と題した講演を行ない、超小型チップと日本の情報戦略について持論を展開した。
坂村氏は講演で、ユビキタス社会を実現するための通信能力を持った超小型チップについて、システムとして展開していかなければならないこと、周波数をアメリカ方式に無理に合わせる必要のないこと、セキュリティ問題や知的所有権の問題には注意を払う必要があることなどの意見を述べた。
坂村氏は、システムとして展開していく上では民間だけの力では無理だと強調、アメリカでは軍事技術として政府主導で開発が進んでいる現状を示した。採用する周波数をアメリカと合わせるべきと言われていることについては「影響力のある人がいい加減なことを言ってほしくない」と語気を荒げ、開発中のチップの規格と周波数の問題は直接関係ないことを強調した。さらに坂村氏は開発中のチップは日本の2.4GHz帯とアメリカの915MHz帯のいずれにも対応できると述べた。
そのほかシンポジウムでは、周波数分配、ワイヤレスITの将来展望、産業界の取り組みなどについて3人の講師が講演を行なった。
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基盤ソフトウェア強化の推進の必要性
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ユビキタス・コンピューティング時代に向けた体制の確立
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関連情報
■URL
総務省
http://www.soumu.go.jp/
CIAJ
http://www.ciaj.or.jp/
関連記事:総務省、電波再配分の給付金算定に関する報告書を公開
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0730/soumu2.htm
( 正田拓也 )
2003/09/16 20:53
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