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【WPC EXPO】エッジ堀江社長、「LindowsでOSを選べる時代がついに訪れた」


 9月17日から千葉・幕張メッセで開催されているアジア最大級のデジタル展示会「WPC EXPO 2003」。2日目の18日、エッジ代表取締役社長の堀江貴文氏が「Lindowsが世界を変える」と題した講演を行なった。


「消費者は与えられたOSを使うだけの状態」

エッジ代表取締役社長 堀江貴文氏
 LindowsOSは、8月29日にエッジが発売したLinuxベースのクライアント用OS。Linuxの堅牢性に加え、WindowsライクなGUIのインターフェイスとATOKをはじめとした日本語環境が整備されていることが大きな特徴。ハイエンド向け製品がほとんどのLinuxディストリビューションにおいて、LindowsOSはコンシューマを強く意識した異色のディストリビューションだ。

 堀江氏は冒頭に、「クライアントOSは一社が独占する状態が長きにわたって続いている。OSがパッケージ商品であるとか、競争すべき市場であるとか、そういう意識すら薄れているのではないか」とOS市場の現状について指摘。さらに、「ハードウェアの価格が下がっているのにライセンス価格が維持されているためパソコンが安くならない」「あまりにもひとつのOSへの依存度が高く、何かソフトウェアに問題があったときは、世界中で大騒ぎになってしまう」「消費者は与えられたOSを使うだけの状態」などとコメントし、独占状態の弊害を訴えた。


OSを変えることの意義

 堀江氏は話題をLindowsOSに移し、「多様化の波は確実にOSにもやってきている。使用目的に応じてOSを選べる時代がついに訪れた」と宣言。LindowsOSのメリットについて、「Linuxによる高い信頼性や安全性」「オープンソースであるため、世界中で優れたソフトが低価格、または無償で提供されている」「Windowsの使いやすさを保ち、直感的に操作ができる」などと語った。

 Windowsとの互換性についても、「OSの乗り換えにためらう必要はない。WordやExcel、MP3などこれまでWindowsで使っていたファイルは、まだ100%とはいかないがほとんどそのまま使用できる」と乗り換えを促すコメントを述べている。

 また、Windowsに対するセキュリティ面の優位性も堀江氏は再三協調。「ウイルスも圧倒的に少ない。某OSは特定のメーカーの技術に頼らざるを得ないが、Linuxは世界中のコミュニティの力で日々発展している。ウイルスのターゲットにされる確率も少ない」と語った。

 LindowsOSの大きな特徴の1つが、年額9,800円で1,800タイトル以上のアプリケーションソフトを、クリック操作だけで自動的にダウンロードし、インストールできるサービス「Click-N-Run」だ。Office互換のStarSuiteをはじめ、画像編集、マルチメディア、ホームページ作成、教育など様々なジャンルのアプリケーションソフトが利用できるという。

 堀江氏はこのサービスについて「自分の使いたいソフトをライブラリサイトから探し、ダウンロードして、さらにインストールする作業は、初心者にはなかなか大変だが、Click-N-Runならだれでも簡単にソフトをインストールできる。私はコンピュータを長年使っているが、あまりに便利なのでいくつもインストールしてしまうほどだ」とその利便性についてアピール。現在は英語版のソフトが中心だが、それらの日本語化や日本オリジナルソフトの開発などにも取り組んでいるという。


「コンシューマレベルでもLinuxに対しての関心が高まっている」

 この後、話題はLindowsOSの省コスト性について移った。堀江氏は、「LindowsOSはライセンス料が格段に安い。すでに19,800円のプリインストールマシンが発表され、話題になっている。パソコンは、テレビやビデオのように1人に1台の時代が来る」と家電量販店のノジマがフレッツADSLの契約とセットで発売したLindowsOS搭載パソコン「NJ-L1」(フレッツADSL契約なしの場合は29,800円)を引き合いに出して説明。また、パッケージ販売のターゲットは当初、中上級者としていたが、発売後には初心者から上級者まで幅広いユーザーから反響があった事実を明かし、「コンシューマレベルでもLinuxに対しての関心が高まっている。夏のウイルス騒ぎもLindowsOSに関心が集まった一因だろう」と分析した。

 このほか、エンタープライズ市場についても、「ファイルの互換性をより強化し、販売チャネルを拡大する」「すべてをサーバーで管理するサーバーベースドコンピューティングを推進したい」「LindowsOSをベースにした企業用ネットワーク・アプリケーションの開発を目的としたコンソーシアムを設立する」と戦略を説明した。


Windowsライクな使い勝手が特徴 Linuxベースといえども、ターゲットは幅広い

LindowsOSはインターネット端末にも有望

 講演終盤に入ると堀江氏は9月に発売されるCD-ROM起動するLindowsOS「LindowsCD」について触れ、「従来のOSとは違い、HDDにインストールせずともCD-ROMから直接OSを起動できる。海外に行ってもCD-ROMドライブさえあればいつでもどこでも日本語環境で利用できる。OSを持ち歩くということは、今までなかったことだ。さらに、USBメモリキーの中に入れれば、起動も早いし、データも保存できる」と1.5GBの大容量USBメモリキーを手にしながら、LindowsCDの斬新さをアピールした。

 また、LindowsOSの未来像について、「HDDを持たないLindowsOSベースのインターネット端末、いわゆる“WebStation”がひとつの理想系だ。PC内部にデータを保存しないのでセキュリティが高い。障害が発生しても電源を入れ直すだけでいい」と述べた。

 さらに、「LindowsOSはさまざまな可能性がある。リサイクルPCの有効活用にも使える。環境問題を考えても社会貢献になるだろう。このように、新しいパラダイムを提供するのがLindowsOSだ。日本のコンピューティングに大きな変革を起こすとともに、新しい市場を生み出すきっかけになるのでは」と社会に与える影響について語った。

 最後に堀江氏は「無謀と見えるかもしれないが、PCの歴史の中で大きな一歩。我々はまだ小さいが、独占している企業に一矢を報いてかき回し、PCの市場を盛り上げていきたい」と抱負を述べ、講演を締めくくった。


Click-N-Runを利用しているところ。日本語化も現在すすめているという 最終的にはHDDを持たないインターネット端末にも

関連情報

URL
  エッジ
  http://www.edge.co.jp/
  WPC EXPO 2003
  http://arena.nikkeibp.co.jp/expo/2003/
  関連記事:LinuxベースのクライアントOS「LindowsOS 4.0日本語版」が6,800円で発売
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0722/lindows.htm


( 伊藤大地 )
2003/09/18 17:35

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